2018.01.30
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卒業までに伝えたいこと

年度末が近づき、卒業に向けた準備が少しずつ動いていると思います。高校では自由登校となる期間があるので、通常の授業は1月下旬~2月上旬までというところも多いと思います。私は卒業年次の担任ということもあり、最近は卒業についてだいぶ実感が出てきたところです。そんな時期にあって、卒業を迎える生徒たちに伝えておきたいことをあれこれ考えます。卒業式当日にする話という意味でなく、それまでに授業やLHRなどで伝えておきたいことという意味で今回は記事を書いてみました。

前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭  山形県立米沢東高等学校 教諭 高橋 英路

卒業に向けて~新生活に向けて

私の勤務校では就職を希望する生徒が多く、早い段階で進路が決定します。そこで、残りの時間を「卒業に向けて」というよりも、春からの「新生活に向けて」という観点から考えてほしいと思っています。最高年次の生徒にとって、進路が確定してしまえば、卒業すること自体はさほど難しくないかもしれません。ですが、それだけを目標に学校生活を送ってしまうと、卒業はできたけど新生活のギャップで・・・となりかねないと思います。

ということで、授業を受ける姿勢にしても、課外での取り組みにしても、春からの新生活でどのように生きてくるのかを考えてもらうよう声掛けしています。それによって、残りの学校生活が「消化試合」とならず、新たな目的意識を持って過ごすことができると思います。

また、新しい環境で人間関係も変わり、気兼ねなく「失敗」できないなんて人もいます。学校は、ある意味、「安全に失敗できる場」だと思うので、残り少ない時間ではあるけれど、慣れた環境の中なのでいろんなことに挑戦してみるのも良いという話もしています。

卒業後も遠慮なく頼ろう

高校までの友達は、住んでいる場所が近いこともあって、卒業後も一生付き合いが続くケースも多いと思います。また、卒業後に学校に顔を出しに来てくれる生徒もいます。そうした繋がりをぜひ大切にしてほしいと思っています。もちろん、高校までの人間関係にとらわれず、新たなスタートを切りたいという人もいるでしょう。それも良いと思います。ただ、卒業後に壁にぶつかってツラいとき、相談できる人が近くにいないとき、どうしたら良いか分からないとき、遠慮せずに、高校までの人間関係を頼ってほしいです。

高卒で就職した人の4割が3年以内に離職すると言われています。私たちとしては、できるだけ不本意な離職が起こらないよう、生徒の特性に合わせた進路達成を目指すわけですが、残念ながら0にはならないのが現状です。そんなとき、誰にも相談できずに悩んでいる人がいたとしたら、ちょっと悲しいと思います。遠慮せず、話をしに来てほしいと思います。

仕事以外も大切に!

高校の卒業年次となると、進路決定が最大のハードルとも言え、進路関連の話をする機会はたくさんありました。「仕事のやりがいを考えてみよう」「自分に合った仕事って?」「この職業で何をしたいか?」などなど・・・。

一方、「働き方改革」「ワークライフバランス」といった言葉が話題になり、かつてのような「仕事一筋」「モーレツ社員」といった言葉は影を潜めています。仕事にやりがいを求めることは大事ですが、人生は仕事だけがすべてではありません。趣味や家族との時間、食べ物など、人によって様々なものに生きがいを見出していると思います。逆に、そうした仕事以外のプライベートを充実させることで、仕事でも成果が上がるということも大いにあるはずです。

進路決定までは、さんざん職業や社会で求められる力といった話をしてきたのですが、ここにきて、むしろ仕事以外の部分の生き方も考えられるようになってほしいと伝えています。つい先日も、2~3名のグループに分けて、LHR1コマの中で複数の先生のところを回って話を聞くという機会を設定しました。内容は、「人生を豊かに生きるために」というテーマでそれぞれの先生からざっくばらんに話をしてもらいました。先生方に特にお願いしたのは、「なるべく仕事以外の部分にスポットを当ててほしい」ということです。残りの登校日数も少なくなり、先生方と話す時間も限られてきた生徒たちにとって、貴重な機会となったようでした。

自分に自信を持って

今の時代は、ほとんどの人が高校を卒業する時代で、高校卒業をあまり大きなことだと捉えていない人も多いと思います。ただ、本校の場合は夜間定時制で、働きながら夜に通学するのは決して楽ではありません。特にこの時期、勤務校のある山形県は多雪地で、電車が止まったり、地吹雪で車が前に進めなかったりということもあります。また、同じ降雪量でも、昼間に見える景色と、夜に見える景色とでは大きな差があります。そうした中を、しっかり登校し、卒業を迎えるということは、自信を持って良いことです。日本人は「自尊感情が低い」なんて言われることもありますが、当たり前の毎日を当たり前に過ごすことができた生徒たちには、自信を持って卒業していってほしいと思っています。

ということで、今回は、卒業までに伝えたいことについて書きました。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

高橋 英路(たかはし ひでみち)

前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭
山形県立米沢東高等学校 教諭


クラス担任と、地歴科で専門の地理を中心に授業を担当。生徒達の「主体的・対話的で深い学び」が実現できるよう、p4c(philosophy for children)やKP(紙芝居プレゼンテーション)法などの手法も取り入れながら日々の授業に取り組んでいます。

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