2019.09.27
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運動会あれやこれや

午前中だけの時短スタイルが広まったり、働き方改革でいっそ廃止を、なんて言われたりしている最近の運動会。
でも、運動会を楽しみにしている子どもたちの様子を思い浮かべると、この行事、なくしてはいけないのではないかなあ。

東京都内公立学校教諭 林 真未

日本初の運動会では、ブタを捕まえる競争で大盛り上がり

運動会のルーツは1874年。今から約150年前、明治時代にイギリスから来ていた指導者の発案で、海軍の学校で行われたそうです。
その時は、徒競走のような真面目な競技だけでなく、水を入れた桶を頭にのせて走ったり、卵を拾いながら走ったりする楽しい競技もあったとのこと。
フィナーレでは、海軍学校の若い生徒たちが、ブタを追いかけ回して悪戦苦闘し、大盛り上がりだったそうです。

これが、小学校の全国的な配置とともに広がって、大正時代にはダンスの要素も加わり、今の運動会につながりました。

というわけで、ルーツは外国なのですが、運動会はその後、日本で独自に発展・定着し、各小学校が毎年全員参加でやるというスタイルは、いまや日本だけ(?)とも言われています。

しかも意外なことに、外国の人から見たら、日本の運動会って「クール(かっこいい、イイ感じ)」なんだそうです。

実は、運動会には驚くほどの地域差がある

お昼ご飯を食べる場所が違う

東京をはじめとする都会の運動会では、お昼になると、子どもたちは教室に戻ってお弁当を食べます。
親は子ども抜きで校庭で食べたり、家に戻って食べたり、なかには近所のレストランで済ます人も。

一方、地方では、親たちは朝から場所取りをしてシートを広げ、重箱のお弁当を用意しています。子どもたちは、お昼はそこへ行って家族と一緒に食べます。

東京などで、子どもが教室で食べるようになったのは、一緒に食べる家族がいない子どもを配慮してのこと、と聞いたことがあります。
けれど地方では、そういう子がいても、ご近所や知り合いの家族が面倒を見るので、特に問題ないようです。

地方の親たちは、すべての子どもたちを応援

都会では、トラックの周りに陣取ってずっと見続けるというより、自分の子どもが出場するときだけトラックの近くに寄ってカメラやビデオ、あるいはスマホを構えて観戦というスタイルが一般的になってきました。

しかし地方だと、たいてい、それぞれトラック周りに陣取ったシートから、出場するすべての子どもを応援します。

これはどちらがいいということではなく、仕方のないことでもあります。

都会の学校の校庭に、親たち全員が、腰を落ち着けてすべての子どもを応援するスペースなんてありません。
もちろん、地方と同様にシートを広げている親もいますが、そのスタイルを選ばない親が一定数いるから、このスタイルも成り立っているのです。

一方、子どもの数が少ない地方では、都会に比べれば校庭に余裕があります。しかも、同じ地域に長く住み続けている人が多く、どの子のこともお互いよく知っているのですから、もちろん応援するわけです。
地方では未就学児の種目があるところも多いですよね。

北海道では、バーベキューにビールで観戦

北海道と言っても地域差があると思いますが、私の知っている地方では、運動会の際に、校庭にテーブルとパラソルを設置して、バーベキュー(北海道ではバーベキューのことを「焼き肉」と言いますが)しながらビールを飲んでいる家族が複数いました。

いちばんトラックに近いところにシートとお重のお弁当の家族たち。その外縁のあちこちではバーベキュー。広い校庭は、まるでキャンプ場のよう。

東京では、私の知る限り、学校でアルコールなど厳禁です。北海道と同じことをしたら、きっと大騒ぎになるでしょう。

沖縄では、観光客も運動会に参加

こちらももちろん地域差のあることでしょうが、私の知っている沖縄のある地域では、子どもが少なすぎて、大人が運動会に出まくります。

地元に住んでいる人だけでは足らずに、なんと観光客まで引っ張り出すそうです。民宿に泊まっているお客さんを動員して、民宿チーム対抗でリレーも行われるという!

観光客の方々も、まさか、沖縄旅行で運動会に出ることになるとは、誰も予想しなかったことでしょう。

運動会でも”魔法の言葉”

フリースクールやオルタナティブスクール関係者には、眉をひそめられそうですが、まだまだ公立小学校では「気をつけ!前へ倣え!」「体操座り(三角座り)」「行進」がきちんとできることが求められています。

見にきてくださる地域の方々や保護者の方々は、児童がそういったことができていると安心し、できていないとがっかりしがちです。学校の内部でも、そういったことをきちんと躾けるのが当たり前という雰囲気があります。

個人的には、小さな子どもにそれを強いるのはかわいそうだな、とか、それができなくてもいい子はいい子なんだけれどな、とかいろいろ思いますが、私一人がそう訴えたところで、大人たちの常識はなかなか強固。

だからいつも、運動会前の子どもたちにこう言います。

「あなたたちは、みんなとっても素敵ないい子。
だけど、「気をつけ」や「体操座り」がしっかりできていないと、運動会を見に来た大人たちは、そうは思ってくれません。
本当はいい子なのに、「気をつけや体操座りができていないから、あの子はダメね」って思われちゃいます。その上、できていない子が何人かいるだけで、他の子ができていても「あの学年はダメね」って言われちゃう。大人って、人間って、そういうところがあるんです。

マミ先生は嫌です!みんなが「ダメな子ね」なんて思われるのはゼッタイ、嫌!こんなに素敵ないい子たちなんだから、そのまま、素敵ないい子だって思われたい。
だから、とっても大変だとは思うんだけど、「気をつけや体操座りを頑張って、長い時間できるように練習しようね!」

こう言うと、子どもたちは素直に「うん、わかった!」と頑張ってくれます。ホントに健気です。

運動会は必要だ!

学習指導要領でも運動会を必ずやれとは書いてない、とか、教師の負担を考えたら行事はどんどんなくしたほうがいい、とか、皆さんいろいろおっしゃいますが。

小学校の運動会は、子どもにとって大切な思い出です。

赤が勝った、白が勝った、リレー選手になりたい、応援団長になりたいなど、運動会にはいろいろなどきどきわくわくが詰まっています。
運動が苦手な子には良い思い出ではない、という人もいますが、良い思い出だけが思い出でしょうか?
マイナスの思いも含めて、いろいろな思いを体験しながら子どもは大人になっていくのです。

私はぜったい、小学校に運動会は必要だと思います!

某区立小学校6年生の時。赤白各一名ずつ選ばれ、白にはダイコンマンがいた。

参考資料
  • 青弓社ライブラリー「運動会と日本近代」収録「わが国の運動会の歴史(平田宗史)」

林 真未(はやし まみ)

東京都内公立学校教諭
カナダライアソン大学認定ファミリーライフエデュケーター(家族支援職)
特定非営利活動法人手をつなご(子育て支援NPO)理事


家族(子育て)支援者と小学校教員をしています。両方の世界を知る身として、家族は学校を、学校は家族を、もっと理解しあえたらいい、と日々痛感しています。
著書『困ったらここへおいでよ。日常生活支援サポートハウスの奇跡』(東京シューレ出版)
『子どものやる気をどんどん引き出す!低学年担任のためのマジックフレーズ』(明治図書出版)
ブログ「家族支援と子育て支援」:https://flejapan.com/

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