2017.10.23
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今年もしました、組体操~キーワードは「からだづくりと心づくり」~

今年は6年生担任。運動会では、組体操を指揮しました。今回も、心を育てる組体操(以前の実践もご覧下さい)です。でも、やはり"体操"ですから、体づくりにも大きく貢献するものでありたい。

今年の組体操の実践を紹介します。

兵庫県公立小学校勤務 松井 恵子

子どもの実態に合わせた技の選択

幼児期の外遊びの経験が、小学校に上がってからの運動能力テストの結果に関係しているということを耳にしました。外遊びが多い児童ほど、運動能力テストの結果がよく、外遊びの経験が少ない児童ほど、運動能力が劣っているとのこと。

時代の傾向として、外遊びよりもゲームなどが増えてきているせいもあってか、10年前の子ども達より、全体的にも筋力は落ちてきているように思います。今年の5・6年生についても、体幹や筋力をもう少し鍛えてあげたいと思いました。

初めて組体操に取り組む5年生は、特にそのあたりを感じました。

だからこそ、補助倒立は全員に、肩車・サボテンの技にも取り組ませようと思いました。

一方で、タワーやピラミッドなどは、高さを制限して安全を確保しました。高さがなくても、テーマ「平和」を表現するのに何の影響もありません。

「技ができるかどうかだけに捕らわれてはいけない。 組体操は、表現。組体操を通して、生き方を育てたい。」

今年のテーマは「平和-ぼくらの誓い-」

第1場面 地球におりたった自分・・・・・1人技~2人技

第2場面 出会いを繰り返し成長する・・・3人技~5人技

第3場面 広がる世界・・・・・・・・・・集団技(ポップアップピラミッド等)

第4場面 世界を繋げ、平和を築く・・・・架け橋(複合技)→クラスピラミッド

第5場面 命は、再び芽を出し、平和の思いは、つながっていく・・・1つの花を表現

この「平和」というのは、夏休みに世界情勢の報道を受け、これしかないと思い、平和に決定しました。「平和は与えられるものではない。日々の中にある。自分が一生懸命生きること、そして、思いやりをもって周囲を受け止めること、そのような生き方への意思を強く心に持つことが、平和につながっていく。」

そんな思いを、子ども達にしっかりと感じてほしいと強く思ったのです。

そして、今回の私の新しい挑戦は、最後に240人で一つの花を表現し、命の再生を表現することでした。

「人は亡くなっても、その思いは生きる。

必ず生きていて、必ず花開く。再び会うかのように。

平和の思いも、そうやって時代を超えてつながっていく。」

それは、私の願いです。私の精一杯の思いです。

だから、大事なのは運動会本番ではありません。練習の日々なのです。

運動会までの練習期間、1日たりとて、無駄な時間もなければ、足りない時間もなかったと言い切れます。

その指導は、書面で書いて残せるものではありません。きっと、一緒に指導し私をいつも支えてくれた5・6年の先生方が、感じ、受け継いでくれていると信じています。

私はいつも周りに恵まれます。後輩達は、たくさんたくさん感じてくれます。それが一番の支えなのです。

若手のみなさん、あなたがしっかり先輩の教育への理念を感じることが、先輩先生を支えているのですよ。

方法ばかりを見るのではなく、その思いと言葉を感じてくださいね。今は拙い授業でも指導でもいい。思いさえあれば、必ず素敵な先生になれます。逆に、授業や指導、保護者対応がうまくても、心のない人、理念のない人は残念な教師です。プロではない。不器用でもいいから、一生懸命に進む人が、私はすばらしいと思います。

安全を最大限に配慮し、細かく指導

組体操のケガで一番多いと私が感じるのは、ピラミッドではなく、2人技の補助倒立やサボテンです。しかしながら、一生のうちに一度くらいは、自分で自分の体重を支える倒立をしたり、人を支えたりバランスを考えて上にのったりするサボテンをすることが、体幹作り、筋力作り、そして、精神づくりになると思うのです。

お家で弱音を吐いたとしても、学校では、前向きな気持ちやひたむきな気持ちで取り組めるような「指導の環境」をつくらないといけません。「指導の環境」です。

まず、めあてを提示。

1.自分の足でしっかり立つ自身をもとう

2.移動も思いっきり走る集中力

3.技をやるときは、お互いを思いやる心でいっぱいにしよう

初日に、テーマとめあてを提示します。

それで終わってはいけません。

「今日は、1の一人でしっかり立つことをがんばります。意識でかえられることです。自分で精一杯意識をもちましょう。」

そして、また次の日は、「今日から2人技です。3のお互いを思いやる心をいっぱいにして取り組むんですよ。」

めあても模造紙に書いて表示しておき、視覚情報と音声情報で印象づけます。

このように、「気持ちの部分の指導環境」を適切に判断し、前もって提示します。

また、「技能の指導環境」も、安全に配慮する注意事項を冊子にしておくだけでなく、子どもの様子に合わせ、クラスごとに技を練習させ、そこに必ず教師が全てついて、補助をします。サボテンに至っては、5年生はなかなか難しかったので、1組男子→1組女子→2組男子→2組女子・・・という風に、4クラスですので8回に分けて練習を行いました。

少しずつ慣れてくると、人数を多くしていきます。もっとできるようになってから、6年生児童が補助につくようにしました。

6年生の育ちは、すごかったです。何も言わなくても、さっと補助に走っていったり、アドバイスに行ったり、自分で考えて行動するという6年生の自負が育ちました。

さらには、運動会が近づくにつれて、惰性にならないように、指導環境を調整します。

「先週の力が100%だとしたら、これから150%に上げていきます。そのために今日、大事にすることは気をつけです。あなたの意思をもった気をつけをするんです。3つを意識します。それは、胸・指先・目力です。」

精神的なイメージと具体的な方法の両方を与えることが、指導のポイントです。

精神論だけでも子どもはどうしていいかわからない。具体的な方法だけでも、やらされているだけで、気持ちが動かないのだから成長にはならない。

精神論と具体性の双方があってこそ、子どもは腑に落ちて伸びる。

言い忘れましたが、サボテンや補助倒立でのケガは、授業時間中よりも休み時間や隙間時間の自主練習の時に起こることが多いように感じます。ですから、子ども達には、先生やお家の人などの大人のいないところでは、絶対に練習をしないように、先生と一緒に練習するようにと言いました。

前日は、組体操集会で心をいっぱいに

以前の5・6年生にも、心をいっぱいにしよう集会として組体操前の集会をしましたが、その際は運動会のある週の月曜日に行いました。最後の1週間、惰性の練習にさせないためです。今回は、前日にしました。それも子どもの様子を見ながら考えました。前日の方が、この子達には、よく心に届くと思ったからです。

5・6年生の担任の先生方、ひとりひとりから子どもたちに言葉を頂きました。

雨で順延になってしまいましたが、当日、意思のこもった目力の気をつけと、どの技も、ほぼ100%の成功。あれだけできなかったサボテンもぴたっときまりました。

5人のピラミッドのような技「ブロッケン」は、全員完成を待ちました。崩れてしまった1組をみんなが耐えて完成を待ち、全員完成!拍手がわきました。

BGMも、それを考慮して、余分をつくっておきました。

とにかく、あきらめないことが大事。その心を育てたいから、BGMも余裕をもちつつ、でも、子どもの表現をひきたてるように、全て場面ごとにぴったりはまる編集を行いました。今回も、時代を反映し、「スパークル(君の名は)」「モアナの主題歌」などを使い、時代を思い出す時にこの組体操の経験を思い出すように心がけました。ですが、平和を表現する場面はゆずの「Hey和」そして命の再生は、ベッドミドラーの「ROSE」を使いました。

最後の場面は、組体操実行委員会の児童がつくり・・・

最後の場面、命の再生の場面は、子ども達がつくりました。組体操の本も見せながらですが、「じゃあこうしたら」「手のひらを上の方がいい。」など、組体操実行委員会の考えたオリジナルの集団技になっていきました。また、他の子どももアドバイスをくれます。子どものアイデアはすごいです。それらをコーディネートし、最後の場面をつくりました。

話したいことはつきませんが、以前の投稿「組体操は、技を教えるのではない!心を育てる組体操の実践を!」も見ていただき、感じ取っていただけると幸いです。

組体操が消えつつある世の中ですが、表現運動が変われども、育てたい理念は変わらないはずです。そして、今回見えてきたのは、心づくりと共に、やはり体づくりも必要だということです。あれだけできなかった5年生が、見事に十分な力がつきました。体幹も、気をつけや1人技で育ちましたし、精神的にも自立が促されたことは明白です。

組体操が消えたとしても、何かで、体づくり心づくりは必要です。

もしかしたら、私の行っている組体操は、従来の組体操とは、ある種ちがうのかもしれません。ですから、不易の部分と変えるべきところはしっかり変えて、子どもの力になる表現運動をつくっていくべきだと思います。

松井 恵子(まつい けいこ)

兵庫県公立小学校勤務


兵庫県授業改善促進のためのDVD授業において算数科の授業を担当。平成27年度兵庫県優秀教職員表彰受賞。算数実践全国発表、視聴覚教材コンクール特選受賞等、情熱で実践を積み上げる、ママさん研究主任です。

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