2017.09.21
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多くの人の前で指導する際の「人数」と「褒める量」の関係

10月10日は体育の日です。

秋に運動会がある学校も多いと思います。

運動会の指導などと関連して、指導する際の人数とそのやり方の関係について書きたいと思います。

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明

多くの人数への指導では叱ってもあまり意味がない?

先日、学校行事で7000人の学生に対して、ある教員が指導をしている場面を見る機会がありました。小学校などで言えば、運動会の全体練習で体育主任が全校児童に対して指導をしているのと同じような場面です。その7000人の学生に対して指導をしている際にその教員は、割と厳しいこと、細かいことをたくさん言っていました。私は「学生はちゃんと聞いていないだろうなあ」と思っていました。

たくさんの学生(子ども)を相手に指導をした時、人数が多くなればなる程、指導している教員が知っている学生は減ります。知らない人なので、信頼関係も築けていません。そういった関係性の中で色々と否定的なことを言ったとしても伝わらないことが多いです。

その上、指導の後のフォローもきちんと出来ません。私は小学校の学級担任ならば、自分のクラスの子どもをある程度厳しく指導をしても良いと思っています。なぜなら後できちんとフォローが出来るからです。同じ学校の中であってもあまり知らない子どもに対しては厳しい指導はしない方が良いと思っています。それはフォローができないからです。

褒める量と人数の関係

指導の際の褒める量と人数が比例の関係になります。人数が増える程、指導の中での褒める割合を増やす必要があるということです。その方が効果が上がるように私は経験から感じています。指導の人数が少ないから厳しくばかりした方が良いという訳では勿論ありません。

私は長く小学校の体育主任をやっていました。私が採用された頃は若い世代が非常に少なかったので、二年目から体育主任でした。初任校は確か学級数が20クラス位の学校だったのですが、二十代は私を含め、2~3人だったように記憶しています。そういった経緯で若くから体育主任をやらせてもらっていました。そういった中で多人数を動かすコツについて勉強しました。全校児童が600人位の学校でマイクなしで運動会の全体練習をやったこともあります。やる内容をきちんと事前に明示し、話の聞き方の指導をきちんとすれば、そういったことも可能になります。記憶の中では、注意すべき部分は簡潔にまとめて伝え、褒めていることが多かったように思います。

運動会の全体練習でもし課題が残ったのであれば、それを文書などにして各担任に伝え、教室で黒板を使って説明してもらった方がよく伝わるはずです。それでもうまくいかない部分がある時は、うまくいかない人を特定してもらい、担任に個別のフォローをしてもらうなどの方法があります。

余談になりますが、私が今までで最も多くの人数の前で何かをしたのは「約二万人の前でラジオ体操をやったこと」です。横浜市では6年生が集まって行う体育大会というものがあります。ある年、ラジオ体操をしなければならなくなり、やった時の人数が約二万人でした。三ッ沢の陸上競技場だったのですが、その時の光景は今でも覚えています。

終わりに

少し話が逸れました。もうすぐ運動会のある学校も多いと思います。全体での練習において指示をしなければならない立場の先生、学年の種目の練習で多くの子どもの前に出て話をしなければならない先生。少し「人数と褒める」の関係を意識してみてはどうでしょう。細かい部分の指導をあれこれと言うよりもきっと効果が上がると思います。是非やってみてください。

鈴木 邦明(すずき くにあき)

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。

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