2019.08.07
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「できる子やでー!」のドヤ顔を、教育支援連携で!

暑い夏休み......子供達は、「できたね、すごーい!」と褒めてもらったり、「できた?ありがとう!」と感謝されたりしているかな?

京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究会 中川 宣子

特別支援教育とは

「特別支援教育とは?」とネットで検索すると、文部科学省のHPをトップに、各教育委員会HPや書籍、コラム等、様々な知識がヒットします。「『特別支援教育』とは、障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うものです」(文部科学省HP『特別支援教育について』より)。
私は上記のことを受けて、教育支援連携の視点から、「特別支援教育とは、子ども達の特別な才能を学校・家庭・地域の連携により支え、教え、育てること」と捉えています。
例えば、「デジタル連絡帳」に寄せられた、次のようなエピソードがあります。

ドヤ顔エピソード

小学部のAさんは、水遊びは大好きなのに、プール学習が少し苦手です。なぜなら顔を水につけることが苦手だからです。プール学習のある日、Aさんは微妙な表情をします。その表情は、「水遊びは気持ちいいから大好き。でも顔を水につけるのはいややなぁ」とまるで言っているかのようです。

プール学習が始まると、先生達は言います。「はい、腕から頭に水をかけてー。肩まで浸かってー。今度は頭まで浸かるよ」とか、「輪っかをくぐって潜ってみよう」とか、「水中じゃんけんするよ、せーのーで」とか、色々なことをしながら子供達が水慣れできるようにアプローチをします。

Aさんの周りの友達は、キャッキャ言いながら、飛び跳ねたり潜ったり、バシャバシャと水しぶきを上げて楽しんでいて、中には潜ったままなかなか顔を出さない子もいます。Aさんは先生の声を聞きながら、周りの友達の様子を横目で見ながら、渋い表情をしています。できれば先生と目を合わせたくない。できるだけ目立たないように、プールの隅の方へ身体を向けています。

Aさんのご家族にこれらの様子をお伝えすると、「先生、バシャーンと、思いっきりやってください」と温かい応援メッセージ。これらの応援があって、Aさんは少しずつ、自分から顔を水につけてみようという気持ちが芽生えてきました。

初めは肩まで水に浸かり、そして顎まで、ついには口を一文字に結んで下唇まで・・・Aさんの頑張ろうとする気持ちが、皆に伝わってきます。「Aさん、すごーい!今日はがんばったねー」と褒めると、Aさんはガッツポーズをしながら、また「いいよいいよ。じゃ今度は顔がつからないように、ビート板をしようか」と息抜きをすると、Aさんはホッとしながら、プール学習を進めました。

そしてプール学習最終日「水泳大会」の日。先生や友達、ご家族の皆さんの前で、Aさんはビート板を使ってバタ足ができるところを、にこやかに発表、そして下唇まで潜れるようになったところも披露し、皆から大拍手でした。

水泳大会の翌日「デジタル連絡帳」には、Aさんのお母さんから次のようなエピソードが綴られていました。
――お風呂の中で、今日の「水泳大会」で頑張っていた話をしていたら、急にAから、「Aちゃん、お顔つけてみる!」と言うので、少し様子を見ていました。言ったもののなかなか顔をつけられないので、もしかすると、お風呂の水量がAにとっては果てしなく多く感じられ、それが怖くてドキドキしているのかな?と思いました。そこで、水面ギリギリに洗面器を沈め、「これなら、怖くないかもよ」と勧めてみたら、ポチャンと顔面をつけていました。私は「Aちゃんは、やっぱりできる子やなぁ」と言うと、Aは「そやろ?Aちゃんは、できる子やでー!」とドヤ顔をしていました(笑)――

「できる子やでー!」のドヤ顔を多くの子供達に!

子供達の才能を支え、教え、育てるのは、教師であり、家族であり、友達であり、地域の人であり、ご縁のあった人達であり、そして子供自身です。色々な人や物や事との出会いがあり、それらが繋がることによって、子供一人一人の才能は開花します。私達が繋がることは、特別支援教育の第一歩ではないでしょうか。
さぁ、教育支援連携で、「できる子やでー!」のドヤ顔を多くの子供達に!暑い夏も明るく強く楽しく(^O^)

中川 宣子(なかがわ のりこ)

京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究
「特別支援教育とは、子ども達の特別な才能を学校・家庭・地域の連携により支え、教え、育てること」と考えています。日々の教育実践を、情報発信・交流し合い、共に子ども達の成長・発達に役立てていきましょう!

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