2019.06.07
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教員の魅力は?

かつては教員になるのは狭き門とされ、高校の一部の教科で倍率が100倍を超えるといった時代もありました。近年は団塊の世代の退職などで採用数が増え、全国的に教員採用試験の倍率が低下しているといった話を耳にすることが多くなりました。もちろん、倍率が低下することがすべて悪とは思いませんが、教員の魅力が伝わらないまま、教員志願者が減っていくというのは、現場の教員としては悲しいことです。ということで、今回は、個人的に考える「教員の魅力」について記事を書いてみました。

前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭  山形県立米沢東高等学校 教諭 高橋 英路

日々の小さな変容から

特別大きな成果でなくとも、日常の何気ない変容を見て、嬉しいと感じることも多いです。高校生という多感な時期は、ちょっとしたことでも悩んだり、考えたり、モヤモヤしてしまうと思います。そんな雰囲気に気づいて声をかけ、話を聞いてみることが大事です。何ができるかは分からないけど、とりあえず話を聞いてみることです。それだけでもスッキリした表情になる生徒もいますし、こちらが言った何気ない一言でスッと肩の荷が下りたようになる生徒もいます。中にはわざわざ言葉に出して「話を聞いてもらえたおかげで頑張れそうです」と言ってくれる生徒もいます。

「大会で〇位」とか「テストで〇点」といった目に見える成果でなくとも、こちらの働きかけで生徒にちょっとした良い変容が生まれたとき、どんなに小さいことであっても教員としてやりがいを感じるのではないでしょうか?

入学時と比べた成長から

毎日の中でも生徒は常に成長していますが、一定の期間を置いた前後で比較すると、それは顕著に見えるものです。特に、入学時は中学校との違いに戸惑ったり、部活では体力的についていけなかったり・・・様々な壁にぶち当たる生徒も少なくありません。

そんな生徒が3年生引退後の部活で大活躍したり、学級委員としてクラスをまとめたり、定期試験でメキメキ成績を伸ばしたり・・・そんな姿を見ると、高校生の可能性の大きさに感心すると同時に、人生の中でも心も体も大きく成長できる時期に関われる教員という仕事にやりがいを感じる瞬間でもあります。

学ぶ楽しさが伝わったとき

これは教員の本務でありながら、意外と難しいことかもしれません。「その教科を学んでいる理由は?」と問われると、学校により「受験に使うから」「卒業のために単位がほしいから」なんて答えが返ってきてしまうかもしれません。「授業や勉強は苦しいもので、それを乗り越えることで幸せが手に入る」かのような話も聞いたことがあります。逆に、「授業で先生が話す小ネタが好き」という声も聞きます。ただ、受け身で面白い話を聞くのが好きなだけで、そこから自ら学ぶに至らないこともあります。

しかし、「学ぶこと」とは本来、自ら疑問や課題を見出し、自ら追究していくもので、それ自体が楽しいものであるはずです。だから、生徒にもそのように「学ぶこと」が伝わってほしいと思います。受験の有無や宿題の有無に関わらず、授業でやったことに常に疑問を持って自ら調べたり、正解のないテーマについて友達同士で授業後も議論するようになってくれたら最高だと思います。とは言っても、やはりこれはなかなか難しい・・・と試行錯誤の日々ですが・・・

やはり卒業式でしょうか

教員の1番の醍醐味としては、やはり卒業式でしょうか。または、進路決定の瞬間かもしれません。ほぼ全員が高校に進学する中学校とは異なり、高校卒業時の進路はその後の人生に大きく関わってきます。多くの悩みや困難がありながら、それを乗り越えて卒業や進路決定にたどり着いた瞬間というのは、やはり感慨深いものです。クラス担任としてはこの時期までになると、クラスの一人ひとりについて、数時間は話せるくらいのエピソードがあるものです。

高校3年生の18歳という年齢は、昨今の法改正により選挙権も持つことになりますし、今後は「成人」にもなるわけです。前述したような生徒たちが高校を卒業するということは、様々な意味で人生の中でも大きな節目であり、やはりそこに立ち会える教員という職業は魅力的ではないでしょうか?

卒業しても終わらない

卒業式が最後かというと、実はそうではありません。私たち教員は、卒業生がその後どうなったのか?どんな道を歩んでいるのか?非常に楽しみにしているものです。特に、「教育の成果はすぐには出ない」とよく言われ、高校3年間だけでこれまで述べてきたような変容が顕著に見られるとは限りません。生徒も教員も、どんなに一生懸命頑張っていても報われないことも多々あります。それが卒業して数年後、数十年後に良い知らせを聞くと、これまたとても嬉しい気持ちになれます。

「受験では失敗したけど、必死に探してギリギリで受験した第2希望の学校がすごく自分に合っていて、そこで大成長した!」とか、「高校に入ってから初めて候補として考えた職業にスゴクやりがいを感じ、そこで大出世した!」「高校時代うまくいかなかったけど、〇〇先生から言われた言葉に助けられ、自分も教員になって同じ思いで生徒に接してスゴク楽しい」など、そんな話が聞けたら幸せではないでしょうか?

ということで、私なりに感じているやりがいや教員の魅力をいくつか紹介してみました。こうしたことは個人によって感じ方が違うわけで、皆さんが感じているやりがいや魅力も教えていただけたら幸いです。また、教員を目指している人や興味がある人にも読んでいただき、参考にしてもらえたらなと思います。

高橋 英路(たかはし ひでみち)

前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭
山形県立米沢東高等学校 教諭


クラス担任と、地歴科で専門の地理を中心に授業を担当。生徒達の「主体的・対話的で深い学び」が実現できるよう、p4c(philosophy for children)やKP(紙芝居プレゼンテーション)法などの手法も取り入れながら日々の授業に取り組んでいます。

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