2019.05.17
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

ベトナムで考えたこと(その1)

今年のゴールデンウィークは10連休でした。これは,日本では大型連休となりますが,他国ではそうではありません。ということは,外国の教育事情を見せていただくには,絶好のまたとはない機会です。ということで,ベトナム研修を企画し,ベトナムの学校を視察させていただいてきました。ベトナムという異国で感じたのは,子どもや先生方が「同じだな」というある意味の安心感でした。

兵庫県立兵庫工業高等学校 学校心理士 教諭 藤井 三和子

何のために教師は海外を目指すのか?

私は,グローバル化推進教育リーダーコースという長い名称の大学院に所属もしているのですが,そこの実習科目として,海外フィールドワークがあります。(つまり海外実習しないと修了できない!)
教師が海外を目指す時には、いくつか目的があります。観光という目的は,今回は除外して語ります。

①海外の先進的な教育制度を視察して,日本の教育に役立てたい。

昨今,PISAで学力世界一になったフィンランドを目指す世界中の教育関係者がおられます。特に大学で教育分野をフィールドとしている方々でフィンランドに視察に行かれる方は多くいます。

どんな要素がフィンランドの教育を変えたのかを見ることは,日本の教育をどんな形にしていくかを考える時,刺激になるでしょうし,意義があることだと思います。ただ,学校や教室という場だけがフィンランドの教育の成功ともいえない面があろうかと思います。子どもたちは,学校だけでなく,社会や地域で生活しているわけですから。そういう社会全体も含めて,視察が必要でしょう。

②英語の運用能力を高めたい

各府県の教員採用試験で,中高の英語教員を目指す人だけでなく,小学校教員を目指す人も,民間の英語資格試験であるレベル以上を取っていると有利になるといいう状況があります。また,教える側に立つわけですから,日常の仕事が多忙でも,学ぶ向上心を持ち続けていきたいですよね。 教育委員会が行かせてくれる海外研修は選ばれた人だけかもしれません。でも民間の英語教育関連の企業が企画しているものが多くあります。ちょうど今は夏休みに向けて,いろいろな企画があがってきているころです。

「何言ってる,夏休みなんて部活の指導で自由に使える時間なんてないんだ。しかも,仕事のために,何で自分のお金を使ってそこまでしなくてはならないんだ」とお叱りを受けるかもしれません。そのことに関しては,私は個人の「よく生きる」-「どんな人生をあなたは送りますか?」の問題であると考えています。別の機会に考えたいと思います。

③共に生きる国際理解教育の一環として世界を見ておきたい

もちろんアジアでも日本より進んだ教育制度を持ち,グローバルな人材育成のために努力している国もあります。しかし,ベトナムを含めて,多くの国は日本の成長を目標としていて,日本の教育方法に関心を持ってくれています。「何かを学ぶ」という一方向のものではなく,「自分」と「相手」との双方向の学びがこの共に生きる国際理解教育の一環としての研修の意義であると考えています。私たちはどんな世界に生きているのかを実際に海外に出かけていき実感する体験をし,そこから何を考えるかが大切になってきます。

ベトナムで何をしてきたのか

そもそも,私は何をしにベトナムへ行ったのかということをまず整理したいと思います。所属するコースのフィールドワークとして行ったことは書きましたが,その目的は,

①グローバルな人材を育成する立場に立つ教師はどんな経験を海外でしてきてほしいか。
②どんな研修,つまり海外経験をすることで「教師」として成長することができるのか。

主に,この2つを考えることでした。また,研修自体を企画することで,教員だけでなく,生徒の引率も視野に入れて,ベトナム研修の方向性を考えることも含まれました。

今回の研修では一緒に行った小学校の先生方がベトナムの小学校で,日本の学校紹介や工作の授業を行い,現地の教育委員会の先生方に見学してもらうという機会も作ることができました。日本にいる時から打ち合わせを行い,どんな規模の教室でどんな生徒を対象にさせてもらえるのかなど確認していたのですが,日本で公開授業をするのとはわけが違います。結局,二転三転し,思い通りの授業はできなかったのですが,ベトナムの学校で授業をするということ自体,なかなか経験できるものではありません。教室の前に立って,好奇心でキラキラしたまなざしを受けることはかけがえのない経験だったと思います。

日本にはベトナムから多くの人材が入ってきています。日本のコンビニやお店などで働いているベトナム人にであったことがある方は多いと思います。今回の研修でも前半がベトナムの祝日と重なっており,多くのベトナムの方々も帰国していたようで,航空券の値段が日々変化し,取るのも大変でした。

そして,学校にも様々な国の人たちが在籍しています。今回のベトナムでいうと,日本にいる彼らが,どんな社会で生きてきて,どんな生活をしていたのか。どんな学校に通っていたのかを知ることは,大切なことではないでしょうか。学校の先生でも同じです。今回の研修では,直接話をすることで,教育に対する共通点が見つかり,「同じなんだ」という安心感が生まれました。ベトナムでも教育をしっかり考える貫禄のある先生方に出会えたことは大きな収穫です。

今回は,ベトナム研修のいきさつなどを書きました。次回は具体的に訪問した幼稚園から高校までの様子を書こうと思います。

藤井 三和子(ふじい さわこ)

兵庫県立兵庫工業高等学校 学校心理士 教諭
兵庫教育大学大学院 学校教育研究科 専門職学位課程 教育実践高度化専攻 グローバル化推進教育リーダーコース 在籍
生徒の心の成長を促す存在でありたいと,教育の力を信じて,工業高校で英語を教えています。大学院での学びと学校現場での実践で感じたことを紹介していきたいと思っています。

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop