成人式×タイムカプセル~タイムカプセルを失敗させない方法~
先日、8年前に6年生を担任した子たちが、成人式を迎えました。以前の投稿で紹介した卒業プロジェクト「プロジェクトG」(←知りたい方はここをクリック)を初めて行った子たちです。学年全員で行った「大感謝祭(謝恩会)」は、大きな思い出の1つです。そんな教え子の成人式に、恩師として呼ばれ、参加しました。その時、8年前にした『タイムカプセル』を開けました。
兵庫県公立小学校勤務 松井 恵子
落ち着きとぬくもりの溢れる成人式
毎年、成人式翌日の報道は、“荒れた成人式”が取り上げられます。でも、ほとんど多くの成人式は、落ち着いた成人式だと思います。
我が町の成人式に参加するのは、自分が成人として参加して以来、初めてです。そう、私は故郷で、先生をしています。
小さな町の成人式は、数名の実行委員会が、9月頃から寄り合い、企画していきます。その彼らから、6年生の恩師として成人式に参加してほしいとの招待状が届き、来賓として参加しました。中学3年生で受け持った先生方も来賓として参加しています。
成人した彼らは、まぶしいほどの成長をしていました。でも、当時と変わらない素直な彼らのままでした。祝辞や来賓紹介、恩師からのスライドショーなどに、和やかに笑ったり、反応して驚いたり、拍手をしたり…でも誰かが前にたって真剣に話をして、話を聞くときは、水を打ったように静まり、聞き入る。そんな態度は、6年生の時のまま・・・いえいえ、もっとそれぞれ自分らしい自然な姿勢になっていました。
髪の色を自分の好きな色にして、おしゃれに変身した男の子も、「松井先生!!一緒に写真とろう!」と声をかけてくれたり、晴れ着で見間違うほどのお化粧をした女の子も、「先生!」と抱きついてくれたり。
あの頃もかわいいけど、思春期を抜けきった彼らは、本当にまっすぐで、その成長とこれからの未来を感じられる生命力に、胸がいっぱいになりました。
タイムカプセルを失敗させない方法
「20歳になったら開けよう」といって、20歳の自分への手紙やその時の宝物を入れ、20歳で開ける箱、タイムカプセル。これ、「8年ぐらいだったら覚えておけるわー」なんて思うものなのですが、そんな感覚で取り組んだら大間違い。何を入れたか、忘れているものなのです。先日の成人式でタイムカプセルを開けましたが、このことを実感しました。
タイムカプセルをうまく実行できるコツをお教えします。
① ぜったいに埋めないこと。
タイムカプセル用の入れ物も売っていますが、かなり高値です。しかも、どこに埋めたかわからなくなることもしばしば。覚えていたとしても、校舎の改修工事でなくなることもあるのです。私自身、同じ学年の先生がたいへん器用で、校舎の裏側にコンクリートで固めて保存したこともありましたが、校舎の改修でどこかにいってしまった経験があります。
箱の蓋に「○年度卒業生」と書いて学校の倉庫に入れておくこともあります。これは、埋めるより安全。ただ、教師の転勤で関係者がいなくなるなどして、誤って捨てられてしまうこともあります。確実に責任を持って管理できるのは、やはりその時の担任でしょう。私は、小さめの収納ボックスをタイムカプセルにして、自分の家に保管しています。4つほどあったうちの1つを先日開封しました。
② 何を入れたかについて記載したものをタイムカプセルに入れておくこと
先日、20歳になった子たちは、全員、自分へのメッセージカードを書いていました。それ以外にも入れたいものを入れていました。野球のサインボール、メダル、写真、小学校の体操帽子など。本人も覚えていないし、名前も書いていない状況でした。だから、自分へのメッセージカードの中に、『タイムカプセルに入れたもの』を書く欄を作っておきました。そうすることで、開封式に参加できた子はもちろん、来られなかった子の分も把握でき、後日、渡すことができます。
③その時のクラス名簿
成人式に来られなかった友達の分を預かって渡してもらう場合もあります。子ども達の記憶は曖昧です。名簿も入れておくと良いでしょう。
夢は、叶う
子どもたちの進路を聞くと、パティシエになりたかった子は、料理の専門学校に行っていたり、獣医になりいと言ってた子は、動物病院に就職が決まっていたり、夢は叶うし、叶うように進んでいました。
そう言えば8年前、この子達とした道徳の時間。最後に、夢をひとりずつ、クラスの前で叫んだことを思い出しました。そのとき、「~になりたい」ではなく、「~になります!」とか「~します!」と断定で宣言しようと子ども達に言って、全員、笑顔で叫びました。オープンスクールの道徳でした。
このとき、私自身も宣言しました。「子どもたちや若い先生たちの役に立つ本をかきたい!」と、初めて叫んだことを覚えています。そして、私自身、今こうやってウェブでみなさんに文章を発信したり、教育本や教育雑誌に記事を載せていただいたりしています。
20歳の教え子たちは、本当に素敵でした。思春期の迷いの霧から出た彼らは、まっすぐに優しくて、まぶしい笑顔で、これからの道も突き進んでいくであろう躍動を感じました。もちろん、また迷うし、悩むし、立ち止まることもあることでしょう。でも、夢をもって突き進んでいく彼らが、見えるようでした。もしくは、そう願わずにいられない、胸いっぱいに。
先生だって負けませんよ。私も、彼らからもらったあの日々を再確認し、邁進しようと誓いました。さあ、みなさん、夢を持ちましょう!夢を語りましょう!

松井 恵子(まつい けいこ)
兵庫県公立小学校勤務
兵庫県授業改善促進のためのDVD授業において算数科の授業を担当。平成27年度兵庫県優秀教職員表彰受賞。算数実践全国発表、視聴覚教材コンクール特選受賞等、情熱で実践を積み上げる、ママさん研究主任です。
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