2018.12.17
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子どもたちによる子どもたちへの"社会科ミニ授業"

前回役割取得の話で社会科の授業を取り上げました。「社会科」つながりで今回は6年生の社会科の中で行った子どもたちによる子どもたちへの"ミニ授業"の様子について紹介いたします。今回は今までとは違い写真がメインです。気楽にお読みください。

佛教大学大学院博士後期課程1年 篠田 裕文

教科書の「ここ」を授業するとしたらどんな黒板ができあがるかな?

タイトルにある言葉を投げかけてスタートしたミニ授業。当時使用していた教科書に「世界の立場の中で日本はどのように変わっていったか」という小単元があります。この小単元でミニ授業は行われました。4人が1グループ。計8グループでそれぞれがそれぞれに進めていきます。子どもたちがイメージする「黒板」はこれまで自身が授業の中でつくってきた「黒板」が反映されます。ちょっぴりドキドキしながら進めた授業でもあります。
 用意するものは
1)A0サイズのホワイトボード
2)三色のホワイトボードマーカー
です。前提として子どもたちは大きなホワイトボードと小さいホワイトボードの使用にかなり習熟しています。授業を行ったのは11月。ほぼ毎日のように使用するため
・相手に説明しながら書く
・話し合いながら書く
・つながりがわかるように書く
といったスキルを全員がある程度身につけています。

ミニ授業の最中①

作業に入る前に全体でキーワードの抽出を行いました。
①条約改正
②医学・科学の発展
③植民地
④独立運動
このようなものが挙がります。「着地点は何だと思う?」と尋ねると
「国際的地位の向上」
と。この言葉にどのグループも「いける」と思いました。写真のグループはPCのプログラミングのようにまとめています。複数のストーリーを設定しそれが国際的地位の向上につながる、そのようなイメージをもっているのでしょうか。

ミニ授業の最中②

このグループは日本の国際的地位の向上までの過程を「関係性」に注目し“ミニ授業”しています。朝鮮半島をめぐる日本と大陸との関係性の背後に「ヨーロッパ」の文字が。他の地域と明らかに大きさが違い、当時の力関係を反映させているのがわかります。作業をしているとある男の子が
「先生、日露戦争入れていいですか?」
と尋ねてきました。日露戦争は教科書で取り上げられているページが違います。しかしながら“ミニ授業”を行う上で別の資料が必要となったのでしょう。資料活用能力の向上を感じる一コマです。

完成した「板書」①

これは先ほど途中経過で紹介したグループのもの。いくつかのストーリーが並行して流れ、それらが最終的に「国際的地位の向上」へとつながっていく。「どのように変わっていったか」がよくわかります。

完成した板書②

こちらも「どのように」がよくわかる板書。条約改正前後で日本の立場が変わる様子を左下に描いていいます。立っている台の高さを変化させることで「対等」を視覚的に訴えています。
 これら子どもたちの創り上げた「板書」を見ていると

「普段から板書にイラストや記号や矢印をかきまくっているんだなー、私」

と自分のこれまでの板書を振り返りました。

最後は個人のまとめ

最後はグループを離れ個人でノートに今日の授業をまとめます。今までグループで話し合う声に溢れていた教室が一転。聞こえてくるのは鉛筆の音のみ。グループでまとめたのだから改めてノートには・・・という考えもあるかもしれません。しかしながら

〇 学びを蓄積していく
〇 個々人の思考を保障する
〇 1人1人の学びを評価する

そのためには授業の最後には個人作業をどうしてもいれたいと思っています。
写真で紹介しているノートは「ホワイトボード?」と一瞬思ってしまうようなノート。「イラスト×矢印×キーワード・キーフレーズ」で一枚の絵のようなノートに仕上げています。

”ミニ授業”のその後

このような形での“ミニ授業”はこの時が初めて。それ以降何度か行いました。その時の写真がこれです。「産業の発展によって人々の生活は社会はどのように変わったのか」という小単元です。このグループの意図は
〇 6コマ漫画で過程をまとめよう
にあったと思います。また、このグループは「人権」に注目している様子がわかります。
 教師は教師の目で教科書をとらえ(もちろん指導要領も読みますが)授業を構成します。今回”ミニ授業”を通して子どもたちの目で教科書を見てみると教師のそれとはまた違うという思いを改めて持ちました。ミニ授業の授業者の立場に子どもたちを置くことにより、教師である私も大きな学びがありました。

 ホワイトボードに書くことは、話し合われた内容が「見える化」されるということです。人間の画像優位性が知られています。またUDLの考え方によるとできるだけたくさんの感覚を使った方がより学びが定着します。頭で考える、口を動かす、目で見る、耳で聞く、そして手で書く。この“ミニ授業”は画像優位性を生かしているし、UDLの考え方と何気につながっているなと、ちょっぴり科学的に自身の実践を振り返る今日この頃です。
 
 私より意義深く、学び多い授業を子ども達同士の方ができるのかもしれません(笑)。ミニ授業の可能性を私自身強く感じた授業でした。子どもたちが教師の視点に立つ。これも前回紹介した役割取得能力の向上につながっているのかもしれませんね。

 最後までお読みいただきありがとうございました。

篠田 裕文(しのだ ひろふみ)

佛教大学大学院博士後期課程1年
修士課程を修了し博士課程に進学しました。修士時代に学んだこと、学校現場で実践したことを書き綴りたいと思います。

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