2018.07.24
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教師の夏休み 「知的」積極的休養のススメ

そろそろ夏休みになる学校も多いと思います。

夏休みを子どもがどのように過ごすのかということは大事なことですが、それと同じくらい教師がどのように過ごすのかということは大事なことです。

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明

「消極的休養」と「積極的休養」

休養には「消極的休養」と「積極的休養」があるとされています。「消極的休養」とは、疲れている体を休めるためにゆっくりお風呂に入ったり、体を動かさず疲れを取ったりするようなやり方です。逆に「積極的休養」とは、疲労物質が溜まっている時に体を動かすことなどで体の血行を良くし、疲れを取るというものです。

教師の夏休みは「消極的休養」と「積極的休養」の組み合わせがポイントなのだと思います。日頃、朝早くから夜遅くまで休みなく仕事をしている身体は、やはりきちんと休ませることが必要なのだと思います。仕事のことを考えず、ゆっくりと温泉に入り、美味しい料理を食べるような時間は必要なのだと思います。起きる時間を気にせず、ゆっくりと眠るようなことも必要なのだと思います。

それとは少し違った視点で、「積極的休養」的な休みの過ごし方も教師にとっては必要なのかもしれません。特に小学校の教員は、様々な教科を教えています。教師自身が色々なことに興味を持ち、挑戦していくことが日々の教育活動の質の向上につながるのだと思います。物理的に体を動かすということも良いですが、「知的な」積極的休養というものが望ましいのではと思います。

教師の勤務の特殊性

私は小学校の教員をしている頃、6年生を担任することが最も多かったです。22年間の教員生活の中で7回、6年生を担任しました。そういったこともあり、夏休みには古墳や城廓など歴史に関する場所をよく訪れていました。自分が実際に行って手に入れてきた情報は子どもの食いつきも違っていました。

教師の仕事は線引きが曖昧です。私が6年生の担任をしていた時に古墳や城廓に訪れたことは、明らかに授業に役立っていますが、それが仕事かと言われると少し微妙な感じです。趣味のような面もありますし、家族での旅行でもあります。「仕事であり、遊びである」という感じです。

現在進められている「教師の働き方改革」と逆のような考え方になってしまうのですが、教員の仕事は「仕事が遊びであり、遊びが仕事である」ということが可能なのではと思います。授業の方法は多様ですし、教師にも子どもにも個性があります。学校にいる時間だけでなく、生活全ての時間から教師として学ぶこと、授業においてヒントとなるようなことを見出すことができます。私は夜に自宅でニュースを見ながら、次の日に朝の会で話す内容を探していました。また、行き帰りの電車の中での高校生の振る舞いからもたくさんの視点を見つけていました。職員室や教室でパソコンに向かって仕事をすることも大事なのですが、そういったこと以外も教師にとっては大事だということです。

ところで、教師の時間外の勤務が縛りなしに行われてしまっている原因の一つが公立学校の教員に定められている 「教員給与特別措置法(以下「給特法」という)」 です。この法律は、上で書いたように教師の仕事は、多様であり、「勤務」の定義が難しいので、それを一律で支給しようということもねらいの一つでした。結局、その当時の平均残業時間であった月間8時間分を給与に教職調整額として加算(4%)することとなりました。現在は、勤務の状況が大きく変わり、「給特法」によって教師の勤務が非常に厳しいものとなってしまっています。

教師は全人格が試されている

教育は、教師の全人格が試されると私は思っています。もちろん、教科書にある内容を教えるのですが、どのように教えるのか、授業の前後でどのような話をするのかなどには、その教師の考え方、言い換えると「生き方」のようなものが表れてきます。何かトラブルがあった際の指導や学級経営などにおいては、もっとそういったものが顕著に表れます。

そういった意味で、どんな時でも教師として、人として成長していくことが大切なのだと思います。夏休みという時期は、教師の多様な学びを実現しやすい時期です。教育セミナーに参加したり、教育関連書籍を読んだりという教育に直接関連のあることをすることも良いと思います。それとともに、少し自分の趣味に近いようなことをしていくことも良いのではと思います。そういったことが、広い意味での教師の能力を上げていくことにつながるのだと思います。

終わりに

1学期お疲れ様でした。まだ少し残務があるかもしれません。そういったものを片付けたらご自身のため、ご家族のために時間を使ってください。そういったものがきっと次へとつながっていきます。素晴らしい夏休みとなるよう願っております。

鈴木 邦明(すずき くにあき)

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。

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