2018.06.12
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行事を生かす

 年度当初は入学式や始業式、修学旅行や研修旅行、体験活動など、様々な行事が企画されている学校も多いです。

 行事は普段の授業とは違った新たな学びの機会であり、そこでしか得られない貴重な体験も多いと思います。しかし、行事がその日だけで完結し、「楽しかった」で終わったのでは、もったいない気もします。行事の成果を普段の授業やクラス経営などに繋げていくことが重要になってきます。

 勤務校では、毎年5月に1年次の生徒が1泊2日で宿泊研修を行います。今回は、その内容やその後の授業などへの生かし方について、記事を書きました。

山形県立米沢工業高等学校 定時制 教諭 高橋 英路

宿泊研修 in 農家民宿

勤務校では1年次生を対象に宿泊研修を実施します。内容は毎年決まったものでなく、年度ごとに決めることになっています。今年は、1年次の担任として、学校や市街地からは離れた農村で農家民宿に少人数で分宿し、農業体験を交えた研修を企画しました。大まかな日程は以下のとおりになります。

【1日目】
午前:電車・バスで学校最寄り駅から移動(少人数のため公共交通機関です)。
昼頃:現地に到着。対面式を経て、それぞれの民宿へ。
午後:民宿ごとに活動。
  (茶飲み話や山菜採り、畑仕事、家畜の世話、笹巻づくりなど、民宿ごとの特徴あり)
夜 :民宿ごとに入浴・食事。
  (その日に採った山菜を皆で料理したり、囲炉裏で話をしたり・・・)

【2日目】
朝 :民宿ごとに朝食をとり、集落内の公民館へ集合。
午前中:
 ①民宿での体験を全体でシェアするワークショップ
 ②新聞を使ったワークショップ(今年度、クラスに毎日1部新聞が届くため)
 ③集団づくりワークショップ
昼 :昼食後、バス・電車で移動。学校最寄り駅に到着後、解散。

 1つの民宿に生徒2~3名で分宿したことで、民宿の方ともうまくコミュニケーションがとれ、民宿ごとの特色ある活動もさせていただくことができました。また、同じ民宿に泊まった生徒間の仲も深まり、クラスづくりの面でも非常に良かったと思います。さらに、2日目にそれを全体でシェアするワークを入れたことで、他の民宿に泊まった生徒同士のやり取りも促され、結果としてクラス全体の集団づくりに良い効果がありました。

事後報告会

研修後、「地理」の授業の中で報告会を企画しました。グループごとに自分たちの体験を模造紙にまとめ、それを全体に発表するというものです。保護者の方にも案内し、8割くらいの方に参加いただきました。研修当日にもお互いの体験をシェアしているわけですが、この報告会は「体験の共有」でなく「相手に分かりやすく伝える」ということを目的としました。そのため、報告会に向け、分かりやすく伝えるためのコツについて学んだり、発表の仕方について以下の項目のルーブリックを示したりしました。

《ルーブリックを作成した項目》
 ・発表の時間(短すぎず、長すぎず)
 ・模造紙(見やすく)
 ・姿勢・視線
 ・話し方(基本)
 ・話し方(応用)
 ・内容

 当日は、こうした内容を踏まえ、それぞれのグループが堂々と発表することができました。また、入学して少し時間がたったこの時期に、保護者の方にその姿を見ていただけたのは、非常に良かったのではないかと思います。

地理の学習へ繋ぐ

「地理」の授業の中で扱ったので、農家民宿の取り組みなどはグリーンツーリズムの事例として紹介したり、往復の電車内から見えた散居集落や断層などを紹介したりすることで、教科書内容へと繋がるように考えました。

 また、生徒の発表の中に、「だいぶ田舎なのに、いろんな国の人たちが訪れていることに驚いた」というコメントがあったので、それを活用して、「人はなぜ、そこに住んだのだろう?」という問いを投げかけ、集落の学習へ繋げることにしました。世界各地(日本も含む)の「辺境の地」と言われるところを紹介して、そこに住む理由を考察するというものです。自然的な要因から社会的な要因まで、様々なことが考えられ、地理的な考え方を養うにはピッタリの問いではないでしょうか。実際の授業でも、個人で考えた後にグループや全体でシェアしてみると、多種多様な考えが出てきて、新たな発見や驚きがあったようでした。

 このように、学校行事という生徒にとって身近なできごとを、授業の中に活用し、それを教科の学びへと繋げていくというのは非常に重要だと思います。ちょっとした講話などの行事であっても、その後の授業で取り上げることで、理解が深まることもあると思います。
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

高橋 英路(たかはし ひでみち)

山形県立米沢工業高等学校 定時制 教諭


クラス担任と地歴公民科で「地理A」「日本史A」「世界史A」「現代社会」の授業を担当。専門は地理。生徒達の「主体的・対話的で深い学び」が実現できるよう、p4c(philosophy for children)やKP(紙芝居プレゼンテーション)法などの手法も取り入れながら日々の授業に取り組んでいます。

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