2018.03.30
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新年度に向けて

修了式や離任式、卒業式が無事に終わり、別れを惜しむ間もなく、次の年度がやってきます。異動があった方、特に転居を伴う場合などは、かなりバタバタする毎日を送っていると思います。

年度当初にあたり、クラス担任や教科担任という立場で、様々なことを考えると思います。今回は、もうすぐ始まる新年度に向けて、考えておきたいこと、やっておきたいことをまとめてみました。

前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭  山形県立米沢東高等学校 教諭 高橋 英路

入学式に向けて

新入生のクラス担任になる場合は、お互い顔と名前も一致しないところからのスタートなので、多くの準備が必要になると思います。

(1)名前の読みをチェック!
 入学式の最大のヤマ場は呼名なので、名前の読み方を確認することは必須だと思います。時代が変わると名前に使われる漢字や読みも大きく変わります。が、ここで間違えてはいけません。
 私自身、名前が珍しいため、小さい頃から何度も間違えられてきました。小学校のクラス分け発表でも、大勢の前で間違えて呼ばれたことがあります。毎回のように名前を間違えられるのはすごく嫌で、クラス替えや年度当初の授業になると「どうせまた間違えられるんだろうな・・・」と憂鬱になっていたのを思い出します。名前の読み方を確認しておくことは基本中の基本です。絶対にやっておくべきだと思います。

(2)入学式前のHRで伝えること
 入学式前と後にHRの時間があると思います。ここは担任と初対面の場ですし、保護者の方も出席されているケースが多いので、的を絞って大事なことをしっかり伝える必要があります。
 入学式前のHRでは、その日の流れを伝えておくことが大事だと思います。私たち教職員側は、事前に入念に準備をし、当日の流れを頭に入れています。卒業式の場合は練習の機会もあり、生徒も何となく流れは押さえていることになります。が、入学式は、その日が初めての登校日になるわけなので、その日の日程はもちろん、会場の様子や式次第、トイレの場所まで、よく分からず不安になっている生徒もいると思います。
 「今のうちにトイレ行っておいてね」とだけ言う方がいますが、全体の日程が分からないと、今行かないとどれくらい行けないのか、分かりません。また、「名前を呼ばれる場面があるから元気よく!」とだけ言われても、式のどの場面で呼ばれるのか分からず不安な状態で過ごす生徒もいます。
 ちなみにこれは授業にも言えることで、授業冒頭で「本時の学習活動」をきちんと示すことで、生徒がその時間全体の見通しを持って授業に臨めると思います。

(3)入学式後のHRで伝えること
 入学式後のHRでは、どんなことを伝えていますか?緊張している場面ですし、欠席者も少ないので大事な話をするには絶好の機会ですが、あまりに多くのことや個別具体的なことを話されても、よく分からずに終わってしまう危険性もあります。
 私が話していることの1つは、「お互い多様性を認め合おう」ということです。高校になると、それまで以上に育ってきた環境の異なる生徒が一緒のクラスに入ることになります。そうしたときに「この人ちょっと違うな」と感じることはあると思います。でも、そこから排除したり、迎合したりするのではなく、「そういう考え方もあるんだなぁ。参考にしよう!」という感覚を大切にしてほしいということです。
 もう1つが、いくら多様性を認めると言っても「他人を傷つける行為は認められない」ということです。これは「暴力」はもちろんですが、「言葉(の暴力)」も同様です。そして、万が一、そんな状況に遭遇したら、いつでも相談に乗り全力で守るということを伝えます。

 これ以外にも、挙げればキリがないほど、やるべきことはたくさんあります。そんな中で、特に大事にしたいことだけを書いてみました。

初回の授業に向けて

クラス担任でなくても、新年度は新たな生徒たちを迎え入れるわけなので、教科担任としての準備も必要になります。

(1)名前の読み方をチェック!
 クラス担任でなくても、または自分の担任しているクラス以外でも、名前の読み方は確認しておきたいところです。それが叶わないのであれば、最初の授業で一人ひとりに確認しながらとか、自己紹介してもらって確認するといったこともアリだと思います。当てずっぽうで読んで「間違ったら言ってね」というのは酷です・・・。

(2)つけたい力と、そのための授業がリンクしているかを確認→生徒に伝えるには?
 授業を通して生徒につけたい力は何か?再確認しておく必要があると思います。また、それと自分の授業スタイルがリンクしていなければ意味がありません。「こういう力をつけたいから、こういう授業をやっている。だから、この学習活動にはこのような態度で臨んでほしい」ということがストンと府に落ちることが大事だと思います。
 そして、そのことを伝えるための初回授業(オリエンテーション)をどうするか?初回授業でしっかり伝えたかどうかで、授業への取り組みはもちろん、つけたい力の達成度も大きく変わってくるはずです。

(3)教科・科目の最新情報をアップデート!
 地理であれば新たな国家が誕生したり、市町村合併が起こったり・・・他教科・科目でも様々な動きがあるはずです。また、高校については先日、次期学習指導要領(案)が公表され、そうした情報も入ってきていると思います。年度の途中でも教科・科目の最新情報が入ってくることはありますが、年度当初までにそうしたものをきちんと整理して、自分の担当教科・科目については確実にアップデートしておきたいところです。

準備はするけど臨機応変に

以上のように、皆さんも新年度に向けて様々な準備をしていると思います。しかし、いくら入念に準備をしても、私たちも生徒も人間です。想定外のことが起こったり、会って話してみたら違った反応が返ってきたり、あるクラスでうまくいったことが全然通用しなかったり・・・そんなことは日常茶飯事だと思います。そういう状況で、いかに臨機応変に次の一手を打っていくか?それが大事ではないでしょうか?
 私自身も、授業を通してつけたい力については、ブレないものを持っているつもりですが、そのためのアプローチ(授業スタイル)は、担当しているすべての年次で変えています。最初から別々のアプローチを準備していたわけではなく、実際に授業を進めながら生徒たちの様子や反応を見て、少しずつアレンジしました。次年度についても、前年度までを当たり前のように踏襲するのではなく、生徒たちをしっかり見て、その瞬間にピッタリ合った一手を打っていきたいと思っています。


 今年度(平成29年度)の記事もこれが最後になりました。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。このたびは異動もなく、引き続き現在の勤務校に留まることができました。次年度も様々な気づきをもとに記事を書きたいと思いますので、多くの方々からコメントいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

高橋 英路(たかはし ひでみち)

前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭
山形県立米沢東高等学校 教諭


クラス担任と、地歴科で専門の地理を中心に授業を担当。生徒達の「主体的・対話的で深い学び」が実現できるよう、p4c(philosophy for children)やKP(紙芝居プレゼンテーション)法などの手法も取り入れながら日々の授業に取り組んでいます。

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