2017.12.27
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学級通信の役割

クラス担任をしている先生で、学級通信を出している先生は多いと思います。頻度や内容は、校種や学校・生徒の実態によって様々かと思います。私の勤務校は高校ですので、小中学校の先生が感じているイメージとは違った部分があるかもしれません。

私は初任校で担任をしたとき、特に決めたわけでもなかったのですが、卒業までの3年間、学級通信を毎日発行しました。学校が変わって現在の学校でも、これも特に決めたわけでもなかったのですが、卒業年次である4年次までの4年間、毎日発行しています。

最初は他の先生方のものを参考にするなど、手探りだったわけですが、何回も作成するうちに、その意義も感じるようになりました。今回は、学級通信の役割について記事を書いてみました。

前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭  山形県立米沢東高等学校 教諭 高橋 英路

内容について

学級通信の内容は、主に以下のようなものです。

(1)行事予定関係
・・・週末には翌週の予定、月の初めにはその月の行事予定を載せています。授業の曜日が変更になる場合や、本校は夜間定時制ですが昼間登校になる日もあるため、事前に知らせています。

(2)試験関係
・・・定期試験の時間割や試験範囲などの情報も学級通信で知らせています。

(3)行事関係
・・・行事の前に当日の日程や概要を伝えたり、行事の後には結果や様子を伝えたりしています。

(4)進路関係
・・・就職や進学など、進路に関する情報も伝えています。面接のポイントやその年の傾向、お金に関わることなど、様々な情報を入れています。

(5)表彰関係
・・・クラスの生徒が表彰されたことなど、何か良いことがあったときには全体に知らせるようにしています。

(6)社会のできごと
・・・社会で話題になっているできごとや言葉、季節ごとのイベントなどを紹介し、少しでも社会に興味を持ってもらうようにしています。

(7)生徒の声
・・・何かの感想や学級日誌のコメントなど、生徒が書いた文章を紹介しています。

(8)時期に応じた注意喚起
・・・長期休業中の生活や積雪時の交通安全など、必要に応じて呼びかけています。

出す(教員)側の意識

発行する側としては、次のような考え(自分内ルール)でやっています。

(1)時間をかけ過ぎない
・・・毎日発行すると言うと、それだけに時間が取られると思う人もいるようですが、そうでもありません。学級通信が仕事の中心ではありませんし、発行することが目的になってはいけないと思います。私としては、出勤してすぐの短時間で作成できるものと考えています。

(2)楽しみながら
・・・「必ず毎日出さないと・・・」「全員に読ませなければ!」「保護者の方に届くようにしないと!」などと、完璧を目指して自分にプレッシャーをかけるのは良くないと思います。通信を出すと生徒たちの様子もよく見えますし、補助的なコミュニケーションツールの一つと考え、「作る時間がないから今日はお休み!」「全員は難しいけど、△△くんと◎◎くんが興味ありそうな話題を載せてみようかな」といった具合で、欲張りすぎず、頑張りすぎずというのが良いと思います。

(3)強制しない
・・・生徒に配付して、SHRで通信を使って話をすることもあります。が、そうでないときに読むことを強制したり、保護者に渡すことを強制したりしないようにしています。もちろん、返信が必要な重要な文書は別ですが、前述したように学級通信はコミュニケーションツールの一つという認識でいます。ただ、教室のゴミ箱に捨てるのだけはNGということは伝えています。

発行して良かったこと

毎日発行するのが良いかは別として、頻繁に発行して良かったと感じたことをまとめてみました。

(1)生徒や学校の様子が分かる
・・・学級通信を発行するために、行事の要項を見直したり、他学年の動きを見たりということがでてきます。それによって、生徒たちがどんな時期で何をやっているのか、学校行事で誰がどんなことをやったのかなど、今まで以上に見えてきた感じがします。また、進路や社会の話題提供については、自分自身も大変勉強になり、他の場面での指導に大いに役立ちました。

(2)生徒間のコミュニケーションのきっかけ
・・・A4版で文字は12ポイント、イラストも多いので、簡単に読める分量です。読むことを強制はしていませんが、SHRで配ると、ほとんどの生徒が1分くらいで読んでいるようです。すると、その後に、「◎◎くん、スゴク頑張ってるんだね!学級通信で初めて知ったよ!」など、通信の内容をきっかけに話をしている様子が見えました。

(3)LHRや保護者面談の話題に
・・・A4用紙1枚にまとめているので、進路の話題提供には役立ちます。分厚い冊子や小さい文字のプリントを配付するより、それをまとめた回の学級通信を再配付して話をすることもできます。そのときになって慌ててまとめる必要がなく、イザというときにも役立ちました。

(4)文章を読む習慣に
・・・A4用紙1枚といえ、生徒たちはそれを毎日、卒業まで読むことになります。その分量の本を読むとなると、拒否反応を示す生徒もいることでしょう。新聞記事やコラムよりも少しハードルの低い、文章を読む練習になっていると思います。


ということで、これからもコミュニケーションツールの一つとして、ゆるく長く続けていこうと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

高橋 英路(たかはし ひでみち)

前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭
山形県立米沢東高等学校 教諭


クラス担任と、地歴科で専門の地理を中心に授業を担当。生徒達の「主体的・対話的で深い学び」が実現できるよう、p4c(philosophy for children)やKP(紙芝居プレゼンテーション)法などの手法も取り入れながら日々の授業に取り組んでいます。

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