2017.11.21
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「手だて」は引き算!引いた分は「学び」と「育ち」です!

子ども達ができるようにと、教育支援には「手だて」が必要です。しかし「手だて」は引き算!

京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究会 中川 宣子

学校祭:劇舞台発表

先日2日間の「学校祭」がありました。
本校の学校祭は一日目が「バザー」で、2日目が「劇舞台発表」です。
「劇舞台発表」は、一週間から10日程をかけて、劇の練習をします。
今年の劇は「シンデレラ」をもとにした「ふたごのシン・デレラと王子」でした。
子ども達は、双子のシンとデレラや王子をはじめ、魔法使い、馬車や馬に変身するねずみたち、舞踏会のマジシャン、ピエロなどに扮して劇をしました。
「私もきれいなドレスが欲しいわ」というセリフや、「ビビデ・バビデ・ブー」の曲に合わせたダンス、カボチャを運んだり、手品を披露したりする動き等々、7回の練習で本番を迎えました。

シンとデレラの「私もきれいなドレスが欲しいわ」のセリフ

練習の初めは、先生と一緒に舞台の中央に並び、
「先生:私も」「子ども:私も」
「先生:きれいな」「子ども:きれいな」
「先生:ドレスが」「子ども:ドレスが」
「先生:欲しいわ」「子ども:欲しいわ」とセリフを練習します。
次には、先生が舞台から降りて、「私もきれいなドレスが欲しいわ」と書いた画用紙の札を見せて、一文字ずつ指をさして示します。子どもは一文字一文字を読み、声に出します。
次には、画用紙の札を、舞台の下から見せるだけで、読んで言うようになります。
そして本番は、セリフを覚えて、「私もきれいなドレスが欲しいわ」と、立派に発表することができました。

魔法使いの「ビビデ・バビデ・ブー」のダンス

「ビビデ・バビデ・ブー」の曲に合わせたダンスも同様です。
初めは先生が子どもと同じ方向を向いて、ダンス見本を見せます。
次は、先生が子どもの後ろに回って、手をあげたり魔法の杖を回したりして、一緒に踊ります。
次は、先生と子どもが対面して、先生は子どもよりも僅かに早い動きをして、次の動きを知らせながら踊って見せます。
次は、子どもの動きに合わせて、先生は一緒に踊ります。
そして本番は、「ビビデ・バビデ・ブー」の曲が鳴るのを合図に、手をあげて魔法の杖を回して、見事に踊ることができました。

子ども達の「学び」「育ち」

子ども達は、先生の指差し、見本、一緒の動き、また画用紙の札や、「ビビデ・バビデ・ブー」の音楽などを手がかりにして、劇を練習しました。
そしてこれら練習の結果、本番には、それらの手がかりがなくても、自分たちで見事に、セリフやダンスを演じることができました。
つまり、劇練習の過程で先生が用意した「手だて」は、練習を重ねるごとに変化を辿り、本番にはこれらの「手だて」が引き算されていました。
そしてこれらの「手だて」が引き算された分、子ども達の「学び」があり、子ども達の「育ち」があったといえます。

私達は子ども達を教育支援するとき、その子どもが今の段階でできるようにと、状況を整えたり、一緒に活動したりと、あらゆる「手だて」をします。
しかし、いつまでもその「手だて」に固執してしまっていることはありませんか?
例えば、
子どもがやろうとしていたのに、つい手を出してしまったり、子どもが考えていたのに、先に答えを言ってしまったり・・・・。
私達のその「手だて」がなくても、子どもはもう、できるようになっているかもしれません。
それが、子どもの成長と発達ですね!
「手だて」は引き算!
子ども達の「学び」と「育ち」を、今一度しっかり捉えていきたいですね。

さぁ、これから2017年末に向かいます。
子ども達の2017年の「学び」と「育ち」、そして私達の「学び」「育ち」も、共に確かめていきましょう!

中川 宣子(なかがわ のりこ)

京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究
「特別支援教育とは、子ども達の特別な才能を学校・家庭・地域の連携により支え、教え、育てること」と考えています。日々の教育実践を、情報発信・交流し合い、共に子ども達の成長・発達に役立てていきましょう!

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