研究授業について
勤務校では年に1回、授業研究週間というものが設けられており、全員1回ずつ研究授業を行うことになっています。ちょうど先週がそれにあたり、私も2つの研究授業を行ったところです。年に1回とは言え、多くの先生方から参観してもらうのは良い刺激になります。
この研究授業に関しては、先生によって様々な考え方があるようで、私自身もあれこれ考えさせられてきました。今回は私自身がたまたま研究授業を行ったところだったので、それについて記事を書いてみました。
前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭 山形県立米沢東高等学校 教諭 高橋 英路
そもそも授業は公開?
つまり、普段の授業を見たい、見せたいということであれば、何も「研究授業」などと言わず、何の行事もない日常の1コマを見学すれば良いし、見てもらう方もそうすれば良いということになります。テスト前後や行事の前後など、イレギュラーな授業になる可能性もあるので、そこは事前に「普段やってる授業を見せてほしい」と一声かければ問題ないと思います。
では、「研究授業」とは何なんでしょう??
研究授業に求められるもの
ですから、「研究授業だから特別なことをやる」というのは別に悪いことではないと思います。ただ、「特別なこと」という定義が曖昧で、明らかに無駄なことに力を注ぐのはどうかと思います。例えば、普段はしないのに、やたらとマグネット掲示物を使いまくるといったことでしょうか…。もちろん、それに意図があったり、今後もやるつもりなら問題ありません。
また、せっかくの「提案性」や「チャレンジ性」が参観者に伝わらなければ意味がありません。特に、普段の授業を見たことがない人にとっては、どこが普段と違った工夫なのか分かりません。外部から来た参観者であれば、普段の生徒の様子や課題も分からないわけです。そこで大事になってくるのが指導案ということです。「本時の指導」のところにも留意点などは記載するわけですが、「教材観」「生徒観」「指導観」といった項目で普段の様子や工夫について述べていると分かりやすいと思います。逆にここの記述が薄いと、授業者の意図や普段の様子が見えにくく、授業の中でそれに気づいた頃には遅い…といったことになる可能性があります。せっかくの研究授業で的確にアドバイスをもらうためにも、指導案はきちんと作るべきだと思います。
参観者について
見る側の心構えとしては、上述したようなことを理解した上で見るということではないでしょうか。あらかじめ指導案に目を通し、生徒の実態や授業の流れ、授業者が提案・チャレンジしているポイントといったことを理解しておく必要があります。その上で、授業者の提案・チャレンジが効果的に生徒を変容(良い意味で)させているかを見ることが大事だと思います。
また、授業を見る際は、教室後方からでなく、前方から生徒の表情を見るべきだと思います。これは、最近けっこういろんなところで言われているようで、私も含めそのような先生が増えている気がします。事前に指導案に目を通しておけば授業のだいたいの流れは分かるので、別に授業者を見る必要はないでしょう。むしろ、授業者の仕掛けによって生徒がどのように変容しているかを見るべきだと思います。また、授業者が意図しない場面で生徒の表情が変わることもあります。例えば、突然生徒の表情が曇り、明らかにやる気を喪失するということもあるかもしれません。そういったときは、そのときに授業者がどんなことをしたのか、原因を探ることで解決の糸口が見つかるかもしれません。
最後に、授業は最初から最後まで見た方が良いと思います。授業でグループ学習や発表をすると言うと、そこだけを見る先生がいます。しかし、実際には、その活動を成立させるために、授業の冒頭から小さな仕掛けを積み重ねているはずです。そこを見逃して、ハイライトシーンだけを見ても的確なアドバイスはできないと思います。
ということで、あくまで私個人としての考えにはなりますが、研究授業について、やる側と見る側それぞれに求められることを書いてみました。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
高橋 英路(たかはし ひでみち)
前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭
山形県立米沢東高等学校 教諭
クラス担任と、地歴科で専門の地理を中心に授業を担当。生徒達の「主体的・対話的で深い学び」が実現できるよう、p4c(philosophy for children)やKP(紙芝居プレゼンテーション)法などの手法も取り入れながら日々の授業に取り組んでいます。
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