協同絵本づくり・・・『かたつむりのがっこう』
第22期も引き続き、「明るく!強く!楽しく!」をモットーに、特別支援教育情報を発信します! どうぞよろしくお願いします!
京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究会 中川 宣子
今回は、教育支援連携実践の一事例として、協同絵本づくり・・・『かたつむりのがっこう』を紹介します。
一枚のかたつむりの絵
小学3年生のBさんが、一枚の白い紙を持ってきて見せてくれました。
A4サイズ2つ折りになった白い紙を開けてみると、そこには、かたつむりの絵が描いてありました。
かたつむりの絵と一緒に、お母さんからの手紙が添えられてあり、
「先生と絵本を作ると話しています。僕が絵、先生が文章だそうです。よろしくお願いします。」と書かれていました。
絵本づくりに挑戦
可愛らしい4匹のかたつむりに魅せられて、早速、絵本づくりに挑戦です。
4匹のかたつむりは、先頭を「お母さんかたつむり」、続く3匹を「子どもかたつむり」としました。
「子どもかたつむり」の名前は、かたくん、つむちゃん、りーくんです。
その日から、かたつむりの絵は続きました。
次の日は、かたつむり達の住む家の絵、また次の日は、子どもかたつむりが通う学校の校舎の絵、先生達の顔の絵、学校までの道に走るかたつむり電車の絵、と続きました。
『かたつむりのがっこう』
こうして、数枚の絵が集まり、それらを構成して文章を添え、一冊の絵本に仕立てました。
Bさんとの第1作目となる協同絵本の題名は、『かたつむりのがっこう』。
子どもかたつむり3匹が、楽しく個性ある先生達のいる学校に、毎日元気に通う様子を描いています。
繋がる学び
早速、Bさんは完成した『かたつむりのがっこう』を家に持ち帰りました。
絵本と一緒に保護者宛に一枚の手紙を添えました。
「興味関心に繋がってくれたらと思います。」
そして次の日、朝一番にA4サイズの厚みの封筒を持ってきたBさん。
早速、封筒を開けてみると、お母さんからの手紙が入っていました。
「有難うございます。興味関心に繋がったようです。またよろしくお願いします。」
そしてその奥には、10枚ものかたつむりの絵が入っていました。
Bさんは待ちかねたように話しました。
「ぼくね、もうお話し決めてあるよ。『かたつむりのかいすいよく』」
Bさんとの協同絵本第2作目は、『かたつむりのかいすいよく』に決定です。
教育支援連携実践
子どもが自ら学びに向かう姿は、教師にとっても保護者にとっても、何より嬉しい姿です。
そして教師も保護者も、子どもの成長・発達を日々願っています。
協同絵本づくりは、子どもと保護者と教師が、共に心と力を合わせて作る絵本です。
ここにも教育支援連携の実践がありました。
さぁ、また明日も、子どもたちの成長・発達のために、明るく強く楽しく、教育支援連携実践を積み重ねていきましょう!
中川 宣子(なかがわ のりこ)
京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究会
「特別支援教育とは、子ども達の特別な才能を学校・家庭・地域の連携により支え、教え、育てること」と考えています。日々の教育実践を、情報発信・交流し合い、共に子ども達の成長・発達に役立てていきましょう!
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