夏休み終盤~休み明けに向けて
校種や地域による違いはあるものの、夏休み終盤~休み明けという時期になりました。ちなみに私の勤務校がある山形県では17日頃から学校が始まるところも多く、今週に入ってからというのは遅い方になるかもしれません。
いずれにしても、夏休みは他の長期休業より長く、年度の途中でもあるので生徒たちへの影響は非常に大きいです。様々なイベントもあるので、夏休み中に普段はできない様々な経験を積み、一回り大きく成長するというような生徒もいます。逆に、年度当初から少しずつ積み上げてきたものが一気に崩れ去る危険性もあり、教員としては夏休み明けの登校日が近づいてくると心配も出てくるものです。
さて、そんな時期にどんなことをすべきか?教科担当者や部活の顧問など、立場によってもいろいろ変わるものですが、今回はクラス担任として、自分自身がやっていることを紹介したいと思います。
前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭 山形県立米沢東高等学校 教諭 高橋 英路
定時制生徒の夏休み
これが夏休みとなると学校のことを気にしなくて済むので、朝から夕方まで毎日のようにビッチリ勤務する生徒も増えます。通常だと、学校に来て部活をしたり、補習や模試を受けたり、学校で案内されたボランティアに参加したり・・・夏休みとは言え学校と関わる機会は非常に多いと思います。しかし、定時制ではこういった状況ですから、夏休みになると学校との関わりが極端に少なくなってしまいます。
前述したように、学校というものに縛られない分、大きな成長も望めますが、その逆もあり得るので、クラス担任としては余計に心配してしまうこともあります。
夏休みを緩やかに終える
休み終盤に生徒に働きかけ、学校との関わりを少しずつ取り戻してもらうことです。具体的には、休み明けの登校日のことを連絡するため、クラスの生徒全員に電話をしています。もちろん、連絡事項の伝達だけでなく、休み中の様子を聞くことが大事な目的なので、そちらに重点を置いています。仕事で疲れている生徒も多いですが、それ以上に「これは何かあったかも…」という場合は話している声で判断がつくものです。ポイントは、休み明け前日でなく、少し余裕を持って数日前に電話というところです。数日の余裕を持たせることで、何か対応が必要な場合に様々動くことができます。
さらに、この電話連絡の後、休み明けまでの数日間にやることがあります。それは、休み明けのクラスの掲示物作成や、文化祭のクラス出し物の下準備などです。ちなみに今年は卒業年次の4年次で、9月1日に卒業までの登校日が残り100となるので、卒業までのカウントダウンカレンダーを作ることになりました。これは私一人でやるということではありません。電話連絡した際に気になった生徒や、夏休み前の状況から考えて学校に登校した方が良いと判断できる生徒を中心に誘っています(強制ではありません)。仕事の都合で来れない生徒もいますが、たいていの場合、何名かの生徒が来てくれました。普段の登校日とは違い、時間に余裕がある中で様々な話をしたり、たまたま都合がついた生徒が来るわけなので普段と違った組み合わせの生徒同士が会話をしていたり、なかなか良い時間だと思います。
このように、夏休み終盤に全員への電話連絡+希望者登校でのクラス活動を行い、少しずつ学校モードへ切り替えていく「慣らし期間」のようなものを取り入れています。
休み明け初日
また、本校では長期休業明け初日、全職員で分担して生徒全員との面談を実施しています。全体で企画されているものなので、共通の質問事項や時間も示されています。これも夏休み明けに限ったものでなく、普段からそうしているんですが、定期的に予定されている面談については、1人30分以上の時間をかけるようにしています(これは個人的にやっています)。質問事項があらかじめ決まっていると、それを事務的に聞くとあっという間に終わってしまいます。淡々と質問され、最後に「他に何かありますか?」なんて言われても、なかなか言い出せないと思います。そこで、何もなくても、あえて30分以上の時間を確保することで、場の空気をあたため、お互いに話しやすい関係づくりを心掛けています。ただ、回数や時間をかけることが必ずしも良いわけではないと思うので、もっと効果的なやり方はないものか、試行錯誤中でもあります。
こうして、休み終盤の働きかけに加え、初回の登校日にもじっくり話をする機会を設けることで、少しでもスムーズに学校生活に戻れるようにと考えてやっているところです。最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
高橋 英路(たかはし ひでみち)
前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭
山形県立米沢東高等学校 教諭
クラス担任と、地歴科で専門の地理を中心に授業を担当。生徒達の「主体的・対話的で深い学び」が実現できるよう、p4c(philosophy for children)やKP(紙芝居プレゼンテーション)法などの手法も取り入れながら日々の授業に取り組んでいます。
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