2017.08.17
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『学びの場.com』は学びの場

『学びの場.com』を通じて、「特別支援教育」について伝え、共感し合い、共に考えることが出来たら・・・
それは教育支援連携活動の第一歩です!

京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究会 中川 宣子

お盆休みに入り、先生たちにとっては、やっと夏休み。
リフレッシュされましたか?
こういう時にこそゆっくりと、『学びの場.com』を読んでいくと、「そうそう、本当にそうですよね~。私も頑張らなくっちゃ!」と、多くの先生方から学ばせてもらい、励まされます。
『学びの場.com』はまさに、私たち教師にとっての「学びの場」ですよね。

『学びの場.com』感動エピソードの理由

さて『学びの場.com』も、今期残すところ数回となりました。
今期7回については、子ども達と過ごす中で強く感じられた「感動エピソード」を中心に発信してきました。
なぜ「感動エピソード」を発信したのか?

特別支援教育の話題

特別支援教育に携わる毎日の中で感じたことを、皆さんにお伝えし、共に考え、学び合いたいことは沢山あります。例えば、
特別支援教育という教育活動、それに関連する学び・学習について。
特別支援教育を必要とする子ども達の心理や行動について。
特別支援教育に関わる価値や理念・概念について。
特別支援教育に関わる社会環境、教育制度、教育法、教育政策について。
特別支援教育に用いられる教育施設や教具について。
特別支援教育に携わる人(保護者・教師など)について。
特別支援教育の技法(教授法・指導法)について。
特別支援教育に関わる教育史について。
特別支援教育そのものの目的、教育学方法論、教育研究法について。
特別支援教育の教材論、教育課程論について。

特別支援教育の道を30年歩いてきていますので(年がばれる( ;;))、特別支援教育に関連する話題は尽きません。
その中で、『学びの場.com』を通じて、まず皆さんにお伝えし、共感したかったのは、
日々の教育支援活動の中で見られる「子ども達一人一人の姿」であり、「子ども達の素晴らしさ」だったのです。
これが「感動エピソード」でした。

特別支援教育に関わる変化

昨今、TVや書籍で「発達障害」という言葉も頻繁に聞かれるようになり、社会や人々の理解は、数年前よりも、はるかに広がりました。
また「障害」の概念に関しては、私が大学で習った頃には、WHO国際障害者分類(ICIDH1980)による、身体機能の障害による生活機能の障害(社会的不利)、マイナス面を分類するという考え方が中心であったのに対し、
今は国際生活機能分類(
ICF2001)において、生活機能というプラス面からみるように視点を転換し、人間と環境との相互作用を基本的な枠組みとして、ひとの健康状態を系統的に分類する考え方となりました。
また、学校教育法改正により、障害の程度等に応じて特別の場で指導を行う「特殊教育」から,障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに応じて適切な教育的支援を行う「特別支援教育」への転換(平成 15 年)もありました。
また、教材・教具についてはアナログからデジタルへ、これまで紹介してきた「デジタル連絡帳アプリ」も、教育支援連携活動を強化するための一つの教育支援ツールです。
(詳細は下の欄「豆知識」)

これらのように、障害や特別支援教育に対する社会情勢や人々の理解は、ここ数十年の間に進歩し、変化し続けてきました。

変化しないこと

このような中で、あらためて「変化しないこと」は何なのかを考えた時、それは、
目の前の子どもの中の素晴らしさ、子どもの特別な才能を見出すことだ!と考えたのです。
そして、
子ども達一人一人の特別な才能、その素晴らしさは、毎日接している私たちが、一番感じていることです。

教育支援連携活動の第一歩

「桜さん、落ちたら、友だちいっぱいやなぁ。」とつぶやいたAさん。(2017.4.21「学びの場.com」以下同様)
「聞いてほしい!もっと話したい!もっと伝えたい!」と立ち上がる子ども達。(20175.9
「フーフー」と映像の中のろうそくの火を消すしぐさをする子ども達。(20175.25
「写真、撮って!」とお母さんにお願いしたBさん。(2017.6.12
「臨海学習、楽しみやなぁ。」と荷物準備をしていたCさん。(2017.6.28
『ゴミの視覚化』をすることで掃除ができるようになった子ども達。(2017.7.14
牛乳飲めた!「ピッカピカ―」の魔法の言葉でやる気広げる子ども達。(2017.8.1

ここ『学びの場.com』で紹介した「感動エピソード」の中に、子ども達の素晴らしさを感じ、子ども達の特別な才能を見出し、共感していただけたら幸いです。
そして、まずはこの子ども達の素晴らしさを感じ、子どもたちの才能を見出すことこそ、教育支援連携活動の第一歩ではないでしょうか?

子ども達の成長・発達最前線!

私は、「特別支援教育」とは、
「子ども達の特別な才能を学校・家庭・地域の連携により支え、教え、育てること」と考えています。
今後も、「特別支援教育」の現場から、子ども達の成長・発達最前線を発信していきますよー!
『学びの場.com』で一緒に学び合いましょう!
※「教育支援連携活動・デジタル連絡帳」については、ホームページ【特別支援ICT研究会:デジタル連絡帳】で検索

「豆知識」

ICIDH とは・・・
International Classification of Impairments, Disabilities, and Handicaps
世界保健機関(WHO)が、1980年に「国際疾病分類(ICD)」の補助として発表された分類法。疾患・変調が原因となって機能・形態障害が起こり、それから能力障害が生じ、それが社会的不利を起こすという障害モデル。
ICF とは・・・
International Classification of Functioning, Disability and Health
人間の生活機能と障害の分類法として、20015月、世界保健機関(WHO)において採択された。この特徴は、これまでのWHO国際障害者分類(ICIDH)がマイナス面を分類するという考え方が中心であったのに対し、ICFは、生活機能というプラス面からみるように視点を転換し、さらに環境因子等の観点を加えた。
③「特殊教育」から「特別支援教育」へ
平成 15 年3月,特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議の「今後の 特別支援教育の在り方について(最終報告)」 (以下,最終報告)において,障害の程度等に応じて特別の場で指導を行う「特殊教育」から,障害のある子ども一 人一人の教育的ニーズに応じて適切な教育的支援を行う「特別支援教育」への転換を図っていくことが示された。

中川 宣子(なかがわ のりこ)

京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究
「特別支援教育とは、子ども達の特別な才能を学校・家庭・地域の連携により支え、教え、育てること」と考えています。日々の教育実践を、情報発信・交流し合い、共に子ども達の成長・発達に役立てていきましょう!

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