2017.08.01
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「ピッカピカ―」は魔法の言葉

「ピッカピカ―」の言葉は、子ども達のやる気を育む『魔法の言葉』の一つです。

京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究会 中川 宣子

『日常生活の指導』

夏休みに入り、子ども達は家庭で過ごす時間が増えました。
早寝早起き、しているかな?」
「朝ごはん、食べているかな?」
「家でゲームばかりせずに、身体を動かしているかな?」
「お手伝いをしているかな?」

学校がある時には、これらのことを毎日のように子ども達と確認し合っていました。
『デジタル連絡帳(特別支援ICT研究会)』があれば、これらの情報は、家庭からリアルに伝わってくるからです。
成長期の子ども達にとって、基本的な日常生活指導は欠かせません。
様々な学習の基礎になると同時に、「自立」に繋がるからです。

このように特別支援学校では、『日常生活の指導』を大事にしています。
着替え、排泄、食事、整理整頓、掃除・・・・・日々の学校生活の中で、毎日繰り返し学習していきます。
これらの学習内容が、夏休みに少しでも家庭で活かされていたら嬉しいなぁと思うところです。
今回は、この「日常生活の指導」の中の「食事」場面で見られた「ピッカピカ―」の言葉についてのエピソードです。

牛乳嫌い!

子ども達の中には、偏食の子が多くいます。
「野菜は一切、家では食べません」
「汁物がダメなんです。家では食べさせていません」
小学部
1年生に入学したての頃、保護者の方から毎年のように聞かされる話です。
Aさんは、牛乳が飲めない子でした。
アレルギーはありません。
小さい頃、何度か飲む機会があったようですが、嫌がって暴れたようです。
小学校に入学し、給食があり、牛乳は給食に毎日出ます。
Aさんは、何とかして牛乳を飲まずに済ませようとしましたが、家庭とも相談しながら、牛乳が飲めるように、指導していくことになりました。

牛乳飲めた!「ピッカピカ―」

初めは、スプーン一杯から始めました。
ほんの僅かな量ですが、Aさんは嫌がりました。
ところが、何かの拍子で一口飲めた時、
「やったー!Aさん飲めたね、すごーい!」
と、皆で大喜びしたのが嬉しくて、しばらく、牛乳一口が続けられるようになりました。
その様子を見て、次の段階として、
Aさんの子ども用のコップに1cm位の量に挑戦することにしました。
飲める者からすれば、一口ゴックンとすれば飲める量です。
しかし、Aさんはコップに口をつけたまま飲もうとしません。
Aさんは、葛藤していました。
牛乳は嫌い、でもこれを飲んだらほめてもらえる、
皆が喜ぶ、でも牛乳は嫌い。
なかなか思い切れません。
同じ教室にいた友だちも先生も、ただただAさんが自分から牛乳を飲むことを待っていました。
無理強いはしません。
すると、Aさんは眉間にしわを寄せながら、満を持して牛乳を飲んだのです。
そして、空っぽになったコップを、黙って私たちに見せました。
思わず、
Aさん、ピッカピカ―やん!」
「やったー!えらかったねー!」と大拍手。
Aさんの「やったぞ!」という満面の笑みが、とても印象的でした。

「ピッカピカ―」は魔法の言葉

その日から、Aさんをはじめ、クラスの子ども達が口々に、
「ピッカピカ―」
と言って、空になったコップやお皿を見せるようになりました。
野菜が嫌いだった
Bさんはお皿を、
ご飯が苦手だったCさんはお茶碗を、
そして
Aさんは1学期間をかけて、200CC牛乳一本分を飲んで、空のコップを見せながら、
「ピッカピカ―」
「ピッカピカ―」
と、言うようになりました。
「ピッカピカ―」はまさに、『魔法の言葉』です。

魔法の言葉で、やる気!

学習は、毎日続けてこそ効果が現れます。
と同時に、毎日続けるには、子どもにとっても、指導する側にとっても、根気、やる気が必要です。
子どもでも大人でも、いやいやな気持ちでは、長続きしませんよね。
今回のエピソード「ピッカピカ―」のように、
『魔法の言葉』で、やる気になって、
楽しく困難を乗り越えることができたらいいですよね。
あなたは幾つの『魔法の言葉』を持っていますか?
暑い毎日ですが、やる気、元気で過ごしましょう!

中川 宣子(なかがわ のりこ)

京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究
「特別支援教育とは、子ども達の特別な才能を学校・家庭・地域の連携により支え、教え、育てること」と考えています。日々の教育実践を、情報発信・交流し合い、共に子ども達の成長・発達に役立てていきましょう!

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