2017.06.19
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問いを考えさせる

前回の記事では、
p4c(=philosophy for children「子どものための哲学」)
という手法を用いた
実践について書きました。


「正解のない問い」について、
皆で対話するという
ものですが、
今日は、
その問いを考えさせること
について書きたいと思います。

山形県立米沢工業高等学校 定時制 教諭 高橋 英路

問いは誰がつくる?

授業で扱う
「正解のない問い」は
誰がつくるべきでしょうか?


授業内容や生徒の状況を考慮し、
教員が考えた方が良いでしょうか?


以前お邪魔した研究会では、
授業として実施する以上、
教員側が問いを立てないと
 こちらが意図する目標に到達できないのでは?
 評価しようがないのでは?
といった意見が出されたことがあります。


しかし、p4cの授業では、
問いは生徒たちが立てます。


事前にアンケートのような形で
考えてもらうこともあれば、
当日その場で考え、
どの問いについて話すかを
決めることもあります。


私自身も
実際に授業でやってみると、
やはり生徒たちに
問いを考えてもらった方が良いと
感じています。

生徒が問いを立てる意義

では、生徒たちに
問いを考えてもらう意義とは
何でしょう??


一般的なテストでは、
正解の決まっている問いがあり、
それに対して答える必要があります。


こうした一連の流れによって、
私たちは常に答えを探す練習ばかり
しているような気がします。


しかし、実際の社会では、
最初から決まっている正答を探す
ということより、
 ①自ら課題を見出し、他者と一緒に対処法を探る
 ②さらに疑問に感じたことを質問する
といったことが必要になります。


私は、生徒に問いを考えさせる
最大の意義は、ここにあると考えています。


p4cでは、
その日のメインの問いを考え皆で対話することが、
「① 自ら課題を見出し、他者と一緒に対処法を探る」ことに繋がり、
対話の中で、他の人にさらに質問することが、
「② さらに疑問に感じたことを質問する」ことに繋がると思います。

問いを立てさせてみる

最後に、私が生徒に
問いを考えさせている様子を
紹介します。


① 毎回の授業
毎回の授業の振り返りシートの中に、
その日の授業内容に関連した
「正解のない問い」を書く欄を設けています。


例えば、先日の授業で扱った問いは、
「なぜ人は平等に接することができないのか?」


歴史の授業の中で学んだ、
「次第に階級や身分が生まれた」
という内容に関連して考えたというものでした。


②対話中や対話後
対話しているとき、
その日の問いに対して
無理に「答え」を話す必要はありません。


問いに対して、
さらに疑問に思ったことを
話すこともあります。


また、対話の授業が終わったとき、
「すっきり解決できた!」
ということばかりではありません。


皆と話をしたけれど、
さらに分からないことが出てきた
なんてこともあると思います。


こうした新たに出てきた問いについても、
対話中に話したり、
対話後に振り返りシートに記述させたりしています。


③TOIカード
私が担任しているクラスでは、
他の人の行動を見て
「いいね!」と思ったことを書く
「いいね!」カードという取り組みを
行っています。

書いたカードはBOXに入れ、
教室内のボードに掲示しているのですが、
そのとき使っているボードを半分に分けて、
「TOIカード」というものを追加で行うことにしました。


これは、授業中に限らず、
生活している中で、
ふと疑問に感じたことや、
皆と話してみたいこと、
一人では解決策が見出せずにいることなどを
書くというものです。


他校での取り組み事例を
参考に考えたものですが、
教室内にあることで、
気軽に問いを考えることができるようです。


このような取り組みを続けて、
最近うれしかったことが
あります。


対話の授業後に書く
振り返りシートの中に、
「問いを考えたり、
問いについて話したりすることが楽しい」
という記述がありました。


これからもこうした記述が増え、
思索の楽しみのようなものが
伝わってくれたら良いなぁ
と思ったところです。
高橋 英路(たかはし ひでみち)

高橋 英路(たかはし ひでみち)

山形県立米沢工業高等学校 定時制 教諭


クラス担任と地歴公民科で「地理A」「日本史A」「世界史A」「現代社会」の授業を担当。専門は地理。生徒達の「主体的・対話的で深い学び」が実現できるよう、p4c(philosophy for children)やKP(紙芝居プレゼンテーション)法などの手法も取り入れながら日々の授業に取り組んでいます。

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