2017.01.30
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「デジタル連絡帳アプリ」実践までの「でこぼこ道」

これまで、「デジタル連絡帳アプリ」を利活用した、家庭と学校との教育支援連携活動について発信してきました。
今回は、今日の「デジタル連絡帳アプリ」実践までの紆余曲折の道・・・「でこぼこ道」についてお話しします。

京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究会 中川 宣子

今週は、京都も珍しく大雪警報が発令され、一部では大雪にも見舞われました。

皆さんの地域は、雪被害など、大丈夫でしたでしょうか。

私も今回は大雪を目前にして、連日雪かきを行いました。

雪は大変重く、スコップにのる量はわずかで、雪かきは、ただコツコツと少しずつやるしかありません。

そして、コツコツと雪かきを続けることで、何とか少しずつ前へ、道が開けてきます。

雪かきはまるで、教育実践と同じだなぁ・・・なんてこと思い、またひとつ自然から学んだ気がしました。

さぁ今日も、子ども達の成長、発達のためにコツコツと、教育実践の道を前進していきましょう!

「デジタル連絡帳アプリ」実践までの「でこぼこ道」

さてこれまで、「デジタル連絡帳アプリ」を利活用した、家庭と学校との教育支援連携活動について発信してきました。

お陰様で反響があり、これまでに沢山のご意見をいただいています。

ありがとうございます!

「デジタル連絡帳アプリ」は、実践をして現在3年目。

そして、実践に至るまでの研究、開発に、5年の歳月がかかっています。

今日のような「デジタル連絡帳アプリ」実践までには、紆余曲折の道のりがありました。

様々な抵抗、多くの応援があって、現在の実践に至っています。

そこで今回から、「デジタル連絡帳アプリ」実践までの「でこぼこ道」についてを、お話ししたいと思います。

新しいことを始める時、多かれ少なかれ遭遇する「でこぼこ話」です。

「デジタル連絡帳アプリ」は、どうしてできたの?

そもそも「デジタル連絡帳アプリ」を、どうして作ろうと思ったのか。

それは、
私が実践を通じて、「連絡帳」を「連絡帳」だけで終わらせるのではなく、
もっと子ども達の教育支援に役立てたい!という願いからでした。

「連絡帳」は、特別支援教育において、なくてはならないもの

現在も、特別支援学校や特別支援学級の多くで、家庭と学校間において「連絡帳」の実践が行われています。

過去の資料をみると、障害児教育が始まったころから、家庭と学校との間で使われていたようです。

大抵の「連絡帳」は、ノートや書式が印刷されたプリントを使っています。

内容は、単なる連絡事項だけでなく、
学校での子どもの様子や、家庭での食事、排便、就寝・起床時刻、体温・・・・といった健康面についてや、
時には子どもを支援する上での保護者や教師の考え、
子育てに関する悩みなどが書かれていることもあります。

「連絡帳」は、その日その日のリアルタイムな子ども情報を、
子どもの一番そばにいる保護者や担任教師によって綴る、
貴重な資料であるといえます。

今も昔も「連絡帳」が使われ続けているのは、特別支援教育において、なくてはならないものだからですね。

「連絡帳」は、子ども情報の宝箱

私もこれまで、特別支援学校の学級担任をしていて、
「連絡帳(紙)」を毎日、活用していました。

一日一日の子どもの学び、育ちについて、
ご家庭に伝えるという目的のもと記録すると共に、
時には「以前はどうだったかなー?」と、
子どもの学び・育ちを振り返る資料としても「連絡帳」を活用していました。

毎日変化する子どもの様子を、お母さんは忙しい時間の中で、丁寧に書いてくださいます。

また担任教師も、限られた時間の中で、必死に子どもの学校での様子を、ご家庭に伝えようと記録します。

毎日の子どもの学び・育ち、変化がいっぱい詰まった「連絡帳」は、
まさに、子ども情報の宝箱だったのです。

「連絡帳(子ども情報の宝箱)」をもっと活用したい!


ところが、「連絡帳」をやりとりするのは主に、担任教師と保護者(母親)間であることが多く、
毎日得られる子ども情報を、第3者によって共有されることは、ほとんどありませんでした。

このままではもったいない!

子ども情報がいっぱい詰まった宝箱である「連絡帳」を、
もっと活用できないか?
もっと活用したい!

「連絡帳」のオープン化➡教育支援の輪の広がり

子どもをよりよく教育支援するためには、
子どもの関与者が、互いに子ども情報を共有すること、
つまりまず子どものことを、互いによく知り合うことから始まります。

お母さん、お父さん、おじいちゃん、おばあちゃん、担任教師、team-teachingの同僚教師、養護教諭、管理職、・・・・
子どもの教育支援に関与する人はたくさんいます。

「特別支援学校って、何を勉強してるんやろ?」と、
心配してくださっているおじいちゃん、おばあちゃんは、
学校での様子をどれくらいご存知でしょうか。

「今日の授業は、何をやったのだろうか?」と、
管理職は知っているでしょうか。

これらの日々の様子が「連絡帳」には、毎日綴られています。

「連絡帳」の情報がオープンになれば、
子どもの様子は、手に取るようにわかります。

この子ども情報のオープン化によって、
教育支援者の子どもに対する理解は深まり、教育支援の輪が広がる!
と考えたのです。

では、どうすればよいか?

こここから、「デジタル連絡帳アプリ」の研究、開発を始めたのです。

いよいよ次は「デジタル連絡帳アプリ」の誕生、そして実践への道です。

しかし、これがまた、なかなかの「でこぼこ道」なんですよ。

次回へと続きます。

まだまだ寒い日が続きます。

皆さん、風邪などひかれないように、明日も元気に、
子ども達の教育支援を実践していきましょう!

中川 宣子(なかがわ のりこ)

京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究
「特別支援教育とは、子ども達の特別な才能を学校・家庭・地域の連携により支え、教え、育てること」と考えています。日々の教育実践を、情報発信・交流し合い、共に子ども達の成長・発達に役立てていきましょう!

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