2016.10.14
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

理科嫌い?「嫌い」ではなく,「苦手」でした・・・

福岡市立千早西小学校 教頭 今林義勝 今林 義勝

みなさんはじめまして。
今回より連載させていただきます今林です。よろしくお願いします。
まずは簡単な自己紹介から・・・
そもそも私は小学校の教諭ですが,最近流行(?)の異校種人事交流によって,小学校と中学校の両方の校種に勤務するという経験をさせていただきました。その立場で見えてくるものはとても多く,9年間の義務教育を見通した学びのあり方をを再考させらえるものでした。
また,中学校では専門である理科を担当させていただきました。はずかしながら,中学校時代,理科の成績が「2」であった私が,理科の道に進むきっかけは,高校時代の「教師」の一言であったと記憶しています。
そこで私は,小中連携に関することやそこで感じた小中それぞれでの学級経営について,「理科」に関すること,中学校における部活動についてなど,様々な立場から,つれづれに投稿させていただきます。あくまで個人的な意見や感想ですので,あたたかい目でご覧いただけたらと思います。

「理科」嫌いのはじまり・・・
さて,第1回ということで,自分の専門である「理科」の授業で日頃感じていることをお話ししたいと思います。
教育センターなどで研修講座の講師などを担当する際,若い先生や経験の浅い理科専科などから,「理科って難しい・・・」「授業がうまくいかない・・・」という声を聞くことがあります。私も,初任者の時に全くうまくいかないのが,理科でした。当時の教務主任からは,「先生の語り方や子どもの見取りが足りないから,子どもが考えていないよね」と指摘されたことがありました。

自分の小学校時代にさかのぼると,自分の中で嫌いな教科の中に「理科」がありました。理由は簡単。「予想」を問われたときに,自分が固まってしまうのです。算数だったら,やり方や考え方を見つけたり調べたりできて,問題が解決出来た時の喜びを感じることができました。しかし「理科」の予想は,経験や知識がものをいうのです。塾などで学んできた友達にとっては,たやすいことである予想も,私にとっては苦痛な時間でした。

先ほどの,理科の苦手な先生方に話を聞くと,「実験は楽しくやってるんだけど,予想がね・・・できないんですよ」という声が多いのに驚きます。そこに,昔の小学生だった私の姿を重ねてみてしまいます。

「モノを見つめる視点」があると・・・
子どもに「考えてごらん」と投げかけることについて,もう一度考えてみましょう。子どもにとって少し不親切なのかが,少なくとも私にはわかります。モノを見つめる「科学の目」がなければ,石はただの石ですし,落ち葉もただの焼き芋の道具の一つです。そこには,「科学の目」というモノを見つめる視点が必要なのではないでしょうか?
例えば・・・
小学校第5学年の天気の学習の一コマです。
「雲を見て気づくことは何ですか?」「雲はどのように動いているでしょう?」
ある指導案の発問計画です。
子ども達は,様々な答えを自由に出していきます。子ども達の発想って面白いですよね。こういう時間,とても大好きです。
しかし教師は,授業内容というものがありますから,必要な子どもの情報を集約し,「雲は西から東に動き,天気も西から東に移り変わる」とまとめていきます。
普通の授業ですよね?
しかしまとめをしているとき,ある男の子が,自由に書いた自分の言葉を消していました。あとで話を聞くと,その子のノートの言葉は,全くまとめには結びつかなかったのです。自分の無力さと「理科ってわからない」という苛立ちから行った行動であったと後から尋ねてわかりました。
そこに,小学生であった私と重なるものがあります。

同じような光景,見かけたことはありませんか?
次回は,このような子ども達に少しでも寄り添える理科授業の工夫についてお話ししたいと思います。

今林 義勝(いまはやし よしかつ)

福岡市立千早西小学校 教頭 今林義勝
小中人事交流での小学校と中学校の両方の経験を活かし、9年間を見通した教育活動を行っています。また、「活用型問題解決による理科」の実践研究が現在のテーマです。

同じテーマの執筆者

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop