2005.10.04
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がんばれ三宅島!(第2回) ~三宅村立小学校教育IT化プロジェクトに密着取材~

今回は、筆者でもある私も参加させていただいた作業の内容を少し詳しく取り上げます。

三宅村立小学校IT環境整備

メンバーはプロジェクトリーダーの堀田先生の指示のもと、以下のようなチームに分かれて作業を行いました。
作業のようす

作業のようす

職員室内LAN敷設チーム
普通教室PC設置チーム
校内LAN敷設チーム
ドキュメンテーションチーム
遊撃チーム

職員室内LAN敷設チームは、職員室のファイルサーバやプリンタ、インターネット接続の設定を行い、各先生方が利用しているノートPCの設定を行って職員室のLAN環境を構築するのが仕事です。普通教室のPC設置チームは、ノートPCへの教育用ソフトウェアのインストール、プロジェクターおよび移動用のプロジェクターカートの設置、加えて利用マニュアルの整備を担当しました。校内LAN敷設チームは、無線LANアクセスポイントを設置し、どの教室からもインターネットにアクセスすることを可能にします。ドキュメンテーションチームは作業の経過やミーティングの内容を記録し、資料として整理をしました。遊撃チームは、各チームの作業の状態を見ながら、遅れているチームのてこ入れや、チーム間の連絡などをしました。
私は、主に校内LAN敷設チームの作業に参加し、インターネット接続設定、無線LANアクセスポイントの設定、校内のIPアドレス管理等の作業を担当しました。

作業開始

作業全体で一番苦労したのはなんと言っても時間がないという一語に尽きます。作業は2回に分けておこなわれましたが、6月12日の第1回作業では0泊2日で作業時間が実質4時間。7月18・19日の第2回作業では1泊3日で、作業時間は実質10時間程度でした。少ない時間で効率よく作業するために、細かくミーティングが行われ、堀田先生のもとに作業の進捗情報を集めながら作業しました。

多くの作業を行った7月18日のミーティングの記録を元に作業が開始されてからの様子を時系列に記述します。時間のない中での緊迫感を想像しながらお楽しみください。

9:00
宅急便で送った品物のうち電源ケーブルが届いていないことに気付く。三宅島の電気屋さんをあたることに。
職員室のPCが学校支給のものと個人所有のものがあり、手を加えてよいか対応を検討する。
電源容量(アンペア)の問題で、プロジェクター・レーザープリンタ・黒板消しクリーナーを同時に動かすとブレーカーが落ちてしまうことが判明。コンセントの位置に迷う。
11:00 宅急便で届かなかった電源ケーブルが島内で確保される。
先生用PCの設定を行うもWindowsUpdateがはかどらない。
明らかに調子が悪い先生用PCが1台見つかる。
昼食を食べる場所が決まる。

12:00

先生方への講習会
職員室のファイルサーバ設置が完了する。
先生用PCでインターネット接続ができるようになったものの、通信速度が異常に遅いことが判明。LANケーブルを作り直すことにする。
校内LANの配線が終了する。

14:00
宅急便で届かなかったと思われていたケーブルが配達される。
学校Webページ・インターネット百葉箱の設定が完了する。
学校の先生方への講習会が完了する。
15:30 教室用PCの設定が完了する。
中古のプリンタがWindowsXPから正常に印刷できないことが判明。プリンタの設置を1台断念する。
撤収作業が開始される
16:00 撤収

便利になった環境

私も初めて経験することが多く、ドタバタしてしまいましたが、なんとか時間内に作業を終えることができました。プロジェクトの活動によって、三宅村立小学校のIT環境がどのようになったのかをご紹介します。

職員室内LANを機能させることによって、プリンタ・ファイルサーバ・インターネット回線といった資源を先生方が共有して利用できるようになりました。なかでも、プリンタのネットワーク化は先生方に喜んでいただけました。これまでプリンタに接続されている端末の順番待ちをしなければならなかったわけですから、大きな進歩です。また、インターネットで発表される三宅島の火山ガス濃度(http://www.miyake-so2.jp/)のページを副校長先生がいつでも見られるようになりました。児童の登下校時の安全対策に利用されているそうです。

教室で利用される PCとプロジェクター

教室で利用される PCとプロジェクター

普通教室では、ノートパソコンとプロジェクターを持ち込んで、授業が行えるようになりました。無線LANでインターネットも利用できます。多くなってきたインターネット上の教材を授業で利用できる環境になりました。もちろんコンピュータにはウィルス対策ソフトとフィルタリングソフトが導入され、ウィルスや不適切な情報は学校からシャットアウトされています。

学校ホームページからは学校から生の情報が発信されるようになりました。まだ帰島できない島民の方々を含め、三宅村立小学校の教育活動の状況を知りたいと思っている人は多いと思います。マスメディアで三宅島の状況が取り上げられる枠には限界がありますので、三宅村立小学校からの情報発信には切実な需要があると考えられました。

短い期間でしたが、プロジェクトメンバーの働きとプロジェクトに協賛していただいた企業・個人の皆様の応援、そして三宅村立小学校の教職員の皆様のご協力で、多くのことを達成することができました。プロジェクトに携わった一人として皆様に感謝申し上げます。

現在の三宅村立小学校の様子

現在の三宅村立小学校の様子は、三宅村立小学校Webサイト(http://schoolweb.ne.jp/weblog/index.php?id=1310002)で見ることが出来ます。先生方の手により、三宅村立小学校の教育活動が継続的に掲載されています。整備されたIT環境がさりげなく利用されていることがわかる場面があり、個人的にとても楽しみにしています。

(株)内田洋行寄贈の定点観測システム「インターネット百葉箱」は三宅村立小学校の屋上に設置され、三宅島の気温・湿度・風向・風速等に加え、カメラによる映像を24時間観測し続けています。

このインターネット百葉箱は、もっと設置に時間がかかって大変なものかと思っていたのですが、トラブルなく設置および設定が終了しましたし、ちょっとした工夫は必要だったものの、ADSL接続の三宅村立小学校の環境でも気象データを公開できています。

インターネット百葉箱のカメラに映っているのは雄山の画像です。気象のデータからは、夏には湿度90%を超える日が何日も続くことや、台風の風の影響を強く受けることがわかります。東京都内から南南西に180kmに位置する三宅島の特徴がよくあらわれています

。 定点観測ポイント案内サイト「定点の杜」(http://teitennomori.uchida.co.jp/)から自分の住んでいる地域と三宅島の気候を比較することもできますので、是非お試しください。

(文: 森下 誠太)

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