2016.03.22
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【先生たちの復興支援】さいたま市立海老沼小学校 教諭 菊池健一さん(第3回) 「国語科で震災を学ぶ」

今回は、さいたま市立海老沼小学校 教諭 菊池健一さんの授業実践、第3回目です。

今年度担当する児童と震災について学ぶ授業に取り組んでいます。これまで、学年の掲示板に震災の記事を掲示したり、震災に関する記事をスクラップしたりする活動を行ってきました。また、被災地の方に寄り添って取材をされている新聞記者さんから現地の話を聞く活動も行ってきました。

児童にとっては5年前の東日本大震災の時には3歳か4歳であり、その時の記憶が残っていない児童も数名います。震災から5年が経ち、被災地が復興を遂げているというニュースもある中で、未だに行方不明になっている方が2,500名を超えていることや、津波で被害を受けた所の移転が計画通りに進んでいないという、復興への課題が残されているニュースも目にします。そんな中で、これからを担う子ども達には東日本大震災から人と人との絆について改めて学んでほしいと願い、今回の授業を計画しました。

3年生の教科学習で直接東日本大震災を取り上げた学習はないので、国語科の「書く」学習において大震災を取り上げることにしました。活用した単元では、1年間の思い出について、イメージマップや構成メモを作成して、段落相互の関係を明らかにしながら作文にまとめていく学習を行います。この学習の中で、作文を書く題材を「3・11 東日本大震災があった日」として活動に取り組みました。

児童が取材をしたメモ

児童が取材をしたメモ

まず、児童は東日本大震災のあった日に自分がどこにいて、周りはどんな様子だったか、そして、どんな気持ちになったかということを思い出すようにしました。児童によっては当時の記憶があまりない子もいるので、保護者の方に協力を仰ぎ、当時のことを思い出せるようにしました。

そして、同時に保護者の方が震災当日どのような状態であったかということを児童に取材させました。

「お母さんは、ビルの14階に一人でいたのでとても不安だったようです。早く私を迎えに行きたいと思っていたようです」。
「お父さんはちょうど電車の中にいたそうです。電車から降りると周りの人が大騒ぎをしていたそうです。私やお母さんが無事かどうかを早く知りたいと思って電話を何度もかけたそうです」。
「保育園の帰りに地震があったので、お母さんは私のことを抱きしめて、地震が治まるのを待ったそうです」。
 など、改めて、大震災当日のことを家族で思い出してもらいました。児童は、これまで新聞記者の方から被災地のことを詳しく聞いているので、ちょうどその時に自分や家族がどうしていたのかということを、興味深く調べていました。

児童の作成したイメージマップ

児童の作成したイメージマップ

震災当日の自分や家族について調べた後は、調べたことを生かして、「作文イメージマップ」作りを行いました。真ん中に「東日本大震災」と書いてあるワークシートに、思いつくことをクモの巣のようにどんどん書いていく作業を行いました。児童は自分や家族の当日の様子を思い出しながらマップ作りに取り組んでいました。

これまでしっかりと取材をしてきているので、イメージマップ作りをすぐに行うことができました。このマップを活用して、作文に書きたい事柄を決定しました。児童はこの日の一番印象的な場面を作文に書くようにしました。この後、実際に作文を書き、震災当日のことについて友達に発表をし合う活動を行います。その様子について、次回報告したいと思います。

文・写真:菊池健一

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