2015.03.17
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

【先生たちの復興支援】さいたま市立東宮下小学校 研究主任 菊池健一さん(第2回) 「道徳で震災を学ぶ」

今回は、さいたま市立東宮下小学校 研究主任 菊池健一さんの授業実践第2回目「道徳編」です。

児童に示した新聞記事

児童に示した新聞記事

東日本大震災ではたくさんの方の命が奪われ、原発の問題など様々なことを私達に投げかけてきました。学校教育の中でも、積極的に防災教育が取り入れられたり、道徳で活用する資料に震災を題材としたものが活用されたりするようになりました。現在活用されている道徳の副教材にも震災のことを扱った資料があります。今回の実践では、道徳の時間に震災の資料を扱いながら、できる限り児童に震災を「自分事」として捉えられるように工夫しました。その実践を紹介したいと思います。
道徳の授業を行う際に大切にしていることが二つあります。一つは、授業の前に児童の興味関心を高める「種まき」をすることです。私自身は主に新聞記事を用いて、道徳の授業で活用する資料と関連のある事柄を事前に紹介するようにしています。また、もう一つは事後指導です。道徳の学習を行った後に児童の道徳的実践につながるような工夫をすることが必要であると考えています。今回の実践では、道徳で学習したことを生かして、国語科の授業で取組むという単元の再構成を行い、児童の学習に深みを持たせる工夫をしました(この国語科の実践については次回報告します)。
道徳で扱った教材資料

道徳で扱った教材資料

一つ目の興味関心を高めるための「種まき」についてですが、前回の報告でも示したように、道徳の資料に関係のある新聞記事を児童と一緒にスクラップしました。扱う資料は、「震災で母親を亡くした女の子のお話」(家族愛)と、「岩手県の奇跡の一本松を守ろうとするお話」(郷土愛)についてです。それらに関係する新聞記事を児童と読み合い、感想などを交流する活動を行いました。
児童は、
「大震災で、私達と同じくらいの子もたくさん亡くなっているんだね」
「もし、私が大震災で亡くなっていたら、家族はきっと記事に出ていたお母さんと同じようにとっても悲しむと思う」
「その日まで元気でいた家族が急に亡くなってしまうなんて考えられないと思う」
「一本松は本当に強いんだね。写真を見ると周りに何も無くなっているから津波がすごかったんだということがわかるよ」
「きっと、この一本松を見て、地震で被害を受けた人たちは勇気づけられただろうね」
「この一本松は、だめになるかもしれないと書いてあるよ。ここに住んでいた人達はものすごく悲しむんじゃないかな」
 などの感想を述べました。
授業の板書

授業の板書

児童の中には、震災についてあまり関心のない子もいます。また、奇跡の一本松などのニュースを見たことのない児童もいます。しかし、そのような児童にもリアルな現実と触れ合わせ、それらに関心を持たせておくことで、道徳の授業でも、学習する内容について進んで考えていけるようになると考えています。

道徳の実際の授業では、スクラップした新聞記事を思い出すことから始めました。児童の中には記事の内容について、家の人と話したり、関連する内容をインターネットで調べていたりする子もいました。家族愛について学ぶ資料での学習では、進んで自分と家族との事を考えたり、読んだ新聞記事の内容と関連付けたりする児童が多く、たくさんの発言がありました。

「お母さんを亡くしてしまった私は、自分でご飯を作る! と決めてとてもえらいと思う」
「きっと天国に行ったお母さんも喜んでいると思う」
「僕は、今家族と一緒にいられることがとても嬉しくなりました。これから少しでも家族のために何かしたくなりました」
 など、たくさんの考えが発表されました。東日本大震災は私達に多くのことを投げかけてくれたように感じます。家族の大切さ、地域の大切さ、人と人との絆の大切さなど多くのことを考えさせられた気がします。これからも、積極的に道徳の時間に震災の資料を活用したいと思います。

この学習の事後指導として、国語科の「報告文を書こう」という単元で、家族や被災地を取材した新聞記者に話を聞く活動を取り入れました。震災について知ったことや調べたことなどを報告文にまとめます。この実践については次回報告いたします。

文・写真:菊池健一

※当記事のすべてのコンテンツ(文・画像等)の無断使用を禁じます。

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop