2017.03.22
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【東日本大震災を取り上げた授業】さいたま市立海老沼小学校 教諭 菊池健一さん (リポート3) 「震災について作文にまとめる」

被災地や被災校支援のために、学校や教員の皆さんが取り組んだ教育活動を紹介します。今回は、さいたま市立海老沼小学校 教諭 菊池健一さんの授業実践全4回のうち、第3回目です。

震災について学んだことから伝えたいことを考える

児童は、前回までの取組で、自分や家族が東日本大震災時にどのような状態であったか、そしてどんな気持ちになったかを思い出したり、インタビューしたりして思い出してきました。また、被災地である福島県について取材してきた新聞記者さんから、当時の様子や現在の様子について詳しく話を聞く活動を行いました。これらの活動を通して、自分の経験と被災地の様子がつながり、東日本大震災を「自分事」として考えることができるようになってきたように感じます。

次に活動として、国語科の授業で、これまで学んだことを作文にまとめる活動を行いました。教科書では、東日本大震災を内容として扱ってはいないのですが、教科書の指導事項に添わせる形で、内容を震災に関連することとしました。

児童は、まず、これまでの活動からどんなことを感じたか、作文でどんなことを伝えたいかを考えました。

「福島の方は今でも多くの地域に避難をしているのだから、自分達とつながっていることを一番伝えたい」
「福島県の電気を僕達はたくさん使っている。だから、福島の問題は僕の問題でもあることを伝えたい」
「東日本大震災から6年たっても、まだまだ問題は解決されていない。これからも考え続けなければならないことを伝えたい。」

と、自分が伝えたいことを明らかにしました。児童は、新聞記者さんから話を聞いた後も、震災に関連のある新聞記事を読む活動を行ってきているので、震災が他人事ではなく自分と関わりのあることとして捉えることができていました。

児童と読んだ震災に関する記事 新聞記事を読む児童

児童と読んだ震災に関する記事               新聞記事を読む児童  

震災について学習したことを作文にまとめる

作文で一番伝えたいことが決まった後は、作文の構成を考えました。震災を取り上げた学習ではあるものの、国語科の単元の目標をきちんと達成しなければなりません。この単元では、「はじめ→中→終わり」の構成を考えて書くことや、作文で自分の心が動いたことを豊かな表現で書くことが目標として挙げられています。その点を児童にも意識させました。

児童は、「はじめ」の部分で、自分や家族が震災の日にどうしていたかを書き、「中」の部分で新聞記者さんから聞いた福島のことについて、自分の心の動きを交えながら詳しく書き、最後の「終わり」で自分が感じたことやこれからやってみたいことなどを書くことにしました。しっかりと文の構成を考えて作文を書くことができました。震災について大変関心を持っているので、どの児童も真剣に最後まで頑張って作文を書いていました。

また、今回の学習では、心が動いた所を豊かな表現で書くことも重要な目標です。児童は、「悲しい」「寂しい」「驚いた」などのありふれた表現を、もっと気持ちが伝わる言葉に変えるために、国語辞典を何度も引きながら考えていました。震災について感じたことや考えたことをどのような言葉で表現をすればよいか、真剣に考えることができました。今回の活動が、作文を書くという国語科の目標を達成する意味でも、大変効果的であったことがわかりました。

作文を書く児童                      辞書を引く児童

作文を読み合い感想を述べる

作文を書き終わった後は、友達同士で作文をお互いに読み合う活動を取り入れました。同じ活動をしてきた友達はどのようなことを感じたのか、自分と共通している所や違う所は何かなど、様々なことを感じることができました。友達と盛んに感想を述べ合う姿が印象的でした。

児童は、これから3月11日に向けて新聞記事を読む活動を続けます。もうすぐ、3月11日。児童が当日どのようなことを感じるのか、教師として見守っていきたいと考えています。

文・写真:菊池健一

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