2001.11.19
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食塩水の濃度

これは通常小学校5年生の算数で習いますが,苦手とする子が非常に多いです。 なぜでしょうか?  一つは抽象的だからです。とくに食塩は溶けると見えなくなってしまいます。 その見えない食塩を見える形にして説明してあげれば、理解を促すことができることでしょう。

問題1 難易度 ★

30gの食塩を170gの水に溶かして食塩水を作りました。この食塩水の濃度は何%でしょうか?

解説

食塩水の濃度とは、ある食塩水を100gに相当させた場合、その中にどれくらいの食塩が溶けているかを表す数(割合)で、%(パーセント)で表します。この問題では、食塩30gと水170gを混ぜるから、できる上がる食塩水は200gです。この食塩水の中に含まれる食塩は30gです。


上図のように、食塩水200g中に30gの食塩が含まれるということは、その半分の食塩水100g相当では半分の食塩15gが含まれることなので15%です。

ウラワザ
 ここまでは濃度の意味を分かっていただくために理屈で説明しましたが、ここで、公式を2つ紹介します。次の2つの公式は少々複雑ですが、食塩の問題で登場させると簡単に解決してしまうのです。いわば、食塩問題ウルトラ2公式です。食塩濃度問題で困ったら、この2兄弟公式にHELPを求めると、かなり楽に解けますよ。


 ここで、この公式の説明と併せて、問題1をこの兄弟公式に頼って解いてみます。
問題1を解くために兄公式に登場してもらいます。(食塩)、(水)はそれぞれ食塩と水の量(g)を表しています。(食塩)は30g、(水)は170gですから、


 弟公式に頼る場合は(食塩)を30g、(食塩水)を200gとして(濃度)を求めます。ただし、弟公式は未熟なので、私たちのサポートも必要です。何が必要かというと、濃度が%で出ずに、0.15というような小数点で答えを出してきます。その小数を%に直してあげる必要があるのです。


答え:15%

問題2 難易度 ★★

食塩が20gあります。この食塩をすべて溶かして濃度が10%の食塩水を作りたいとき,水は何g必要ですか?

解説

 この問題も問題1と同じ考え方で解けます。食塩水の濃度とは、ある食塩水を100gに相当させた場合、その中にどれくらいの食塩が溶けているかを表す数(割合)です。濃度が10%の食塩水とは、食塩水100g相当の中に食塩10gが溶けている食塩水です。つまり、水90gにつき10gの食塩を溶かすのです。

 いま、準備した食塩が20gあるので食塩水が200gできあがるように水を用意すれば、10%の食塩水ができますよね?つまり、180gの水を用意して、食塩20gを溶かして、200gの食塩水を作れば、10%の食塩水ができるわけです。つまり、必要な水の量は180gです。

ウラワザ
 問題2は、弟公式に頼って解いてみます。(食塩)が20g、(濃度)を10%として、(食塩水)を求めます。ただし弟公式は%を小数にしないと対応できないので、10%は0.10(=0.1)として与えます。

    20=(食塩水)×0.1  (食塩水)に0.1をかけると20になるのだから、(食塩水)は200とすぐに分かる方は、以下の計算する必要はありません。

(食塩水)=20÷0.1 =200g

ここで、食塩水が200gと出ましたが、この問題では、水の量を出したいので、食塩の分20gを引いて、180gが答になります。


答え:180g

問題3 難易度 ★★★

10%の食塩水が150gあります。この食塩水に5%の食塩水100gを加えました。混ぜたあとの食塩水の濃度は何%でしょうか?

解説

まず、問題1と問題2の「ウラワザ」を見て、公式を理解してからこの解法を見てください。
「ウラワザ」でご紹介した、兄弟公式にフル活躍してもらってこの問題を解いてみましょう。

濃度を求めるので、兄公式が助けてくれそうです。「でも、、こんな問題どうやって公式にあてはめるの?」なんて思っていらっしゃる方も多いのでは・・・そこで、もう一度冷静に問題文をみてみましょう。分母はすぐわかるのではないでしょうか。兄公式の(食塩)+(水)というのは、まさに(食塩水)の量のことですよね。ここでは、混ぜたあとの食塩水の濃度を求めることが目標です。混ぜたあとの食塩水の量は150g+100gで合計250gになります。これが分母。あとは、分子の(食塩)だけが分かれば、兄公式が一発解決してくれます。


分子の食塩の量は弟公式が解決してくれます。すると次のように求めることができます。


この二つを混ぜれば、15gと5gで、合計20gの食塩が溶けている食塩水ができるはずです。だから、分子は20g。あとは計算です。丁寧に計算してみましょう。


答え:8%

教え方のヒント

食塩の問題は通常小学校5年生の算数で習いますが、苦手とする子が非常に多いです。なぜでしょうか?
一つは抽象的だからです。とくに食塩は溶けると見えなくなってしまいます。
その見えない食塩を見える形にして説明してあげれば、理解を促すことができることでしょう。
つまり、図で説明してあげることです。
私は普段教えるとき、黒板では図を積極的に取り入れ、色分けを心がけています。
机上で教えるときには、4色ボールペンを片手に教えています。もう一つは、分数や小数など、算数が嫌いな子は、お手上げの数が容赦なく登場するからです。
これらの計算は、小数、分数の意味を理解していることを前提として計算されるべきですが、現実は必ずしもその通りにはなりません。
対処としては、とにかくまず計算方法をパターンとして覚えさせることだと思います。
計算の規則を覚えることにより、分数とはこんなもの、小数とはこんなもの、分数と小数の関係など徐々に理解を深めていくことができるでしょう。
それと、難問にぶつかったとき、子供はとかく放棄してしまいがちです。
なんとか解決してやるという覇気を呼び起こさなければなりません。
そんなときは、とにかくできるところまで取り組んでみるべきです。
問題3では、まず問題文で出来上がる食塩水の量をつかむことができました。
すると残りは公式の中の(食塩)という部分1箇所になります。
あと1箇所だけ分かれば解けるのだという方向性が見え、それなら解いてやるという意欲が湧いてくるのではないでしょうか。

教え上手 きんたろう先生

教え上手 きんたろう先生

「算数の教え上手」担当のきんたろうです。よろしくお願いいたします。
私が塾・予備校で教壇に立つようになってから、10年近くになりました。どちらかというと、勉強があまり好きでない生徒を教えてきました。そんな生徒の中にも、きっかけを作ってあげると夢中になって勉強する子がいます。
そんなとき「いい仕事をした」と思います。
教え上手とは,もちろん科目を教えることが上手であることと思いますが、併せて子どもに学ぶ意欲を起こさせることだと思います。
この「教え上手」では、その両面について、私の経験を活かして述べさせていただく予定です。ご参考にしてください。

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