2026.08.18
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算数手品で「はてな?」を引き出す5<3年「たし算のひっ算」> 「はてな?」「なるほど!」「だったら…」で作る算数授業(第17回)

前回に引き続き、今回もたし算の筆算を使った算数手品です。前回同様、3年生以上であればどの学年でもできますので、2学期はじめの算数授業にもお薦めです。

数表を使った手品

動画のように、カレンダーの中に十字型を置いて、真ん中の数だけ見えるようにして、十字型で囲まれた部分の合計を先生が当てるという教材です。

まだ4ヶ所も隠れているにもかかわらず、見えない所を含めて5つの数を足す計算を先生があっと言う間に行うので、子供たちは驚きます。

はじめは「もう一回やって!」とねだりますが、回数を重ねていくと「何かあるぞ…」と疑問を持ち始めます。

<例>
十字型で囲まれた部分の真ん中の数…10
先生の予想…50
十字型で囲まれた部分の合計…3+9+10+11+17=50

算数手品のタネは、文字式で考えると見えてきます。

真ん中の数をnとすると、十字型で囲まれた部分で隠された数は次のように表せます。
n-7、n-1、n+1、n+7

この5つの数の和を求めると、
(n-7)+(n-1)+n+(n+1)+(n+7)=5n

つまり、十字型で囲まれた部分の合計は、真ん中の数の5倍となることが分かります。

このことは、以前の連載で扱った100までの数表でも同様です。

例えば、数表の46を十字型の真ん中にした場合は、次のようになります。
 36+45+46+47+56=230

これを文字式で考えると、
 (n-10)+(n-1)+n+(n+1)+(n+10)=5n

100までの数表でも5nとなります。

カレンダーや数表を使った教材は、中学校の「文字式の活用」として知られています。小学校での実践は、私が知る限りでは、坪田耕三先生が取り組まれていました。

詳しくは、著書の『算数楽しく授業術』(教育出版・2004年)に掲載されています。参考になったところはたくさんありますが、3つだけ挙げるとするならば、次のとおりです。

  • 縦5マス、横5マスの十字型で、縦と横のそれぞれの和を比べる教材であること。
  • 帰納的な考え方の教材として扱われていること。
  • 4月の算数開きでの実践であり、算数で大切にしたい態度形成の様子が書かれていること。

算数教育者としての心構えもたくさん掲載されているので、興味のある方は、ぜひ手に取って読んでみてください。

授業の様子

はてな?

「2月のカレンダーを使った面白い算数手品を紹介します。」と言いながら、「2月のカレンダーを5マスかくすと」と黒板に書きました。

電子黒板に2月のカレンダーを映し、真ん中だけ見える十字型を移動させて、真ん中を10の場所に置きました。そして、「この5つの数の合計は…。」と言って少し間を空けて、「…50です。」と言いました。

何人かの子供たちは、電子黒板とノートに交互に視線を動かしながら、
「3、9、10、11…。」と言って筆算したり、
「3、12、22、33…。」と暗算したりし始めました。

ここで大切なのは、「計算しましょう」と言わなくても進んで計算しているこの子たちを褒めることです。

算数授業で育てたい態度として、「まず自分で確かめてみる」「先生の先を読んで動く」があると思います。

実際に取り組んでいる姿を褒めることで、言葉で伝えるより育てたい姿が具体的に伝わります。また、この後、同じような場面があれば、取り組む子が増えていたらさらに褒めて、学級全体の空気を作ることができます。

「今、『本当に50かな?』と進んで計算して確かめている子は花丸ですね。」と机間巡視しながら褒めました。

しばらくすると、
「うわっ、50になった!」
「なんで?」
と驚く声が上がりました。

その中のAさんから、
「もう一度やって!!」
とお願いする声が聞こえました。

そこで、Aさんに、十字型の場所を動かしてもらいました。Aさんは真ん中が20になる場所に置きました。

「もう計算している人はいいね。」と褒めた後に、「合計は100です。」と伝えました。

「え!もう計算終わったの?」
「本当だ…、100になった。」
などと驚く子の中に、

「これは、何かある…。」
「先生がどうやっているか知りたい!」
と疑問をもつ声が上がってきました。

なるほど!

黒板に「どうやっているのかな?」と書いて、本来なら自力解決の場面ですが、敢えて、ここまでの授業を振り返る場面を取りました。このまま自力解決させても、半分以上の子は筆が止まってしまうと感じたからです。

ヒントとなる今までの計算が黒板に書かれていなかったり、算数手品ばかりに目がいって今までの計算式の観察が足りなかったりしていたからです。振り返りは授業の終わりに行うことが多いと思いますが、授業の途中で行うことで、解決の見通しをもたせたり次の授業展開につなげたりするのに、有効に働きます。

まず、はじめに取り組んだ計算を振り返りました。

「3+9+10+11+17=50。」
と声が上がりました。

その式を黒板に書いていると、Bさんが勢いよく手を挙げたので、発表させました。

「左から順番に足していたけど、もっと簡単な方法があって…。」
と言いながら、Bさんは黒板の前に出て、式の数字を線でつなぎながら説明をしました。
「『9+11=20』、『20+10=30』、『30+17=47』、『47+3=50』。」

「確かに、簡単になった!」と拍手が自然と起きました。

次に取り組んだ計算を振り返りました。

「13+19+20+21+27=100。」
と声が上がると、すぐにCさんが勢いよく手を挙げたので、発表させました。

「Bさんに似ているんだけど…。」
と言いながら、Cさんも黒板の前に出て、式の数字を線でつなぎながら説明をしました。
「ここで40、ここも40、『40+40=80』、『80+20=100』。」

「すっきり!」と拍手が起きました。

「先生のやり方が分かりました!」とDさんが立ち上がりました。
このまま発表させたいところですが、せっかくのDさんの発表が伝わらない子がいると思い、ヒントだけ言ってもらうことにしました。
「十字の真ん中の数、10とか20とか…。」

黒板に書いてあるその数を黄色で囲んで、自力解決の時間を取りました。

5分経ちました。
自力解決の間の机間巡視では、ほとんどの子が「かけ算」「5倍」「真ん中を5倍している」など、算数手品のタネに気付いていました。

いつもはあまり手を挙げないEさんが挙手していたので、指名して発表させました。
「真ん中×5。」
「同じです。」
と教室の至る所から声が上がりました。

実際に「3+9+10+11+17」は「10×5」で成り立つか、「13+19+20+21+27」は「20×5」で成り立つか、みんなで確かめました。

だったら…

「こんなに早くばれた、くやしい…」とつぶやき、子供たち全員に聞こえる大きな声で「10と20のときだけじゃないのかな?」と投げかけてみました。

それに対してFさんが、
「じゃあ、確かめてみようよ。先生、2月のカレンダーをください。」
と意欲的な意見を言ってくれました。

「みんなも2月のカレンダーで調べたいのですか?」と念を押すと、
「はい!!!」
と大きな返事が返ってきました。

そこで、教師が提示用で使ったものと同じデジタル教材を児童用のタブレットPCで使えるようにしたものを配付し、グルーブで調べさせました。

残り時間は、成り立った場所の報告をさせました。

  • 6+12+13+14+20=65 (13×5=65)
  • 10+16+17+18+24=85 (17×5=85)
  • 12+18+19+20+26=95 (19×5=95)

次回は、番外編「パターンブロックを使った算数授業」です。お楽しみに!

種市 芳丈(たねいち よしたけ)

小中一貫三戸学園 三戸町⽴三戸⼩学校・三戸中学校 教頭
子供たちが夢中になる算数授業づくりに取り組んでいます。算数専科や複式学級の指導の経験あります。今、チャレンジしているのは、算数の教材研究や授業分析でのGemini Notebook(旧NotebookLM)の活用です。「Gemini認定教育者」を取得しました。算数の教材づくりの会「ガウスの会(代表:細水保宏)」の会員。

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