2026.05.19
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番外編「キズネール棒(ロッド)を使った算数授業」<1年生> 「はてな?」「なるほど!」「だったら…」で作る算数授業(第14回)

今回は番外編として、キズネール棒(ロッド)を使った学習活動の事例を紹介します。

数と計算の教材:キズネール棒とは

キズネール棒を使おうと思ったきっかけは、以前2回目に1年生を担任するにあたり、数え棒以外の教具も積極的に使って指導していこうと考えたことです。

数え棒には、次のようなメリットとデメリットを感じていました。

<メリット>

  • 1本1本数えることで、1対1対応の概念を理解させることができる。
  • 10本ごとに輪ゴムで括ることで、十進位取り記数法の仕組みを体験させることができる。

<デメリット>

  • 100を超える数になると、数え棒では扱いにくくなる。
  • 数の大きさと量(長さや広さ)が視覚的に一致しないため、数の大きさがイメージしにくかったり倍概念の指導には別の教具が必要になったりする。
  • 加法・減法では、数え足しや数え引きから脱却しにくい子が見られる。

上記のデメリットを解消するものとして、まず「タイル図」があります。

これは、遠山啓氏が「水道方式」の説明で用いた図のことで、数の大きさと量が視覚的に分かりやすくなっています。今では、多くの教科書会社で扱われている図で、算数セットの「さんすうブロック」もそれにあたります。

また、「キズネール棒」もデメリットを解消できる教具です。

これは、ジョルジュ・キズネール氏によって考案された教具で、タイル図同様、数の大きさと量が視覚的に分かりやすくなっています。1cmから10cmまで、1cmずつ長さが異なる木製(またはプラスチック製)の四角柱で、長さごとに色が決まっています。これらを組み合わせて使うことで、数の合成・分解、加法・減法の計算モデル、乗法の導入、簡単な分数などで活用することができます。

当時の勤務校の備品にはなかったので、お願いしたところ購入することができました。1セットには、表のように合計74本入っており、数が大きくなければ、2人で1セット使うことができます。

長さ(cm) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
黄緑
本数(本) 22 12 10 6 4 4 4 4 4 4

学習活動例

キズネール棒を教具として使うためには、それぞれの数と色を結び付けるための時間が不可欠です。そこで、遊びながらキズネール棒と親しむ「常時活動(5~10分程度で短い時間で毎時間行う活動)」をいくつか行いました。

また、課題を解決するための「数学的活動」としては、常時活動を繰り返した後、「加法」「減法」「100までの数」で活用しました。3つずつ紹介します。

常時活動①<1年:せいれつ> 

キズネールロッド(正木先生作成の教材)

初めてキズネール棒を使う子たちに取り組ませる活動です。

もともとは、正木先生(第2回参照)がスクールプレゼンター(現在販売終了)で作った教材ですが、その授業を拝見したとき、指導用としてとても優れていると思い、お願いをして共有していただきました。

キズネール棒を算数の「ともだち」として使うことや、机の上での置き方、小さい順に並べたいと思う気持ちを引き出すことなどを扱うことができます。

常時活動②<1年:おなじながさづくり>

キズネール棒を使って、数の合成・分解を行う活動です。

5から始めて、毎回1つずつ大きくしていきます。繰り返しているうちに、式で表したくなったり、「4+5」と「5+4」は同じと見たりする姿を引き出すことができます。

ちなみに、黒板掲示用のキズネール棒は色画用紙で自作したものですが、ラーニング リソーシズのマグネット版を購入して使う方法もあります。

常時活動③<1年:10をこえたらかち>

ジャンケンゲームしながら、数と色を結び付けることができる活動です。

何度か繰り返して取り組んでいるうちに、白(10)と並べて越えたのがすぐ分かるようにしたり、ぴったり10にしたり、すでに勝っても続けて「20をこえた!」と喜んだりする姿を引き出せます。

【ルール】

  • 先生と5回ジャンケン
  • 先生にグーで勝ったら赤(2)、チョキだったら紫(4)、パーだったったら黄(5)のキズネール棒がもらえる。
  • 10を越えたら勝ち

【発展ルール】

  • 勝ったときのグー、チョキ、パーのキズネール棒を変える
  • 15をこえたら勝ち
  • 隣の子と勝負

数学的活動①<1年:たしざん、ひきざん>

キズネール棒を使って問題場面を表します。加法においては、「増加」「合併」で慣れた後、「順序数を含む加法」「求大」「異種のものの数量を含む加法」で扱うことができます。減法においては、「求残」「求差」で慣れた後、「順序数を含む減法」「求小」「異種のものの数量を含む減法」で扱うことができます。

数学的活動②<1年:たすのかな?ひくのかな>

キズネール棒を使って問題場面を表します。演算決定の図として活用し、加法なのか減法なのかを考える根拠にします。この学習により、この後のテープ図の指導が容易になりました。

数学的活動③<1年:100までのかず>

キズネール棒を使って100を作ります。どうやって作ると楽なのか見通しをもつ場面をとることで、10の組み合わせを意識して作る姿を引き出すことができます。繰り返しているうちに、細長いものやL字型などいろんな形の100を作り出し、面積の学習の素地にもなります。

次回は、2年「かけ算(数の石垣)」を紹介します。お楽しみに。

種市 芳丈(たねいち よしたけ)

小中一貫三戸学園 三戸町⽴三戸⼩学校・三戸中学校 教頭
子供たちが夢中になる算数授業づくりに取り組んでいます。算数専科や複式学級の指導の経験あります。今、チャレンジしているのは、算数の教材研究や授業分析でのGoogle NotebookLMの活用です。算数の教材づくりの会「ガウスの会(代表:細水保宏)」の会員。

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