2019.04.17
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電気を効率よく利用するには?プログラミング教材を使って電気の利用についての理解を深めよう!(前編) 全教職員でプログラミング教育研究に挑む茨城県古河市立大和田小学校 古河市立大和田小学校・谷田部幸愛 教諭

2015年9月、茨城県古河市の全小学校にタブレット端末が導入され、大和田小学校は「文部科学省情報教育指導力向上支援事業」のプログラミング教育実証校に指定された。さらに今年度は「茨城県小学校プログラミング教育推進事業」のモデル校(重点校)として指定を受け、理科でのプログラミング教育について研究を進めている。今回は6年生の理科・単元「電気の性質とその利用」にて、プログラミング教材「MESH(メッシュ)」を使用した授業をレポートする。
※本授業は、2019年2月5日に実施された。

学年・教科:6年 理科
単元:電気の性質とその利用
教科目標:電気を効率よく利用するシステムについて友達と話し合う活動を通して、電気の効率的な使い方について考えを深め、より妥当な考えをつくりだし、改善することができる。
プログラミング目標:電気を効率よく利用するシステムを実現するために、センサーを活用し、電気の働きを目的に合わせて制御するプログラムを作成することができる。
指導者:谷田部 幸愛
使用教材・教具:タブレット端末、MESH、ワークシート、発表ボード(小型ホワイトボード)、TVモニター

プログラミング教材「MESH(メッシュ)」とは?

プログラミング教材「MESH」

プログラミング教材は「MESH」。ボタン、LEDライト、人感センサー、モーションセンサーなど小さな7つのブロックを好きな場所に配置し、タブレット上でプログラムを組み合わせることができるプログラミング教材だ(詳しい教材の説明はこちらの記事を参照)。今回の単元では、児童が実際に電気を効率よく使うシステムをプログラミングするのに使用する。

全体指導計画

全体指導計画。裁量の時間を利用してMESHの使い方を学び、授業との接続をスムーズに。

今回レポートする第7時〜9時の「電気の効率的な使い方」の授業(取材訪問したのは第9時)では、身の回りの生活の中で効率的な電気の使い方を模索し、プログラミング教材を使って電気を効率よく利用するシステムを考える。

まず第7時では、身の回りでセンサーを使った道具を発見し、実際にセンサーがどのように使われているのかを考えた。続いて第8時で、自分たちの生活に必要な電気を無駄遣いせず効率よく使うためのシステムを、ワークシートに記入(後編で谷田部教諭に具体的な授業ステップをお話いただいている)。さらにこのワークシートを元にしてプログラムを組んでいく。人の動作に合うようにセンサーを配置し、目的に応じて、適切な時間や温度、湿度を想定してシステムを作成。この時点で、電気を効率よく利用するためのシステムがひとまず形になった。

  • 第8時で作成した実際のワークシート。プログラミング教材にふれる前に考えたことを記入し、仮説を立てる。

  • ワークシートをもとに作成されたシステム。写真は、歯磨きをすると自動的に布団が温まるようプログラムされたシステム。冬場に、眠ろうとして入った布団が冷たかった、という経験から発想されたもの。

授業を拝見!「電気を効率よく利用するシステムを考えよう」

第9時にあたる今回の授業では、第8時で作成したシステムについて、他グループから意見をもらい改良を進める。次回の第10時で、でき上がったシステムを発表する予定である。

児童の考えたシステムの中には、就寝時に人の眠りのタイミングに合わせてテレビが消えるシステムや、暑い日に昇降口に人が通ると扇風機が稼働するシステム、スーパーに設置されている販促モニターに、人が近づいた時だけ音や映像が流れるシステムなどがある。机の上には、MESHのセンサーのほか、人の動作を表現するためのぬいぐるみや手作りのジュース缶など児童が思い思いに用意した品々が並んでいた。これらを実際に動かして、システムを改良していく。

(机の上に並んでいるもの)

  • 効率よく電気を使うシステム装置
  • システムのタイトルボード
  • プログラミングの手順を書き記したミニホワイトボード
  • プログラムを操作するタブレット端末 など
  • 扇風機を作成したグループのワークシート。

  • 扇風機を作成したグループの机の様子。

  • 販促モニターのシステムを考えたグループのワークシート。

  • 販促モニターのシステムを考えたグループの机の様子。

導入:今までの授業の振り返り

ここからは今回訪問した第9時の授業の流れについて、「導入」~「まとめ」までパートごとに整理しながら紹介しよう。

「今までの授業で、身の回りのいろいろなところで電気が使われていることがわかりました」と授業を始める谷田部教諭。今までの授業のおさらいとして、日本での電気の消費量や、電気の使いすぎは温暖化につながることなどを図やグラフで提示。「電気を効率よく使用し、持続可能な社会をつくることが大切ですね」と学んできたことや目的を振り返った。わかりやすい資料の掲示は問題意識が芽生えやすく、前時までの授業とのつながりが見える工夫がなされていた。

課題確認:教材に触れる前に、効率的な電気使用の意義を確認

谷田部教諭は、プログラミング教材に触れる前に、今回の授業で学びたいことや問題意識を児童に問いかけながら歩き回って確認した。

(問いかけの様子)

先生:「電気を効率よく利用するってどういうことですか?」
児童A「電気を無駄なく使って、必要なときに使うということです。」
先生「無駄なく使うとは?」
児童B「利用する人が必要な量だけ電気を使って、無駄がでないようにすることです。」
先生「なんで無駄に使っちゃいけないと思いますか?」
児童C「電気は限りある資源だから、使いすぎると作れなくなってしまうからです。」


児童の言葉を掘り下げるように、質問を重ねる。そして、今日のテーマ「グループで考えた電気を効率よく利用するシステムをよりよくしよう」を全員で読み上げる。前回までの授業ではグループごとでシステムを作ってきたが、今回はポスターツアーという手法を用いて他グループからの意見を反映させ、システムに改良を加えていくのである。

システムを動かすプログラムが描かれたホワイトボード。他のグループからの意見はこのホワイトボードに赤で記入する。

展開:ポスターツアーでより多くの意見を取り入れシステムを改良する。

ポスターツアーとは?

取り組んだ課題について、グループメンバーの一人ひとりが、他のグループへプレゼンテーションする機会を設け、それに対する意見をもらうグループワークの手法。またポスターというのは、課題について考えた意見や提案が描かれた紙(今回の場合はホワイトボード)を指す。各グループのポスターを見て回って意見を述べ合い、効率的に他者からの新たな知識を得られる仕組みだ。

<ポスターツアーの手順>

①ポスターツアーに出かける前に、各グループで自分たちのシステムについて再度確認し話し合う(1分間)。

②児童は席を移動し、グループを再編(例えば、ABCの3つのグループがあるとすると、再編したときには、1つのグループ内にABCのメンバーがいるように編成する)。次に、自分のグループが作成したシステムについてプレゼンテーションをする。プログラムの仕組みや、システムを作成した背景をホワイトボードを使って他グループに説明。システムの実演も行う。

③説明を受けた側の児童は良かった点、改善点などアドバイスを述べる。
※②〜③は4分間でタイマーをセットし、3巡する。

④各自自分のグループに戻り、③でもらったアドバイスを基にプログラムを考え直す(15分間)。教師は各グループを巡り、改良の目的を確認するなど声掛けをして、思考のサポートをする。

※④に入る前に教諭は、「どこの部分を変えればいいのか、まずはホワイトボード上でプログラミングについて考え、その後タブレットで実際にプログラムを書き換えてください」と指示をしていた。ホワイトボードで考えてからタブレットで作業する背景には、仮説を立てるという意図が含まれている。

⑤各グループ改良が終わったら、ホワイトボードを黒板に張り出す。他のグループからのアドバイスや改良した点が赤字で書き入れられている。

他のグループからのアドバイスや改良した点が赤字で書き入れられている。

まとめ:どんなことをすると電気は効率よく使われるのか?

教諭はこのホワイトボードを見ながらシステムの何をどう変えたのか、その理由も含めて質問をしていった。

各グループ、他の意見を取り入れることで、見落としていた課題に気がついたり、接続の悪さを感じていたプログラムを改良できたようだ。人の眠りのタイミングに合わせてテレビが消えるシステムを考えたグループでは、アラームのなる時間を1分から30秒にする、という修正を加えた。時間短縮をした理由を、児童は「もう眠っているかもしれないのに、1分なり続けると起こしてしまうかもしれない」と話した。どのグループの改良も、ただ効率の良さを追求するだけでなく、「人の気持ちに寄り添って心地よく電気を使うには」という意図が反映されていた。

授業の最後には、効率的な電気の使い方と、振り返りを感想として提出し今回の授業は終了。

記者の目

過去3年間に渡りプログラミング教育を経験している6年生ということもあり、どの児童も授業のテーマを理解し積極的に取り組む姿勢が印象的だった。また谷田部教諭のアイデアで、グループごとにシステムについてのタイトルが付けられており、楽しく学ぶ工夫が随所に散りばめられていた(例えば、販促モニターのシステムには、「シュワッと!爽やか!!大和田サイダー!!!」というタイトルがつけられていた)。後編では、今回の授業づくりの工夫など谷田部教諭へのインタビューをお届けする。

取材・文・画像:学びの場.com

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