2004.08.16
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【特別寄稿】教員海外研修inロサンゼルス 現地レポート!(vol.2)

「ESL教員海外研修inロサンゼルス」もいよいよ3日目! キンダー、2年生、4年生の授業の様子をリポートしました!

2004年7月28日、台風近づく成田空港に全国から熱意溢れる13名の英語教育関係者が集まりました。渡航先はアメリカ合衆国第二の都市・ロサンゼルス。小学校の英語教育に役立つ「ESL教員海外研修inロサンゼルス」と銘打たれた英語教育の研修に参加するのは、小学校の教員から大学の言語研究者、また英語教育システム等の開発者など、実に様々な顔ぶれです。

 今春、文部科学省中央教育審議会に小学校の英語教育検討グループが発足し、小学校における英語の必修化がにわかに現実味を帯びてきましたが、英語教育の専門家が大変少ない小学校で、「使える英語」を指導できる教員の養成が急がれるというのが現状です。

 そこで早稲田大学IT教育研究所と株式会社内田洋行の企画をし、ロサンゼルス市教育委員会(LAUSD:Los Angeles Unified School District)の全面的な協力により、第二言語(英語)教育のための教員研修がこの夏休み7月28日~8月6日(8泊10日)に開催されています。今まさに研修中のロサンゼルス市教育委員会内の様子を3回(予定)にわたって緊急レポートいたします。

ESL教員海外研修inロサンゼルス 【Day-3 Report】

K(幼稚園)のクラス 先生の質問に従って、学校の職員の種類を答えているところ。principal, school nurse・・・

K(幼稚園)のクラス 先生の質問に従って、学校の職員の種類を答えているところ。principal, school nurse・・・

研修3日目(8月2日Mon)の午前中のBELVEDERE 小学校の視察の様子を紹介します。朝早くに宿泊先であるウイルシャーグランドホテルからスクールバスに乗り込み、約20分で学校に到着しました。学校では朝食が用意されており、朝食をいただいた後に実際の授業を見学させていただきました。

先生の数は66人、児童の数は1345人の学校ですが、EL(English Learner)の児童数は1006人と全体の約75%を占めます。スペイン語を母国語とする子どもがほとんどのようですが、スペイン語を使用した授業はなく、全ての授業が英語で行われているようです。当然ELD(English Language Development:ESLとほぼ同義)にも力を入れているわけですが、ELD以外に力をいれているのが数学とリーディングとライティングだそうです。

■年に一度、ELDのレベルを測定

4年生のクラス 花の部位を答えてその機能を説明しているところ。普通教室でノートPCと液晶プロジェクタを使った日本の「2005年型」授業

4年生のクラス 花の部位を答えてその機能を説明しているところ。普通教室でノートPCと液晶プロジェクタを使った日本の「2005年型」授業

ロサンゼルス市統一学校区(LAUSD)では、ELDコーディネーターやスペシャリストが常に学校を訪問し、ELDの授業が効果的に行われているかどうかチェックしています。また、カリフォルニア州英語能力開発テスト(CELDT:California English Language Development Test)により、毎年1回、ELDのレベルを測っています。レベルはELD1~ELD5までの5段階で、カリフォルニア州は1年間にレベルを一つ上げることを目標としています。こちらの小学校では5年生までには大体ELD5までになっているようです。

■全教室にELD教材完備、教室もにぎやか

  • 2年生のクラス Thinking Map(C)を使っている。真ん中に「Swan」と書いて、その周りに白鳥の特徴を書いている。この後、子どもは自分のノートでこの作業を行う

    2年生のクラス Thinking Map(C)を使っている。真ん中に「Swan」と書いて、その周りに白鳥の特徴を書いている。この後、子どもは自分のノートでこの作業を行う

  • 4年生のクラス 地球と月と太陽の模型図を用いて、英語・理科・地理・音楽の授業を行っているところ

    4年生のクラス 地球と月と太陽の模型図を用いて、英語・理科・地理・音楽の授業を行っているところ

ELD授業は、全クラスにおいて毎朝8:30~9:00までの30分間行われているようです。今回の視察はこの時間帯に設定されました。ロサンゼルス市内においては約85%の学校でほぼ同じESL用教材が使われており、全教室にその教材が配備されているようです。また、ほとんどの授業で、思考を8つのパターンの図表に分けて視覚化できるラーニングツール「Thinking Map(C)」を使っていました。この学校では3年前にほとんどの先生がこのツールを使えるようにしたとのことです。教室内はさまざまな教材や児童の活動結果のプリントで飾られており、とてもにぎやかな印象を受けました。拝見した授業はほとんどが少人数制の授業で、ティームティーチングも数多く見受けらました。授業を受ける形態としては、低学年であれば教室の真ん中(黒板の前)にラグがあり、そのまわりに机がある形態が多く、進度が遅い子どもはその机で他の先生に個人的に指導を受けていることもあるそうです。高学年に進むに従って、日本の普通教室の授業の形態に近くなっているようです。日本から行かれた先生方は真剣な眼差しで授業を視察され、また最後の質問コーナーでは現場の先生方へ熱心に質問をされていました。
  • 各教室には読み物コーナーが必ずある。いろいろな種類・レベルの本がたくさん置いてある

    各教室には読み物コーナーが必ずある。いろいろな種類・レベルの本がたくさん置いてある

  • 教室内は、これまでの掲示用教材やこれまで使ったプリントなどで、とにかくにぎやかである

    教室内は、これまでの掲示用教材やこれまで使ったプリントなどで、とにかくにぎやかである

  • 活動の結果はポートフォリオ形式でファイルに挟んで教室に置いておく

    活動の結果はポートフォリオ形式でファイルに挟んで教室に置いておく

関連情報
【参考Webサイト】

ロサンゼルス市教育委員会(LAUSD)
http://www.lausd.net/

文責:吉田(株式会社内田洋行 教育システム事業部)

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