2016.08.09
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ちょっと寄り道 戦後教育を知ろう

大阪府公立小学校教諭 松森 靖行

みなさん、こんにちは。

夏休み、充実した日々を送られているでしょうか。

今回は、夏休みバージョンということで、今、連載している内容を今回のみお休みをして、「夏休みだからできること 戦後日本教育者を追って」と題して話をしていきます。

 戦後の日本教育者(教育実践者)と聞いて思い出す人物は何人いますか?
上田薫先生、築地久子先生、有田和正先生、向山洋一先生・・・、
「名前は聞いた事がある!」と思う方もいらっしゃるでしょう。

 今の教育を預かる者として、戦後(もちろん戦前も)の教育を知ることは大切なことです。

 今は、たくさんの教育書が世の中にあふれています。
私も拙書を発刊しています。
そのような教育書で学ぶことももちろん大切です。
私も月に10冊は新しい本を読んだり、読み返したりしています。
すぐに使えそうな内容が多く、次の日の実践に生かす事ができることが、今の教育書の特徴かと思います。
たくさんの本を読んでいて、ふと思ったことがあります。
それは、全てと言っても過言ではないかと思いますが、今の全ての教育書の根底には、戦前・戦後の日本教育の思想が流れています。
それを理解していないで読むのと、理解していて読むのとでは、理解度も違うし、実践の質もより深いものになるのではないかと思います。

 戦前・戦後の日本教育者、主に戦後ですが、以下のようなレジェンド教師、私たちからすれば神様的存在の方々がいらっしゃいます。

・ 生活綴方の無着成恭先生

・ 近江学園の糸賀一雄先生

・ 国語単元学習の大村はま先生

・ 村を育てる学力の東井義推先生

・ 授業研究の鬼、斎藤喜博先生

・ 水道方式の遠山啓先生

・ 学級集団づくりの大西忠治先生

・ 仮説実験授業の庄司和晃先生

・ 学力論の岸本裕史先生

・ 到達研の先生方

・ 高校教育実践の仲本正夫先生

・ 教育法則化の向山洋一先生

・ 教材開発の鬼、有田和正先生

・ 命の学習の金森俊朗先生

というようにたくさんの先生方により、戦後の日本教育は発展してきました。

先日、ある企業が主催するセミナーで講師をしたのですが、その時に「日本 の今の教育システムは輸出できる。」とその企業の方がおっしゃられていました。
今の学校教育システム、教員養成システム、いろいろな問題はあるでしょうが、全体的に見ると、世界に誇れるシステムなのです。
しかし、そのシステムの根本には、戦後のレジェンド教師たちの血のにじむ努力の跡があるのです。

 そのような先生方の功績を知らずして、今の教育を語れることはできないのです。
上辺だけの日々の実践にならないように、毎日少しずつでいいからレジェンドの先生方の実践を紐解くことも、子どもたちの成長、そして教師としての成長につながります。

 私の場合は、1ヶ月に1冊、戦後の教育に関する本を読むようにしています。
読む度に新しい発見があり、自分がしていた○○は、上田先生がおっしゃられたこと同じだな・・・と、自分の実践の裏付けができ、自信がもてるようになります。(実践のレベルは違うのは当然です。)

 以前、かなり御高名な教育実践の先生と新幹線を御一緒したことがあります。
私は普段の疲れで、先生にお話をたくさん聞いていただいた後、少し眠ってしまいました。
ふと、目を開けると、私の横で先生は「東井義雄」先生の本を読まれていました。
後でお聞きしたのですが、もう10回以上読んでいるということでした。
それでも、「まだまだ分からない」とおっしゃられていました。

 奈良の土作先生は、「戦後教育者の名前と功績を10人以上言えること」と提唱されていました。
実際、ほとんどの先生方が言えないのではないでしょうか。

戦後の教育書は難しいものが多いです。
しかし、何度も読んでいくうちに、少しずつ何かが見えてくるのです。
私が、今、お話している「ゆさぶり」「発問」なども、もとをただせば戦後日本教育実践の中から生まれてきたものなのです。

 残りの夏休み、普段の読書にプラスして、レジェンド教師たちから学ぶことを少し入れてみてはいかがでしょうか。

 それでは。

松森 靖行(まつもり やすゆき)

大阪府公立小学校教諭
休日には全国の教員セミナーに講師・受講者として参加、仲間と切磋琢磨しています。2014年度は大阪府の教員となり、若手教員研修を担当。若手の皆さんと一緒に学び直しをしています。

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