以前も書きましたが、今年度は三年生の担任をしています。
三年生に特有の学校行事がいくつかあります。あくまでも勤務校の場合ですが、芸術鑑賞として外部に出ます。文化祭では模擬店を出店します。体育祭ではブロック長をはじめとして三年生を中心に体育祭が運営されます。
まずは、芸術鑑賞です。つい先日、有名劇団のミュージカルを鑑賞に行きました。
個人的には最も好きな学校行事です。趣味趣向の問題かもしれませんが、こういう機会でもなければミュージカルを鑑賞することはなかったかもしれません。(人生で最初のミュージカル鑑賞が勤務校の芸術鑑賞でしたから。)
やはり本物は違います。
ミュージカルそのものももちろんですが、スタンディングオベーションなどある種のマナーなど、校内では教えることができないことを身をもって示すことができます。
その様なことが自然と吸収できるようになった三年生はやはり良いものです。
また、勤務校の場合は六月に文化祭があります。
一年生および二年生は、校内展示またはステージ発表を行うのですが、三年生だけは模擬店を出すという選択肢が与えられます。
理論上は模擬店を出さずに校内展示またはステージ発表を行うこともできるのですが、その例は見たことがありません。
したがって、担任クラスでも模擬店を出店するのですが、全て文化委員任せです。
文化委員にのみ、話し合うべき内容やテーマに関する指示を行い、クラスで前に立たせ説明させ協議の進行をさせます。
ときには担任が出張等で不在の際に協議をさせることもあります。協議の内容は、細かく報告・連絡・相談をさせて適宜アドバイスを行いますが、その様なやり取りを通して、文化委員の生徒の成長を感じることができますし、他の生徒が積極的に協力する様子も日々の成長として感じることができます。
衛生面を気にし、金銭的なことも考えながら、一・二年生のときにはできなかったようなことができていきます。
自主的に模擬店の最中に着るクラスTシャツを作る習慣があるのですが、あくまでも自己負担なのでその賛否を確認するところからスタートするはずが、気が付けばその確認を済ませ、誰がデザインするのかも決まり、デザイン案が複数できあがり、どれを採択するのかまで決定していました。私はその結果しか聞かされていません。
その様な点でも三年生はやはり良いものです。
さらに、体育祭が九月にあります。
生徒達にとって、最大の学校行事は体育祭と考えている様で、実に積極的に動きます。
勤務校の場合、全校を四ブロックに分けて行うので、通常あまり接点がない後輩の前に立って指揮をするのがブロック長や応援団長等の役目になるのですが、立候補を募れば誰かが手を挙げて、複数名の候補がいれば自分たちで調整し、段取りを考えて報告・連絡・相談にやってきます。
どうすれば後輩を含めたブロックのメンバーがより積極的に参加してくれるか、応援合戦が盛り上がるか等、自分たちで課題を設定しその解決策を考えていきます。
最終的に勝ち負けにかかわらず、やり切った後の汗と涙には大きな感動があります。
一・二年生の経験をもとに、より良いものを作り上げようとする三年生を見て、後輩が育っていきます。
それがいずれは「学校の文化」と呼べる様に成長していく過程を見せてくれる、三年生はやはり良いものです。
高校生として卒業後の進路をどうするのか考えて、それに応じた学習を積み重ねることが高校生としての最大の仕事かもしれません。それでは学校行事の時間を全て学習にしていくと、学習効果が上がり希望する進路の実現につながるのかというと、そんなことはないと思います。
学校行事を通して、生徒が成長していく様子を担任として教科担当として見ることができる、教員という仕事に、肉体的にも精神的にも疲労感を感じることはもちろんありますが、それ以上に大きな喜びを感じることができます。
半年以上先のことではありますが、卒業式のことを想像するとそれだけで泣きそうになります。また、卒業した生徒が学校を訪ねて来てくれると満面の笑みになるそうです。(現役の生徒達が、「先生が卒業生と話をしているときの笑顔は、見たことがないくらしすごい笑顔だった。」と言われたことがあります。)
それまでの間には、ここに書いた文化祭や体育祭の他にも、様々な出来事がありますが、ひとつひとつを生徒に日々言っている『全力で楽しむ!』精神で、自分自身も楽しみたいと思います。

石丸 貴史(いしまる たかふみ)
福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任
高校での新学習指導要領導入を控えて、「カリキュラムマネジメント」・「I C T活用」を中心に、日々の授業改善に取り組んでいます。大学を卒業後すぐに会社員として塾・予備校業界で勤務をした経験も活かしながら、社会で活躍できる生徒を育てるべくどのような資質・能力を育成すれば良いかを試行錯誤しています。
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