今年度も理科専科を中心に、授業を通して子どもと子どもたちを育てています。昨年度と違うところは、3年生から授業をしていることです。
学期の始めに、3年生に会うたびに
「理科、楽しみ~。」
と言われていました。この言葉は、うれしいと同時にプレッシャーでもありました。この子たちの期待、やる気、キラキラした笑顔・・1年間、持続させなければという思いが日増しに強くなっていきました。
そこでまず、「理科って何だろう?」という本質的なことを3年生に教える授業を構想し、実践することにしました。
初めての授業(授業開き)を前に、3年教室にノートパソコンを持ち込み、教室にあるプロジェクターにつなぐなどの準備をしました。休み時間が終わって戻ってきた子どもたちは、興味津々。「どうするん?」「何、写すん?」の連発でした。
授業開始のチャイムが鳴り、あいさつを終えると、子どもたちの視線が痛いくらいでした。その視線を受けながら、次のような第一声を発しました。
「この時間は、理科の授業の始まりです。理科は、これから7年間続くのですが、その最初ですから、今日は『理科って何だろう』という授業をします。」
続いて、集中して聞いている子どもたちに、問いかけました。
「ところで、みなさんは分からないことがあったら、どうしますか。」
すると、「大きい子に聞く。」「先生に聞く。」「お友だちに聞く。」「知っている人に聞く」という答えが返ってきました。そこで、
「そうですね、分からないことがあったら、誰かに聞くというのはよいことです。ほかにも、本やインターネットで調べるというのもあります。理科の勉強で一番大切なのは、『自分で調べる』ということなのです。」
と言いながら、プレゼンを写しました。
「では、みんなで言ってみましょう。『理科の勉強で一番大切なのは、自分で調べることです。』さん、はい。」
全員で2回、復唱しました。
「ところで、『理科』とは、何でしょうか。もう少しすると、国語で使うようになりますが、こういう物があるんですよ。」
と言いながら、国語辞典を取り出しました。
「これは、国語辞典と言って、言葉の意味などを調べる道具です。この国語辞典で『理科』を調べてみると・・」
国語辞典で『理科』の意味を調べてプレゼンし、ノートに書くように指示しました。ノートに書かせたことは、次の通りです。
4月11日(木)
「理科」とは何か。
◎理科=しぜんの中のようすやきまりをしらべるべんきょう。
「では、みんなで読んでみましょう。」
みんなで、2回復唱しました。
「この中に、分からない言葉はありますか。」
「そうですね、『自然』ですね。では、自然を紹介しましょう。」
そういって、校舎から見える風景や庭、校庭の様子をスライドで見せました。
「何が見えますか。」
と聞くと、子どもたちは元気よく答えてくれました。
「山です。」「木です。」「土です。」「空です。」「雲です。」「太陽です。」「サクラです。」「イチョウです。」「花です。」「実です。」「石です。」
「そうしたものの様子をよく見て、何かきまりを見つけていくのが理科なのです。そのほかにも、教室にある電気や磁石についてもいろいろと調べていく予定です。では、ノートに次のことを書いておいてください。」
そう言って、ノートに書くこと(下記)をプレゼンしました。
◎3年生の理科は、しょくぶつやこん虫、たいよう、風やゴム、じしゃく、でんき、おもさのべんきょうをします。だいじなことは、「くらべる」ということです。
そして、最後に『いろいろくらべながら、楽しい理科にしよう!』とプレゼンして終わりました。
子どもたちに、発達段階に合った「学びの根本と学び方」を教えることは重要だと考えています。当然ですが、それ以上に、教える教師自身が「学びの根本と学び方」を明確に持っていることが重要です。それがぶれない指導になるわけです。
こうして、言ってみれば、期待を膨らませて理科の第1時が終わりました。この「はじめて物語」の続きは次回、お知らせします。
大谷 雅昭(おおたに まさあき)
群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。
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