どうも、今村です。
2学期の終わりに、通知表の「所見欄」を、尊敬する管理職の先生に確認していただいたときに、こんなことを言われました。
「こういうときは、仲間と言うより、友達と言った方がいいのでは?」
どういうことかと申しますと、例えば「クラスの仲間が絶賛していました」と僕が書いていたところを、仲間ではなく、友達の方がいいのでは?と声をかけていただいたわけです。
ああ、なるほどな、自分の使っている言葉を意識し直すいい機会だなと思い、もう一度自分の「仲間」観を見つめ直しました。
みなさん、友達は何人いますか? 仲間は何人いますか? 友達と仲間のどちらのほうが多いですか?
ともだちひゃくにんできるかな?
結論(これはくれぐれも僕の中の結論であって、正解というわけではありません)から申し上げると、僕はクラスの全員と仲良く友達でいる必要はないと思っていますが、クラスの全員と協力できる仲間ではあるべきだと思っています。
今、僕は1年生を担任していますが、クラスの子たちと一緒になんとか仲間と友達の違いを考えられないか、と思いました。
例えば、国語の時間にノートに書いた自分の意見を、席を立って誰かと読み合いっこしていい時間があったとしましょう。そこで、いつも休み時間に一緒に遊んでいる相手とばかりノートを読み合いっこしている姿があったら、教師である我々は少し物足りなく感じるのではないでしょうか。
もちろん、システマティックに意見を読み合う班をつくり、その中で読み合いっこすればいいじゃないか、という声もあると思います。ただ、それでは「場を設けてもらえばできる」だけで、「自分から切り開く」姿ではないなと思ってしまったので、なんとかできないかなぁと考えていました。
そこで、まずは「『仲良く』と『協力』って、似てるけどちょっとちがう」という話をクラスのみんなと一緒にしてみました。以下がクラスで話し合った内容です。
○仲良く
休み時間に一緒に遊ぶ、一緒に帰る
→友達
○協力
あいさつ、授業で伝え合う、困っていたら助ける
→仲間
こうしてみると、1年生の子たちにも、仲良くと協力、友達と仲間って似ているけれどちょっと違う、ということが腑に落ちたようでした。
「クラスの全員と仲良く、友達!ではなくてもいい、でも全員と協力できる仲間にはなったほうがいい」とも伝えました。
1年生の子たちは、それこそ100人くらい友達ができることを期待していることもあるので、「全員と友達じゃなくて全然いいでしょ」という言葉が彼らにどう響くのかなと思っていましたが、「そっか、仲間か」と受け止めてくれている様子でした。
とは言っても、自由に誰とでも「意見を伝え合いましょう」と言われたら、友達に寄っていってしまうのも仕方のない話だと思います。
そこで、「たぬきの糸車」の授業で音読を行った際、本文をいくつかの場面に分け、その中から自分の読みたい場面を選び、1人で音読を発表してもよいし、同じ場面を選んだ数名と一緒に発表してもよい、と伝えてみました。
もしかしたら、友達と「ねぇ、どこ選ぶ?」と相談して読む場所を決めたりするのかな?と思っていたのですが、実際には子どもたちは「おばあさんがたぬきを罠から逃がしてあげる場面がいい!」など自分の想いで場面を選び、「あ、一緒の場面だから2人で読む?」など、仲間を見つけて音読を練習していました。(1人で読みたいという子たちも多かったですが、練習したのをそれぞれ聞き合ったりして協力している姿が印象的でした)
そういうことを積み重ねながら、「愉しく学び合い学び続ける」という目的を共有した仲間になっていってくれたらいいな、と思っています。
選ばない誠意だってあるかもしれない
大人になってから、友達がずいぶん減りました。
ただ、それは自分がそう感じているだけで、そもそも友達ではなかったのかもしれません。
また、自分の生きる目的があやふやだった時期には仲間と呼べるような相手は、本当はいなかったのかもしれないな、と思います。
少なくとも、生きていく上で、自分の目的意識が明確になればなるほど、時間は足りなくなっていくし、関わる人を選ばなければいけなくなります。選ぶと言うと傲慢に聞こえるかもしれませんが、それぞれの人間の目的は違うわけですから、お互いに相手を自分の人生の登場人物に選ばないということが、互いへの誠意であることもあります。
同じ目的、目標をもち、そこを目指す仲間に心から感謝していますし、その上で友達と呼べる相手に出逢えたならば、それはとても幸せなことです。
子どもたちとも、そういうことを少しでも考えられたらな、と思います。
今村 行(いまむら すすむ)
東京学芸大学附属大泉小学校 教諭
東京都板橋区立紅梅小学校で5年勤めた後、
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