2025.09.22
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ボーズマンの朝焼けとともに~アメリカ・モンテッソーリ保育園の新学期レポート

アメリカ・モンタナ州のボーズマンという町で、モンテッソーリ保育士として働くかたわら、大学院でも学びを深めています。

今回は、ボーズマン・モンテッソーリ保育園で迎えた新学期の様子をお伝えします。

ボーズマン・モンテッソーリ保育士 城所 麻紀子

新しいスタート

  

朝の通勤路

ボーズマン・モンテッソーリ保育園では、9月から新学期が始まりました。復職とはいえ、クラスの子どもたちはすでにがらりと変わっていて、私自身も完全に新しい先生という位置づけになりました。アシスタントの先生は、昨年度から引き続きの先生で、頼もしい存在。ここに、総勢15人の子どもたち(うち2人は新入園)と、新しい主任の先生を迎えました。以前1年間ボーズマンの別のモンテッソーリ・スクールで教えていたものの、先月末にカリフォルニアからボーズマンに本格的に引越してきたばかりで、主任の先生はまだまだ落ち着かない様子です。

私は朝一番に行ってクラスの準備をする開園前準備を担当する職員になりました。朝6時45分に家を出て、歩いて職場に向かい、7時30分から仕事を開始します。

朝の静かな通勤路を歩きながら、四季折々の風景を楽しめるのは、この町ならではの魅力です。秋の色づき始めた葉や木々を見つつ、澄んだ空気を吸い込みながら、今日も一日の始まりに心を澄ませます。道は人も車も少なく、遠くに山並みを望みながら歩く40分間が、私にとって自然との繋がりを感じる、瞑想の時間です。

朝の準備といっても、ボーズマン・モンテッソーリ保育園には、細かな作業マニュアルがないので、自分ができることをできる範囲でやる、といったスタイル。具体的には、ブラインドを開け、乾燥機から洗濯物を取り出し、台所の片づけ、トイレのチェック、教室の棚に並ぶ教材の見栄えを整える、お湯を沸かす、朝のおやつの準備など。そんな朝の習慣を自分で作りながら、子どもたちが安心して過ごせる環境を整えます。

子どもたちとの新たな出会い

初日は、新しい先生2人を迎え、お互いになんとなく探り合いながらも、少しずつ環境に慣れていく様子がうかがえました。特に新しく来た3歳、2歳の2人は最初は少し不安そうでしたが、好奇心旺盛で、すぐ友達を作ろうとする姿にほっとしました。私の担当していた過去のクラスと比較すると、穏やかな子ばかりという印象ですが、主任の先生は「このクラスはワイルドね!」と笑います。経験によって見え方が違うのだと実感。

クラスの雰囲気は落ち着いていて、一人ひとりが自分のペースで過ごせるよう配慮されています。経験豊富なアシスタントの先生は子どもたちとの信頼関係がすでに築かれていて、子どもたちの小さな変化にもすぐ気づき、適切にサポートしてくれるので心強い存在です。私もこれからゆっくりと、信頼の輪に加わっていきたいと思います。

これからの展望

つい、過去のクラスとの違い、特に以前の方がしっかり整えられていた点に目がいってしまう瞬間もありますが、なんといっても、子どもたちの笑顔と日々の成長が何よりのモチベーション。これからは新しい主任の先生のリーダーシップのもと、スタッフ同士が学び合い、子どもたちが安全に冒険できる場を充実させていけたらいいなあ、と思っています。私自身も学び続けながら、子どもたちに寄り添った日々を過ごしていきたいと感じています。

同時に、保護者連絡アプリでの細かなメッセージ対応や、レッスン写真・記録のアップロードなど、外からは見えにくいデジタル業務が多いということにも、改めて気づきました。子どもたちと直接向き合う時間を確保するために、新任の主任が情報量に圧倒されないよう、まずは全体像を示し、優先順位を相談しながら進めていこうと考えています。デジタルツールを賢く活用し、書類仕事と保育のバランスを整えることも新学期の大切な目標です。

スタッフ全員が力を合わせ、子どもたちの笑顔を守りながら、大人たちも一緒に笑って過ごせる、より良い園づくりを進めていきます。

城所 麻紀子(きどころ まきこ)

ボーズマン・モンテッソーリ保育士、元サンディエゴ日本人向け補習校講師、モンタナ州立大学院家族消費者科学科 修士課程


2020年からアメリカのモンタナ州の人口5万人の町で、モンテッソーリ保育園の保育士をしています。
アメリカといっても、白人約90%、アジア人約2%(最近増えました!)という環境です。
あまり日本人の方に知られていない、アメリカの田舎での教育や生活の様子などを共有できたらいいなあと思っています。

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