2024.04.24
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先生にとっての 何だかとても大切なこと 子どもたちが自分で自分の発達や成長に気がついていけるシステムを組むことの大切さ

教職となり、自分が小学生の時に学んだ学校やクラスを訪れたことはありますか。小さく感じる部屋や機材から変わってきた自分を感じることもあるでしょう。それを成長というのかもしれませんね。同様のことはクラスでも毎日起こっていますが、子どもたちはきっかけがない限りなかなか気がつかないものです。 だから学期のはじめには、子どもたちの興味・関心・体の動きなど、今の自分を一度は実感できる場を設けておくのも良さそうです。自分を実感することが何か大切なものに結びつきそうな気がするのです。

静岡市立中島小学校教諭・公認心理師 渡邊 満昭

私たちが願うのは、どの子も自分の意思で学び続けたり歩んでいけたりすること

いよいよ学校が始まりました。
新学期の高揚感もあり、みんな元気な様子で登校しているのではと思います。
そんな子どもたちが私たちにとってまぶしく見えるのは、基本的に衰えることなく成長できる存在だからということもあるのでしょう。知らない間に背も伸びて、会話の内容も話し方も変わっていきます。

私たちは、教室でその子の成長や伸びを、場面や状況に応じてその子に伝えていると思います。「ずいぶん計算ができるようになったね」「ちょっとこれすごいね」という感じです。
何気なくその子がしていることに、よりよい成長のための価値付けを行う事にもつながるので、とても大事なことだと思います。
またその言葉によく答えてくれる子はいるでしょう。言葉をずっとずっと覚えていて、大切にしてくれる子もまたいることでしょう。先生はそういう言葉がけをしてくれるんだとの期待も、もしかしたらあるのかもしれませんね。

とはいえ、私たちはずっとより沿って、言葉をかけていけるわけではありません。いつかはそのクラスを離れていくのだし、それはだれもが同じ事です。
私たちが願うのは、どの子も自分の意思で学び続けたり歩んでいけたりすることです。
そのために私たちができることは何でしょうか。

自分自身で自分の成長に気がつくシステム

それは、私たちが子どもたちと一緒にすごす1年のうちに、それぞれの子が自分自身で自分の成長に気がつき成長の手応えを実感できる方法を作ったりシステムを組んだりする事ではないかと思います。
先生は物静かであまり言葉をかけているようにも見えないけれど、なぜか温かで子どもたちは生き生きと前を向いている、そんなクラスではシステムが上手に機能しているのかもしれませんね。
ではどんな方法があるのでしょうか。

学年が上がるにつれ、テストの点やデータやグラフを見て自分の力や伸びがわかる子はだんだん増えていくのかもしれませんが、だれもがその伸びを享受できるわけではなさそうです(自分も苦労しました)。
身長など体の成長ならわかりやすいし、自分で実感しやすいでしょう。でも一番認識しづらいのは、変わってきた自分の内面の再認識=内面も成長しているんだという自覚かなと思います。成長期には体も心も成長していると一般的にいいますが、心については自分では見えないものだけに成長の自覚や体感ができる何かがあってもいいのかなと思います。

教科書で自分の成長を実感してみる

学校でいえば、それは読めなかったものが読める、わからなかったものがわかる、興味の無かったものへ興味が沸き起こる体験かなと思います。自分の学びを蓄積するポートフォリオで1年の学びをふりかえる様な手立ても良さそうですが、その子にとって以前の年代の基準となるもの、たとえば小学校高学年なら低学年の頃の教科書を改めて手に取ってもらうのも一手かなと思います。
すぐに1年分を読み通せる子もいるでしょう。でもそのころはそれが難しい毎日だったことを思い出せれば良いのです。自分が変わってきていることを実感できると思います。
その時は、読むことで精一杯だった説明文や物語文も、もしかしたら捉えが変わっているかもしれません。それこそ興味の無かったものへ興味が沸き起こる体験を得られるのかもしれませんね。こうして徐々に、漠然とした自分の価値観から等身大の自分の価値観へと転換が図れたらすごいとおもいます。

様々な成長の方向性のある運動もおすすめ

運動も、自分自身の成長と向き合う上ではおすすめです。記録や動きを通じて自分ができるようになったことをそれこそ身をもって実感できるからです。自信がつくこともへこむこともあるでしょうが、思いがけない自分の力に出会うことだってあります。いつか大人になり体の成長が止まり目につく成長が止まったように見えても様々な成長の方向性があり手応えもある、だからあれだけの多くのしかも様々な年代の人々が各地のマラソン大会に出場するのではないでしょうか。
かくなる私も、衰えつつある自分をコントロールテスト(各種の運動機能テスト)でしみじみ感じることで、かえって何か工夫しようと思えるから人とは不思議なものです。

他にもまだまだ成長と向き合う方法はありますね。ですが子どもたちも私たちも、今の自分と成長のてごたえをシステムを通じて自分なりに受け止めることができてこそ、自分の意思で学び続けたり歩んでいけたりするのではないでしょうか。

渡邊 満昭(わたなべ みつあき)

静岡市立中島小学校教諭・公認心理師・学校心理士・環境教育インタープリター・森林セラピスト


いつの間にか、小中学校全学年+特別支援学級+特別支援学校+通級指導教室での担任を経験し、生徒指導主任+特別支援教育コーディネーター+教育相談担当経験も10年を超えていました。すると担任を離れたとたんに何かを忘れてしまって、担任に戻ってみると忘れていたことに気がつくということがたびたびありました。それはうまく言えないけど何だかとても大切なもの。先生を続けていくための糧のようなもの。
その大切なものについて、自分の実践と合わせお伝えしていこうと思います。

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