2023.11.08
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先生にとっての 何だかとても大切なもの いつもの学校の日常も、子どもインタープリターが校内ツアーで「非日常の魅力」に変えてくれるということ

できれば季節のこと、学校のことをもっともっと知ってもらいたい。そんなときは自然体験施設のインタープリター(ここでは魅力を伝える人の意味です)のように「見つけた自然を自分なりに伝えてみる」方法がとても効果的ですよ。
秋もふかまり、全国どこの校庭も「季節感のある風景」が随所に見られるのではと思います。せっかく校庭でのびのび遊べるようになったことですし、一度チャレンジされてはいかがでしょう。

静岡市立中島小学校教諭・公認心理師 渡邊 満昭

あなどれない!草花遊びを伝える素晴らしさ

自然探索に出発!

草花を何かに見立てて遊ぶというか、そのメカニズムをヒントに遊ぶということは、新たなものを作り出すという意味において、未来を切り開く小学生には何だかとても大切なものかもと思っています。

例えば葉っぱを何枚も木工用ボンドで重ねて接着して四角のブロック状に切ると、厚焼き卵とかバームクーヘンとかお寿司になるのだそうです。葉っぱの絶妙の色の層がなんともいえない独特の質感です。思わず一つ私も作ってしまいました。学年の違う子たちを連れて校内を歩くうちに、いつの間にか自然探索ツアーを始めた子もいました。あまり人前には立ちたがらないのにその時は違います。お気に入りの花、虫などなど解説が止まりません。特に毛虫が時々発生する木の注意には熱がこもっていました。それを聞きながら私もついて行くのですが、これがなかなかにおもしろいのです。学校一周はあっという間でした。その子の普段とは違う一面を知ることができたのでした。 

こどもインタープリターの活躍

歩きながら順に目にうつる自然物を見て思いついたことを相手に伝えていくことは、初めての子にとってもそれほど難しくはないようです。感触、色、匂い、形、動きが何らかのその子の気持ちと結びついて言葉になるという感じでしょうか。

大人の観察会では、ついつい問われた植物の名前や機能の解説になってしまう時もあります。ですが目の前の「こどもインタープリター」は、そんなことはおかまいなし。その子の感覚なら何に見立てられるのか、どう取り扱うとおもしろいのかなど斬新なネタを提供してくれます。私も学ばせてもらって、自分が関わる自然探索会のヒントにすることもあるくらいです。

興味深いのは、そこでのパフォーマンス(動作・表現)をどの子も忘れないこと。 水泳やスキーもそうですが、時間がたちイメージが薄れても、きっかけがあればあっさり思い出せるようです。

たとえば、イタドリの葉っぱ(手のひら大の葉なら何でもOK)でのパフォーマンスはご存じですか。軽く握った片手の穴を塞ぐように上に葉を乗せて、反対の手で勢いよくたたくと「ポン!」と心地よい音がするというものです。入学したての頃に一度やってみただけなのに、高学年となった今は、いつの間にかその子が技を後輩達に教えているのです。

こぶこぶの木の根を伝って大きな木のまわりを一周しながら鬼ごっこをするパフォーマンスとか、秘密のブドウの木のある植栽裏の迷路パフォーマンスとか。都市の学校であっても見方を変えれば、いろいろなパフォーマンスの素が隠れています。あとは見つける子どもたちの感性・感覚次第ですね。私たち教諭にとっても、つい忘れがちな柔らかな発想が試されている気がします。その意味でやっぱり校庭はあなどれませんね。

自然パフォーマンスで作る 伝え合う学校の文化

紙に置くだけで何かが見えてくる!

学校探検、学校紹介が教育課程に盛り込まれている学校は多いと思います。それが校内のみに着目しているのはちょっともったいない気がします。校庭でのパフォーマンスは、いつまでも記憶に残るような得がたい魅力があると思いますよ。

野外が難しいときはこんな方法もあります。ある子は車椅子で訪れていた交流学習の仲間のために「とっておきの窓」を用意していました。その掃き出し窓からは学校林の風景、しかも本州の秋なのに野外で育っているバナナの花や実!が見られるのです。学校創立時に植えられたもののようですが、その子はちゃんと気がついていて、見せてあげたかったようなのです。窓いっぱいの日の光の温かさがうれしい、忘れられない光景でした。

自分なりの感性・感覚で見つけたものやパフォーマンスを相手に伝えていくことが、その学校の伝え合う文化もっと言えばいつしか「学校の伝承」になっていくのかもしれませんね。どの子にもその学校らしさを覚えておいてもらえるように、私たちも秋の校庭でのちょっぴり非日常なパフォーマンスを探しにいきましょう。

渡邊 満昭(わたなべ みつあき)

静岡市立中島小学校教諭・公認心理師・学校心理士・環境教育インタープリター・森林セラピスト


いつの間にか、小中学校全学年+特別支援学級+特別支援学校+通級指導教室での担任を経験し、生徒指導主任+特別支援教育コーディネーター+教育相談担当経験も10年を超えていました。すると担任を離れたとたんに何かを忘れてしまって、担任に戻ってみると忘れていたことに気がつくということがたびたびありました。それはうまく言えないけど何だかとても大切なもの。先生を続けていくための糧のようなもの。
その大切なものについて、自分の実践と合わせお伝えしていこうと思います。

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