2023.11.15
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キャリア教育の視点からの取り組み「笑育」(1)

本校では、学校教育目標を「心~魅力ある生徒の育成~」と掲げ、その実現に向け、基礎的・汎用的能力の育成を目指した、様々なキャリア教育の取り組みを進めています。その成果が認められ、平成31年1月には、キャリア教育優良学校として、文部科学大臣表彰を受賞しました。今回から数回にわたり、キャリア教育の視点からの「笑育」の取り組みについて紹介します。

大阪市立中学校教諭、日本キャリア教育学会認定キャリアカウンセラー 青木 信一

笑育とは

漫才を披露

笑育」とは、アナウンサーや漫才師・芸人などを学校に派遣し、プロのアドバイスの下、子どもたちが実際に台本から漫才を作り、人前で発表するという活動を通して、キャリア教育の視点からの基礎的・汎用的能力の育成や21世紀型スキルの育成をめざす、松竹芸能と学校との協働プログラムです。
本校では、平成28年度に第1学年178名を対象に「笑育」に取り組んで以来、今年度で8年目の取り組みとなり、受講者はすでに1400名を超えています。
毎回の活動においては、子どもたちが楽しく活動すること、自主的に活動できる雰囲気を作ることはもちろんのこととして、基礎的・汎用的能力のなかで、特に育てたい能力を活動計画に明示し、教員と松竹芸能の人たちが、しっかりとめざす子ども像を共通理解することを大切にしています。

指導計画

過去7年間の取り組みにおいて、指導計画の詳細については、毎年その学年の実情に応じたものを作成しています。
例えば、令和2年度新入生は、コロナ禍で体育大会や文化祭など、多くの活動を自粛せざるをえない状況でした。「笑育」自体も実施が危ぶまれたものの「できない理由よりできる理由を探そう」を合言葉に、例年と形を変えたうえで、無事に実施することができました。
今回は、過去7年間の取り組みのなかでの、オーソドックスな形を紹介します。

第1時…最初に芸人から「笑育」を通しての活動目標や計画、約束事についての話を聞く。次に、与えられた題名の各文字を各句の頭文字に置き、複数人で作文を綴る「あいうえお作文」にチャレンジし、漫才師が実演したあと、実際に代表生徒が、全体の前に出て作文を披露する。

第2時…芸人や漫才師が各学級に1人ずつ入る。それぞれが芸人の問いに対し、ワンフレーズでボケを考え、芸人と1対1でコンビを組み、学級全員の前で発表する。

第3時…プロのアナウンサーが来校。国語と理科の教科書の文から、句読点の位置や強弱の付け方次第で人への伝わり方が大きく変わることや、腹式呼吸について学び、滑舌や早口言葉の練習をする。

第4時…芸人のネタをDVDで見た後、ワークシートを使い、実際の漫才ネタからボケを記入する。その後、各学級5つの班に分かれ、与えられた絵カードに書かれている人物画を見て、班ごとで意見を出し合い、その人物のキャラクターを設定する。

第5時…学年2チームに分け、班ごとに全員の前に出て、前回設定したキャラクターになりきる練習をする。

第6時…同学級・同性・出席番号順を基本として、機械的に作ったコンビの組み合わせを発表し、それぞれコンビのネーミングを考える。その後、ワークシート「好きなものマップ」に各自が好きなものを考えて記入し、コンビ間で内容を共有する。

第7.8時…「好きなものマップ」を元に「好きなもの漫才」の台本を作成する。実際に漫才師のアドバイスを受けながら、パターンシートをもとに台本を完成させ、できなかったコンビは、放課後や休み時間を使って自主的に活動する。

第9.10時…学年全体の前で全84組が実際に漫才を披露する。

第11時…「笑育」を終えて、4件法によるアンケートと、自由記述の感想を書き、ふりかえりをする。

活動の様子や効果検証

笑育」の活動では、漫才を上手に完成させることが目的ではなく、そのための過程を通して、子どもたちの基礎的・汎用的能力を培うことを目的としています。
子どもたちの活動の様子や、その効果検証などについては、次回紹介します。

青木 信一(あおき しんいち)

大阪市立中学校教諭、日本キャリア教育学会認定キャリアカウンセラー、スクールカウンセリング推進協議会認定ガイダンスカウンセラー
大阪市立中学校で社会科教諭をしています。日本キャリア教育学会認定のキャリアカウンセラーとして、中学校教諭の立場から、積極的にキャリア教育の推進と普及に取り組んでいます。


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