2023.07.17
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先生にとっての 何だかとても大切なもの その子に、今(頭の中で)見ていたものを教えてもらうのも「次の一手」ということ

一人なのになぜか楽しげな子に、「楽しそうだね」と声をかけることはあっても、「何見てたの?」と聞く先生はそんなに多くはないと思います。
でもね、時にはこんなひと味違う声かけが、その子の世界と私たちをつないでいるのかもしれませんよ。

静岡市立中島小学校教諭・公認心理師 渡邊 満昭

子どもの世界がわかるとき

皆さんも私も、そろそろ子どもをやめて○○年というような年ごろになっているのだと思います。子どもをやめた覚えはないんだけど、でもやっぱり、それなりに年は取り、子どもの世界は遠くなっているということなのでしょう。今なら何でもないなあと思うことにも、子どものころなら身も心も混沌としていて色々な感じ方があったように思います(もう自分だけでは思い出せないことばかりですが)。

目の前の子どもたちの現れの意味は、本当のところはわからないところもあると思います。ただ、毎日毎日子どもたちに接して行動を見つめていると、自分の子どもの頃の体験やイメージと突然つながり、「あっ、きっとこういうことかも!」と合点がいくような現れが見つかりますね。

一人だけど楽しそうな様子の子に、なんて言うの?

例えば子どもたちは、周りに誰もいないのに、ひとりで鼻歌を歌って楽しそうだったり、大きな声でリアルな独り言を話していたりすることがあります。ではそのときに、あなたならどう声をかけますか。多分、「楽しそうだね」って声をかけるんじゃないかと思いますが、ある程度その子との関係ができてきているときには、別の声かけも有効だなと思っています。

よく使う私の一手は「今何見てたのかな?」です。

「えっ」ととまどう子もいますが、かなりの確率で、本当に見えていたかのごとく嬉しそうに説明をしてくれます。ポケモンのこと、ゲームのこと、昨日の出来事の続きなどなど、かなり詳細です。

もしかしたら、子どもたちの中では、映像(今なら動画)が私たち以上に鮮明に浮かんできたり、再現できたりするんじゃないかと思うんです。

とはいえ、眠る間際や起き抜けのまぶたの裏の映像イメージ(入眠時心像?)や「走馬灯のように思い浮かぶ」などの表現もあるとおり、やっぱり私たちも見えてはいないけど見ているものがありそうです。

だから、頭の中には映像が浮かぶことがあるものだという前提で、問いかけをすると、その子なりに、私のことをわかってくれる先生、この先生ならきっとこんな話をしてもいいんだと思ってくれることもあるようです。「今何が見えていたかわかる?」とだんだんとその子の側からの問いかけが増えたりしますから。

私たちと子どもたちの発達上の違いというものを、大人である私たちが少しずつ認識していって、それを踏まえた上で接していくことが、その子たちと上手に関わり一緒に楽しい思い出をいっぱい作り上げるための方法なのではないかと思うのです。

ちょっとした面白味や潤いのある問いかけ

安定した学級経営を進めていくためには、その子やその集団と、安心、安全、信頼のおける関係性をまず作り上げるというのが大切になってくると考えています。もちろん授業を通じて関係性を積み上げていくことは大切です。授業が面白くて楽しくて、この先生、いいなあと思ってもらえるのならそれが一番だと思います。

ただ、やっぱり自分の信頼できる人の話は聞こうとするわけですし、信頼する人が教えようとしてくれることは、たぶん自分にとっても役に立つことなんだろうとも受け取ってくれるのかなと思います。

私たちもそうですよね。プライベートな契約を結ぶとき、相手に信頼がおけるのかどうかというところはとても重要なポイントになります。だから信頼が置けるかどうかは、教育技術とか教室環境を補っていけるものだと思っています。

あの先生は私たちのことを結構わかってくれている。私たちのとの接点を作ろうと、してくれている。そういうふうに思ってもらえる「ちょっとした面白味や潤いのある問いかけ」が、学校の日常のあちこちにありそうです。

また、上手な教室運営をされている方は、自覚しているかどうかは別として、なにか子どもたちの心に響くこうした問いかけ(マジカルなフレーズ)をお持ちなのだと思います。 

そのことが、普段の学級・学校を支えてくれているポイントなのかもしれませんね。

渡邊 満昭(わたなべ みつあき)

静岡市立中島小学校教諭・公認心理師・学校心理士・環境教育インタープリター・森林セラピスト


いつの間にか、小中学校全学年+特別支援学級+特別支援学校+通級指導教室での担任を経験し、生徒指導主任+特別支援教育コーディネーター+教育相談担当経験も10年を超えていました。すると担任を離れたとたんに何かを忘れてしまって、担任に戻ってみると忘れていたことに気がつくということがたびたびありました。それはうまく言えないけど何だかとても大切なもの。先生を続けていくための糧のようなもの。
その大切なものについて、自分の実践と合わせお伝えしていこうと思います。

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