2023.06.21
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「先生にとっての 何だかとても大切なもの」やる気の出る小道具・キラキラ・ピカピカはあなどれないということ

季節の変わり目はいろんなことがありますね。湿度や照度・気圧のせいなのか、クラスの子どもたちはなんだか体が重そうで、教室全体がよどんでいる感じの日もあることでしょう。そういう私たちもなかなかいつものやる気が出てこない、そんな時、ちょっと背中を押してくれる何かがほしくなったりしませんか。
今日はやる気につながるキラキラ・ピカピカの話です。

静岡市立中島小学校教諭・公認心理師 渡邊 満昭

よいことさがし、ビー玉のキラキラの効果とは

それなりの年数、人としてすごしてきて感じるのは、子どもたちも私たちもまたそれなりに、生き物(動物かな?)としての特性に左右されているところがあるということです。

かつての職場で先輩から教わった教育の技術に、ビー玉を使ったクラスの良いこと見つけの方法があります。クラスの友達の良いことを見つけるたびに、透明なペットボトルにビー玉を一つずつ入れていって、いっぱいになったらみんなで楽しめるイベントを一回開くというものです。私も何度かクラス運営で実践し、子どもたちは、たくさんの友達の良いことを見つけることができました。

ではなぜ この方法を子どもたちが受け入れてくれてくれたのでしょう。その頃は子どもたちのすすめる行動が、子どもたち自身にとってもよいことにつながるということが実感できたからではと思っていました。ただ、大筋はそうであっても、もっと身近なところにも効果を高めるポイントがあったのかなと考えるようになりました。

それはビー玉を使っていることです。ビー玉の特性は丸くてキラキラ輝くというところでしょうか。中にきれいな色があってかざすと綺麗に光が反射してみえるところもありますね。このキラキラがやっぱり良い感じです。どうも私達には魅力的に見える、そういうことなのだろうなと思っています。

ではこれが、黒くて光を通さない玉だったらどうでしょう。ペットボトルに黒い球を入れるところを想像してみてください。集めようという意欲にはちょっと物足りない気がします。

そういえば毎年のように学校のグランドで、キラキラ輝く砂粒を集めている子に出会います。キラキラ輝くものは、思わず行動を起こしたくなるものなのではないでしょうか。

実はいっぱいにためたビー玉入りのペットボトルを、今でもしまってあります。キラキラを見るたびに、当時の子どもたちの頑張りと活力のあるクラスの雰囲気が脳裏に浮かぶから不思議なものです。するとすり減りがちな自分のやる気もまたちょっと満たされる気がするのです。

キラキラ・ピカピカでやる気の力添え

このキラキラにやる気の力添えをしてもらう現象、他にも事例は色々ありますよ。

例えば、ボール投げの練習で硬式テニスの球を使うことはありませんか。曇り空で暗い感じの中、あまりグランドに出たくないなあ、やる気が出ないなっていう時に、ぼんやりとでも光るというこの蛍光色ボールは、やる気がなぜか湧いてくる感じがするんですよね。私だけの感覚でもないとは思いますが。子どもたちも白いボールと蛍光色のボールとその場にあったらどちらを取るのかというと、やっぱり蛍光色のボールを手にとっているようです。

あくまでも感触の話なので個人差はあるとは思いますが、こどもたちの投げる力の低下が叫ばれる今、思わず手に取り投げたくなるボールの存在は、もしかしたら取り組みの向上になるのかもしれませんね。そういえば、野球型ゲームの練習球も、黄色を中心になんとなく光を感じさせる色が採用されている気がします。

ビーチバレーボールへの取り組みに、尻込みしてしまう子どもたちもおります。やったことがないからこわいというのがその理由です。そんなとき透明で中にピカピカの箔が入った本物のビーチボールを導入として使ってみたこともあります。体育館に斜めに入る日差しに当てキラキラを見せてから取り組むと、大好評でした。ただし強度がないので破裂すると掃除に手間がかかりますが、自分からの意欲をひきだす価値はあったと思っています。

私たちも活用できるキラキラ・ピカピカ

そういえば、今日の私の足下は蛍光色のスニーカーでした。やる気の出ない時に目に入る刺激としてのスニーカーの色は、私にとってはポイントです。帰宅時の薄暗さの中を歩いて帰る時でも、スニーカーがぼんやり光を持ちながら左右交互に動いているさまを眺めていると、「まだまだ!この歩みを止めないぞ」というような前向きの気持ちを持つことができます。そういえば、腕にキラリと輝くメタルバンドの腕時計も似たような効果があるのではないでしょうか。

苦しい時にじっと手を見るという表現もあるように、私たちはいろいろな局面で自分の目に入るものを見つめながら、また次のステップを考える時もあるかと思います。そんな時に、キラキラ・ピカピカはさりげなく力をくれるものなのかもしれません。

子どもたちにもそして私たちも、この特性を上手に役立てていければいいのかなと思っております。

渡邊 満昭(わたなべ みつあき)

静岡市立中島小学校教諭・公認心理師・学校心理士・環境教育インタープリター・森林セラピスト


いつの間にか、小中学校全学年+特別支援学級+特別支援学校+通級指導教室での担任を経験し、生徒指導主任+特別支援教育コーディネーター+教育相談担当経験も10年を超えていました。すると担任を離れたとたんに何かを忘れてしまって、担任に戻ってみると忘れていたことに気がつくということがたびたびありました。それはうまく言えないけど何だかとても大切なもの。先生を続けていくための糧のようなもの。
その大切なものについて、自分の実践と合わせお伝えしていこうと思います。

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