2023.02.02
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教師この良きもの

教育の根幹とは何かを考えたいと思っています。この4月から教壇に立つ4年生のゼミ生たちとの最後の授業を行いました。模擬職員会議を行い、4月からの生活を想像させました。教師にとっていい意味でも注目される時代だと思っています。働き方改革が進められ、教師の労働環境を整える必要性が求められています。そこで忘れて欲しくないのが「働きがい改革」です。

大阪大谷大学 教育学部 教授 今宮 信吾

教師になるゼミ生と最後の授業

模擬職員会議

私のゼミ生は全員、4月から教師として働き始めます。
最後のゼミでは、「模擬職員会議」を行いました。「いじめ」「不登校」などの課題に対してどのように対応するのかなど真剣な話し合いが持たれました。
新たに教師として、やりがいを感じながら生きてほしいと思います。
自分の教師生活を楽しんで創ることを望んでいます。
そのためのポイントとして話したことを紹介します。

手をかける

教えることと育むことのバランスが問われる時代になりました。できるだけ教師が前に出ないで子ども主体で学びを創り上げることが望まれています。
その時に忘れて欲しくないことは、「手塩にかける」ということです。日本人が大切にしてきた精神を教師としても持ち続けてほしいと思います。
効率よく、できるだけ時間をかけないで、無駄のないように過ごすことが求められています。インスタントな時代になりつつあるとも言えます。自戒の念も込めて学生たちに伝え考えてみたいことです。

目をかける

聴解力(筆者作成)

相手の話を傾聴し、「あなたのことを大切に想っているよ」ということは子どもたちに伝えてほしいメッセージです。ことばで伝えることも大切ですが、それに加えて、仕草や態度でも伝えてほしいと思っています。そのために教師の聴解力が必要だと思っています。
ことば足らずで十分に思いを伝えられない子のメッセージを短いことばや仕草から読み取る。そんな力を身につけてほしいと思います。先生には聴いてほしいなと思える存在になってほしいと思います。
いつも子どもたちの味方でいられるそんな先生になってほしいです。そのためには「目をかける」ということを忘れないでいてほしいです。ちょっとした変化を見逃さない、そんな教師になってほしいと思います。

声をかける

現実的な孤独ではなく、心情面での実質的な孤独が進んでいるように思えます。近くに人がいても、なんとなく孤独を感じる大人も増えています。
文部科学省の調査で、不登校が増えたという報告もありました。子どもたちだけではなく、世界規模で孤独が進んでいるのではないかという思いもあります。人が集まる機会がなくなることによって生まれた状況だとも言えます。人はやはり社会的な動物であることが証明されたのではないでしょうか。
そんな社会情勢の中で学生たちには「教師が希望を語れなくなったら世の中は暗くなる。生きることは素晴らしいこと、人と手を携えて進むことは楽しいことという思いを直接、それも人生の初期に伝えられる存在として教師の仕事は誇れるものだから胸を張って卒業してほしい、そんな思いを伝えました。
これから春まで、教員研修で先生方にも伝える機会が増えます。教師、このよき仕事と伝えていきます。

今宮 信吾(いまみや しんご)

大阪大谷大学 教育学部 教授


国公私立の小学校で教員を経験し、現在未来の教師を育てるために教員養成に携わっています。国語教育を核として、学級づくり、道徳教育など校内研究にも携わらせていただいております。ことば学びのできる教師と学校づくりを目指しております。

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