2022.04.12

パラスポーツ「ボッチャ」をやってみよう（１）

引き続き今期も執筆させていただくことになりました。改めましてよろしくお願いいたします。
いよいよ新年度、新しい出会いにドキドキワクワクですね。
さて、最近オリンピック、パラリンピックなどの影響もありパラスポーツも注目され始めてきました。
小学校や中学校でもこういったパラスポーツに取り組んでいる学校も増えてきましたね。
ということで、今回からパラスポーツの一つである「ボッチャ」についてお伝えしていきたいと思います。
初回の今回は、ボッチャがどんなスポーツか分かりやすくお伝えしていきます。どうぞよろしくお願いいたします。

信州大学教育学部附属特別支援学校　教諭　丸山　裕也

誰でも楽しめるパラスポーツ　「ボッチャ」とは？

ジャックボール（白いボール）に近いボールが得点

ボッチャとはヨーロッパで生まれたスポーツで、脳性麻痺などによる四肢の機能障がい者のために考案されたスポーツです。
そのため、ボールを投げるときは手で投げてもいいし、ランプと呼ばれる勾配具（ボールを滑らせる滑り台のような道具）を使ってもいいし、足で蹴ってもいいというそれぞれの実態に合わせた投球ができるということが特徴です。

写真のように、ジャックボール（白色の目標球）に向かって、それぞれのチームの色の球を投げて、近い方の球が得点になります。
赤チーム、青チームそれぞれ6球ずつの球を投げ合いますが、ジャックボール（白色の目標球）に近づけるだけではなく、ジャックボールに近い相手のボールを弾き飛ばしたり、相手のボールの進路に球を置いてみたりと、様々な戦略を考えながら投球をしていきます。もちろんジャックボールを弾き飛ばすなどして、自分の球の近くに動かすことも、戦略になります。

四肢の機能障がい者のためのスポーツ、と説明しましたが、ルールはいたってシンプルで老若男女問わず「誰でも」、障害の有無にかかわらず参加ができるスポーツです。
「誰でも、気軽に、楽しめるスポーツ」これがボッチャです！

奥が深いボッチャの世界

ボッチャのボール（画像は赤色のボール）

ボッチャのボールは様々な素材でできています。革製であったり、フェルトであったり、革も牛であったり羊であったり、もちろんそれぞれの素材によって硬さも違います。
写真のボールは親指の腹で軽く押すと、「ギュッ」と凹みます。それはボールの中には粒子が入っているからです。なので投げる前に、ボールを掌で転がして丸める選手もいます。

このボールの選択も戦術の一つで、ボールのつかみやすさやはなしやすさ、ボールに近づけるのに向いているのか、それともボールを弾き飛ばすのに向いているのかなど、様々です。
最初は狙ったところに投げようとしても、なかなかうまくいきません。他のボールに当たってしまったり、勢いが付きすぎてラインを越えてしまったり、逆に弱くて途中で止まってしまったり、テレビなどで見ていると「簡単に投げられそうだ」と思ってしまいますが、実はなかなか難しいというのもボッチャの奥の深さを物語っています。

とにかくやってみたい！そんな人は……

みんなで楽しめる素敵なスポーツのボッチャですが、実は道具の価格が高いことがネックだったりします。
以前私も、取り組んでみたいと思ったときに道具がなく、新聞紙などを使ってボールを作ってみたこともありましたが、なかなか本物のようにはいきません。

そんな時は地域の障がい者スポーツ協会などに尋ねてみることや、特別支援学校に相談してみるといいかもしれません。
私もボッチャとの出会いは、地域の障害者スポーツ協会が主催する体験会でした。今、ボッチャは人気のスポーツなのでそんな体験会も多いかもしれませんね。

さて、今回はボッチャの大きなさわりの部分だけをお話してきました。次回以降はもう少し踏み込んでルールなどについてお話していきたいと思います。

丸山　裕也（まるやま　ゆうや）

信州大学教育学部附属特別支援学校　教諭
公認心理師、学校心理士、障害者スポーツ指導員（初級）、福祉用具専門相談員
「あした、またがっこうでね。」と、子どもも教師も伝え合うことができるような、楽しい学級づくりを目指しています。また、障害のある子どもたちの心の健康について、教育と心理の二面からアプローチしていく方法を考えています。
特別支援学校で出会ってきた子どもたちとの学びを、皆さんにお伝えしていきたいと思っています。

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