2021.02.25
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大学入学共通テスト

本日は、大学入学共通テストを終えて、カリキュラム・マネジメントやICT活用の観点から感じたことを書きたいと思います。

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任 石丸 貴史

ご存じの通り1月16日(土)と17日(日)に第1日程、30日(土)と31日(日)に第2日程の、大学入学共通テストが行われました。記述式の導入見送りや、英語の各種資格試験との兼ね合いなど、紆余曲折がありましたが今年度の高校3年生にとっては、ある意味人生をかけて臨むテストです。今年度、勤務校の高校3年生に関わる中で、5月までの臨時休校期間に始まり、この第1回である大学入学共通テストまで、激動の1年間でした。本日は、この大学入学共通テストを終えて、カリキュラム・マネジメントやICT活用の観点から感じたことを書きたいと思います。担当教科は数学なので、数学で出題されたことが基準になることご容赦いただければと思います。

求められている資質・能力は?

第一印象はやはり「とにかくたくさん読ませる問題だなぁ」です。ある程度予想されたこととはいえ、会話文があり、実生活・実社会に関わる内容があり、問題文の分量も多く、まず「読解力」が求められる資質・能力か、との印象を持ちました。実際に問題を解いてみると、基本的な知識・技能は活用しつつ、状況に対してよく考えて判断を迫られる部分がこれまでの大学入試センター試験よりも多くなっていると感じました。つまりは大きな柱としては「思考力」と「判断力」が求められている問題との印象です。

まず「読解力」についてです。他教科の先生方もご自身の担当教科・科目に対して、「読解力」が求められていると感じる出題が多くあったように聞きました。なぜ「読解力」でしょうか?職業にもよると思いますが、職場に出勤して最初にやることはコンピュータの起動である社会人は多くいると思います。起動したら業務に用いるシステムを立ち上げるか、メールやチャットなどを確認することから社会人1日の仕事が始まるのではないでしょうか。始業すぐではないにせよ1日の中でコンピュータや業務上必要となる資料に向かって文字情報を得ることは、ほぼ間違いなくあると思います。教員も例外ではないと思います。文字情報から得られるものから確実に必要なものの優先順位をつけて整理する能力は、社会人として必要不可欠です。そう考えると、大学入学共通テストで「読解力」を問うのは当然の流れと感じます。

次に「思考力」と「判断力」についてです。先ほど文字情報から得られるものから確実に必要なものの優先順位をつけて整理する能力と書きましたが、これがまさに「思考力」と「判断力」にあたります。考えて判断しなければ、あふれる情報の海に飲み込まれてしまいます。社会人として働くことは、常に考えて判断することの連続です。

さらに社会人であれば、口頭での伝達も含めて文字情報を作成し発信する必要も多くあります。そのような場合、(いまこの原稿を書いている場面もそうですが)自分の「表現力」のなさを嘆きたくなるような場面も多くあります。そう考えると、大学入学共通テストに記述式の問題を入れようとした気持ちは容易に理解できます。記述式問題に対する採点方法等、種々の批判等は十分に理解できるものもあったので、記述式問題については、現状では各大学での個別学力試験で問うことで対処するしかないですが。

加えて、一部の問題ではコンピュータを活用する場面を想定した出題もありました。業種にもよりますが、社会人として様々なソフトウエアを扱う必要は発生しますし、それを使うか使わないかが問われているのではなく、使って何をどうするかが求められているのは明らかです。与えられたものを使っての「シミュレーション能力」も、明確な解答がなくできるだけ多くの人が納得できる解答を探す問題に対処しなければならない社会人にとって、必要な能力なのだと思います。

「発問力」

ここでは、大学入学共通テストの問題レベルや出題内容も含めたことの是非を問うつもりは全くありません。どのようなテストを実施したところでメリットもデメリットもあるでしょうから。したがって、大学入学共通テストが今回のような出題が続くとしたら、学校で現場に立つ教員は、毎回の授業において子どもたちの資質・能力をどのようにして育成していけば良いのかを考えていく必要があると考えます。個人的には教員の「発問力」の向上ではないかと考えています。知識・技能を付ける場面においても、「思考力」「判断力」「表現力」を付ける場面においても、問いを立てることが必要です。立てた問いの量と質に応じて、子どもたちはそれまでに得た知識・技能をフル活用しながら、考え判断し表現する経験を積んでいくのだと思います。量だけが多く質の向上を図れないのでもなく、質にこだわるあまり量が少なくなってしまうのでもなく、子どもたちの発達段階に応じた問いを、量と質のバランスに注意しつつ展開する必要があるのだと考えています。

石丸 貴史(いしまる たかふみ)

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任
高校での新学習指導要領導入を控えて、「カリキュラムマネジメント」・「I C T活用」を中心に、日々の授業改善に取り組んでいます。大学を卒業後すぐに会社員として塾・予備校業界で勤務をした経験も活かしながら、社会で活躍できる生徒を育てるべくどのような資質・能力を育成すれば良いかを試行錯誤しています。

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