2020.04.07
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同じことをしてるのに... ~あなたの印象は初めての参観で決まる~

同じことをしてるのに、隣のクラスの先生は保護者から好意的に評価されて、自分は細かいミスや至らなかった点を中心に話題にされてしまう。そんな風に悩んだ経験があると思います。しかし、それはその時のあなたではなく、第一印象から決まってしまっているのです。

大阪市立放出小学校 教諭 大吉 慎太郎

好意的?否定的?それは最初の印象次第

【初頭効果】という言葉を聞いたことがありますか。初頭効果というのは

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第一印象(最初に与えられた情報)が記憶に残りやすく、後の評価に影響を及ぼす心理的効果を『初頭効果』と言います。

プロの心理学(https://pro-shinri.com/initial-effect/

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一度ついた印象はなかなか上書きされづらい。しかし、初めに良い印象を与えることができたら、多少のことではその信頼は揺るぎません。だからこそ第一印象を大事にしていきたいです。

子どもたちとの関わり方は、教師によって千差万別です。一線を引いて厳格な関係で接する先生もいますし、フランクに接する先生もいます。私はどちらかというと、後者です。よく冗談も言いますし、スポーツや漫画、ゲームの話もします。

しかし、気を付けないといけないのは、冗談を言ったときに、冗談を冗談ととってくれるのか、それがクレームにつながるのか、ということです。もちろん、人権に関わることや行き過ぎたものは論外ですが、言うこと成すこと全てを否定されてしまう場合があります。それは、冗談そのものよりも、自分に対する見方が厳しくなっている可能性が考えられます。

それを防ぐためにも第一印象を大切にしたいです。後から「良い」事実が分かっても、上記のとおり、なかなか覆すことは難しいです。

「がんばっているところも見てほしい」

もちろん、これは正論です。子ども、保護者の方もそう思っていますし、がんばっているところは認めようと思っているはずです。しかし、印象に左右されるこの問題は、そういった心がけではなく、無意識、直感的なものとして作用してしまうので、仕方ありません。教師としてできることは、第一印象を良くするしかありません。

出会いが肝心。第一印象は計画的に。

四月になり、新しい学級の子どもたち、保護者の方との出会いがあります。私も担任発表のときはドキドキしますが、子どもたちやその保護者の方も同様、もしくは、それ以上だと思います。

さて、新しい学級を担任するにあたって多くの先生は学級開きでどのような話をしようか、どんな活動をしようか頭を悩ませると思います。きっと、どの先生も素敵な学級開きの方法を考えたり、調べたり、先輩の先生に聞いたりしながら子どもたちとの出会いはばっちり準備するでしょう。では、保護者の方との出会いはどうでしょうか。

保護者の方との初めての関わりとして連絡帳、参観、家庭訪問が考えられます。始業式翌日に、

「1年間、よろしくお願いします」

と丁寧に連絡帳であいさつをしてくれる方もいます。このときの注意点ですが、まず【見落とさない】ことです。当たり前だと思われるでしょうが、始業式翌日は見落としてしまいがちです。学期初めは忙しいということもありますが、学級のきまりが定着しておらず、連絡帳を出し忘れてしまう子どもも多いです。返事もないまま、保護者の方が見たら残念な気持ちになりますね。気をつけましょう。

また、赤字のまま返事をすることは絶対にやめましょう。これは学期初めにかぎらないですが、教師はなにかと赤ペンで宿題のチェックやテストの採点を行う機会が多く、そのペンでそのまま文字を書いてしまう人がいます。しかし、赤文字での手紙は【絶縁】を意味しています。これも大変失礼な行為です。

長々とあいさつや意気込みを書いて返事する必要はありませんが、

「こちらこそ、1年間よろしくお願いします」

など軽く一文程度の文を書ければいいと思います。

参観前日。この日だけは働き方改革も無視!?

さて、連絡帳以上に多くの保護者の方との初めての関わりとなるのが、学習参観でしょう。

「4月の参観は徹夜してでも授業の準備をしなさい」

私が初任者のときに校長先生から言われた言葉です。多くの保護者はここで初めて担任の教師と出会います。連絡帳や子どもからの話で聞いてはいても実際に顔を見ること、どんな授業をしているのかを見ることは初めてです。

 しかし特別なことをする必要はありません。ただ、いつもの授業以上に

  • 課題と発問
  • 想定される答え
  • 板書計画
  • 時間配分

を考えておきましょう。どれも普段から当たり前のことですが、つい忙しいときはおろそかになってしまいがちです。また、特に初任者の先生にとっては自身でも初の参観です。緊張から

「えーっと…」

など、口から出てしまいがちです。大丈夫かな、と不安を持たせるような口癖がでないように授業の展開や要所での発問は、ノートに書き起こしておきましょう。

 初任者の方は、前日までに先輩や管理職の先生に当日行う授業の模擬授業に付き合ってもらうのもいいでしょう。(もちろん、相手も忙しいのでギリギリに言うのではなく計画的にお願いしましょう)

 私もそうでしたが、若いときは

「子どもと仲良くやっているから大丈夫」

と授業よりも子どものウケがよければ安心してしまいがちです。しかし、それは学級開き当初はうまくいっていても、夏休み前や二学期になると通用してこなくなります。そんなときに、

「4月から心配だった」

と言われないように、家庭でも子どもにプラスの声掛けをしてもらえる信頼を得ておきましょう。

 また、授業の本質とは関係のないことですが、身だしなみも気をつけましょう。スーツかジャージか以前に気を付ける点があります。

  • 髪型・・・寝ぐせなどがついていないか
  • 服や靴・・・汚れていないか。襟が曲がったり、折れたりしていないか
  • 口回り・・・海苔やソースなどついていないか(給食後に行われることも多いため)

当たり前のことですが、学期初め、ましてや、参観の前はあわただしく、普段できていることでも見逃してしまいがちです。授業で判断してもらいたいからこそ、このようなところで印象を悪くはしたくないものです。

「やっぱりそうだ」信じたい情報だけを集めてしまう

「先生にも考えがあるのでは・・・?」

「そんなときもあるよね」

そうした好意的な声に助けられたことは多いです。それらの声は保護者の方との信頼関係によるところが大きかったと心から感じています。

 好意的に受け止めてもらえるか、そうでないか。それらは第一印象で決まってしまいます。保護者の方にかぎらず、人間の心理として

「やっぱりそうだ」

という自分の信じたい情報だけを集めてしまいます。あなたの魅力をいっぱい知ってもらえるために良い情報をたくさん集めてほしいですよね。そして、その第一印象をもとに子どもたちと素晴らしい一年を過ごしましょう。そのためにまずは、参観をがんばってほしいと思います。

大吉 慎太郎 (おおよし しんたろう)

大阪市立放出小学校 教諭
教務主任として「学校の業務の改善」と「行事の精選」を行なっています。また、「プログラミング教育」や「ICTの推進」にも取り組んできました。授業におけるICT活用についての実践を多くの先生と共有しあっていきたいと考えています。

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