2020.02.17
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「よく話し合う」のは行事精選の赤信号!? ~悪さ加減の選択で前に進めよ~

来年度から小学校では新学習指導要領の実施で英語の教科化、プログラミング授業の必修化が行われます。それと同時に残業時間が月45時間以内、行事の精選など、新しいことを取り入れつつ、現在の業務の見直しも図っていく必要があります。夏ごろには、
「まだ少し時間あるな。じっくり校内で話し合って、みんなの意見を聞いていこう」
などと考えていませんでしたか。そして、あと新年度まで2ヶ月を切った今
「まだ何も決まっていないどうしよう」
と、なっている方もいるのではないでしょうか。
その理由は、【よく話し合っている】からです。

大阪市立放出小学校 教諭 大吉 慎太郎

“良いか悪いか”ではなく、“悪いかもっと悪いか”

よく言われる話ですが、教師というのは良くも悪くも真面目です。その真面目さ故に、よく話し合って、みんなが納得する『最高の案』を作ることを目指します。しかし、「何かを決めよう」、ましてや「削減しよう」というときに『最高の案』を作ろうとすると何も決まらないまま時間だけが過ぎてしまうという状態に陥りがちです。
個々の教師にとって『最高の案』の定義はさまざまです。教師としての大切にしたい部分は千差万別であり、また、そこに優劣もありません。それを全体で話し合ったところで「話し合い」は平行線、いつまで経っても決まらず、結果、今までとほとんど変わらない案の出来上がりです。
福沢諭吉の言葉に、
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「政治は悪さ加減の選択である」
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というものがあります。“良いか悪いか”ではなく、“悪いかもっと悪いか”という基準で選択しようというものです。これは政治だけでなく、「話し合い」全般に言えることではないでしょうか。
いくら話し合っても『最高の案』が出てくることは困難でしょう。ならば、
「あんまり良い案じゃないけど、今より少しマシ」
というくらいの気持ちで受け入れてもらえる案を作りましょう。そして、それを目指すためには「話し合い」を極力減らしましょう。話し合えば話し合うほど、すべての意見を尊重しなければという空気になってしまいます。

行事精選は苦渋の選択

教務主任として、行事精選の案を作ることは苦渋の選択の連続です。突き詰めていくと、どの行事も子どもの成長に少なからず影響を与えてきました。未来ある子どもたちの成長を思えばこそ採用され、実施されてきた行事や取り組みです。しかし、新たな取り組みが増える中、教師も子どももすべてを実施することは時間的にも体力的にも現実的ではありません。
いくら話し合っても『完全な納得を得られる案』を作ることはできません。『今よりも少しマシな案』で進めていくことが大切です。

「悪い」状態と、「良くなっている」状態は両立する

最後に2019年に大ヒットした書籍『FACTFULNESS』(ハンス・ロスリング著、日経BP、2019年)で述べられている【世界の見方を歪める「10の思い込み」】のうちの一つ、ネガティブ本能に書かれた一文を紹介します。
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「悪い」状態と、「良くなっている」状態は両立していることを理解すること。
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大吉 慎太郎 (おおよし しんたろう)

大阪市立放出小学校 教諭
教務主任として「学校の業務の改善」と「行事の精選」を行なっています。また、「プログラミング教育」や「ICTの推進」にも取り組んできました。授業におけるICT活用についての実践を多くの先生と共有しあっていきたいと考えています。

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