2019.10.01
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授業で「問い」づくり

私が取り組んでいる「p4c(=philosophy for children「子どものための哲学」)」では、正解のない問いについて全員で対話します。そのときの「問い」は生徒に考えさせ、どの問いについて話すのかを自分たちで決めていきます。そのへんの意義は以前「問いを考えさせる」というテーマで記事を書いたので、そちらもご覧ください。
今回は、今年度の授業で実際にやってみた「問い」づくりの様子を紹介したいと思います。

前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭  山形県立米沢東高等学校 教諭 高橋 英路

これまでの経過

今年度は異動で新たな環境となったため、「p4c」も初挑戦となりました。これについては、以前記事を書いたとおり、初めて出会う生徒に「じゃあ、正解のない問いを出してみよう!」とか「正解のない問いについて話し合って!」といってうまくいくはずがありません。最終的なゴールを描きつつも、年度当初から少しずつ積み重ねてきました。詳細は以下のリンクから以前の記事をご覧ください。
「TTPそしてアレンジしたp4c」

この記事にあるように、夏くらいまでかけて、ようやく授業の中で正解のない問いについて前向きに考えることができるようになりました。

次のステップは「問い」づくり

「正解のない問い」というものに対するアレルギーがなくなり、それに向き合うことに慣れてきたところで、次のステップに進んでみました。今度は、正解のない問いを自分で考えてみるというものです。ちょうど前期(半期)が終わる授業のまとめとして、「これまでの応用問題(正解のない問い)や学習内容を踏まえて、他の人の意見を聞いてみたいと思うような「正解のない問い」を考えてみよう。また、その問いについて自分の考えを書いてみよう」といったものに取り組んでもらいました。

高校生くらいになると恥ずかしさもあり、いきなり言われても思いつかないといった生徒が続出してしまいます。が、これまでの積み重ねがある分、それが例えばどんなものなのか、また、それに対する答えはどんなことでも許容されるといったことが全体で共有されているので、全員が前向きに考えることができていました。

出てきた問いは・・・

実際に出てきた問いは、以下のようなものです。問いだけを切り取ると安易なように見えて、それに対する考えを聞くと「よく考えてるな~」と感心するものもありました。

(例1)「〇〇さん(歴史上の人物)は、いい人か?」
・・・歴史上の人物に対する評価を問うもので、誰にでも思いつきそうですが、答えを考えるのは非常に面白い問いだと思います。授業でも、歴史の認識は一方的な解釈にならないよう、さまざまな側面を学習します。そうしたことを踏まえ、「〇〇さん」の良いとされる側面、悪いとされる側面、さらにはそこに私見を加えたり、当時の価値観と現在の価値観の違いなどを互いに述べ合うのは、多様な価値観を共有でき知的好奇心が刺激されそうです。

(例2)「〇〇(歴史上のできごと)の際、日本が逆の立場だったら、どんな行動をとっただろう?」
・・・歴史上のできごとに対して「〇〇だったら?」という仮定で考える問いです。これも当時の情勢を踏まえた多様な意見が出そうです。実際に考えた生徒の発表では、過去の様子だけでなく、あえて「日本が」と指定することで、日本人の国民性や慣習などを踏まえた議論を期待しているいうことでした。これも、日本人のステレオタイプをどのように捉えているかということについても、いろんな考え方がありそうで、より深い対話が期待できそうです。

(例3)「宿題は意味があるか?」など、やや関連が薄いと思われるもの
・・・学習内容に関連付けてというところが難しく、制限時間を気にしながらも苦肉の策で様々な問いを書いてくれる生徒もいます。その生徒が発表した場合は、なるべく学習内容と無理にでも関連づけるようにフォローし、「どんな答えでも許容される」という前提が崩れないように配慮します。せっかく出したアイディアが否定されたのでは、次回から何も書かない方が良いとなってしまうからです。

こうして出てきた問いを書いたプリントは回収し、発表されなかった中からピックアップして全体共有することで、思いつかなかった生徒への支援をします。また、実際に1つの問いを選んで「p4c」で対話してみることを考えています。対話してみての結果は、また機会があれば記事にしたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

高橋 英路(たかはし ひでみち)

前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭
山形県立米沢東高等学校 教諭


クラス担任と、地歴科で専門の地理を中心に授業を担当。生徒達の「主体的・対話的で深い学び」が実現できるよう、p4c(philosophy for children)やKP(紙芝居プレゼンテーション)法などの手法も取り入れながら日々の授業に取り組んでいます。

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