2019.08.21
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残暑見舞いとチョークアートでお出迎え

もうすぐ長い夏休みが終わります。もしかしたら、学校が始まるのがちょっぴり不安な子もいるかもしれません。そこで私は毎年、残暑見舞いとチョークアートで子どもたちを迎えます。子どもたちはきっと気づいていないけど、そこには、ちょっとした工夫が隠れています。

東京都内公立学校教諭 林 真未

残暑見舞いに思いを込めて

クラスの子どもたちに暑中見舞いではなく残暑見舞いを送るのは、もちろん8月の終わり、新学期を目前にした頃。子どもたちが「もうそろそろ学校かー」と思い始めるタイミングを見計らって送ります。

楽しい写真や思い出がいっぱいあっても、自分自身が夏休みに行った旅行のことなどには一切触れません。もしも、どこにも行かなかった子がいたら、「先生も旅行に行ったのか……」と、さびしい気持ちにさせてしまうかもしれないから。

その代わり、「みんなにあえなくてさびしかったよ。9月にあえるからうれしいよ。2学き、きょうしつでまっているよ」というようなメッセージを伝えます。それからもうひとつ。宿題のこと。

夏休み前に、「しゅくだいは、ぜったいにさいしょの日にもってきましょう!」と伝えているので、この時期になっても終わっていない子はドキドキしているはず。私の子どもが小学生だった頃のように、8月31日の夜になってから、やっていない宿題に気づく、という恐ろしいこともあるかもしれません。

そういう子が、9月1日(今年は2日ですが)の朝になって慌てないように、あらかじめ、「しゅくだいがおわっていない人は、学校にきたときにそうだんしてください」と書き添えておきます。こうすれば、前の日夜遅くまで奮闘しなくても、ドキドキせずに新学期を迎えられます。

甘いですか?でも私は、普段から、宿題を期日までにやれないことでは叱りません。もっと他に、叱るべきときがあると思っています。

チョークアート(もどき)でお出迎え

チョークアートとは、黒板にチョークで描いた絵画やサインボードのこと。プロの仕事は、それはそれは素晴らしいものです(チョークアートで検索するといろいろな作品がウェブ上に載っています)。

だから、私の場合はチョークアートもどきと言うべきクオリティですが、それでも子どもたちは、教室に来るなり、「わあー」と喜んでくれます。

本当は、図工の先生や絵の得意な知り合いなどに声をかけて、すごい作品を用意したいのですが、他の仕事に追われて「ああ! 黒板用意するの忘れてた!」と慌てるのが毎回のお約束。

「次回こそ、だれかとコラボして描こう!」と後悔しながら、5〜10分で拙いながら自分で描いています。

恥ずかしながらの5分クオリティ(昨年)。セリフを言っているのは私のトレードマークの小人です。

おはよう、おかえり、はじまるよ!

ある年、2学期の保護者会で、保護者の方にこう言われました。
「実はウチの子、夏休みが終わって学校に行くのを不安がっていたんです。でも、新学期の朝、黒板に「おかえり」って書いてあったから、安心したって言っていました」

もちろん、そういう状況を予想してのアクションだったのですが、実際に役に立っていたことを知り、とても嬉しかったです。

それ以来、夏休みの後に黒板に書くセリフは「おはよう、おかえり、はじまるよ!」に定着。今年も、これでホッとしてくれる子がいますように。チョークアート(もどき)おススメです。

こっちのほうがちょっと丁寧(一昨年)。10分クオリティ。

林 真未(はやし まみ)

東京都内公立学校教諭
カナダライアソン大学認定ファミリーライフエデュケーター(家族支援職)
特定非営利活動法人手をつなご(子育て支援NPO)理事


家族(子育て)支援者と小学校教員をしています。両方の世界を知る身として、家族は学校を、学校は家族を、もっと理解しあえたらいい、と日々痛感しています。
著書『困ったらここへおいでよ。日常生活支援サポートハウスの奇跡』(東京シューレ出版)
『子どものやる気をどんどん引き出す!低学年担任のためのマジックフレーズ』(明治図書出版)
ブログ「家族支援と子育て支援」:https://flejapan.com/

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