同じ休むなら、楽しまなきゃ損損 ~有意義な夏休みに~
いよいよ夏休み。子どもの頃、夏休みはものすごく楽しみでした。そして「先生っていいなあ」と思いました。「夏休みがある仕事」と単純に思っていたからです。
実際に教師になってみると、夏休みは意外と忙しいことに気がつきます。リフレッシュ、リフレッシュ、仕事、くらいのペースでいきたいですね。リフレッシュの中にもちょっと仕事、仕事の中にもちょっとした遊び心、こんな感じでいければいいですね。
熊本市立龍田小学校 教諭 笹原 信二
視点が変わると、見方が違う
旅行に行く、本を読む、スポーツを見る・する、とにかく寝る、趣味に講じる、映画を見る…etc. 夏休みならではのリフレッシュ方法が、人それぞれにありますね。
私は旅行、サッカー、ショッピング、写真などがリフレッシュ方法ですね。
20年ほど前になるでしょうか。小学校理科教育研修会で「夏の巡検会」を行いました。当時、事業部長だった私は、人数を集めることに必死でした。テーマも一番人気がある「南阿蘇の植物」観察として。なんとか人数が集まり、一週間前の下見。博物館から植物担当の学芸員さんと、初めて副館長さんが来てくださいました。
山道を500~600mほど歩いたでしょうか。ない知識をふりしぼって「ここにカワラナデシコが咲いてますね」と私。10種類ほど見つけてやれやれ、と思いました。そこで副館長さんから「ところで先生、今来た道に昆虫は何種類いましたか?」と言われました。意表をつかれた私はとまどい、「鳥の鳴き声は2,3聞こえましたが」と要領を得ない反応をするのが精一杯でした。
「昆虫の見つけ方は何があるかな?」と副館長さん。「石の下を探す、ふんを見つける、葉の食べ方を調べる、樹木の様子を見る、樹液を調べる。。。」と私。「知っているよね。でも、1つも答えられない。同じ道を歩いたのだけど、私は昆虫を10種類は見つけたよ」という副館長さんの言葉に、何も答えられない私がいました。
「私たちは同じ道を歩いた。先生は花を、私は昆虫を探しながら歩いた。同じ道を歩いても、視点が変わると見えるものが違ってくる。視点をもつことって大切なんだよ」
カラーバス効果。例えば、妊娠されている方は、歩いている人の中に同じような妊婦さんが多くいるように感じる。研究授業や授業参観では、この効果をよく使います。「円」の授業をするのだったら、朝から「まるいものを見つけよう」と布石をうっておきます。もちろん、まわりのまるいものが増えるわけではありません。まるいものに意識がいき、多くあるように感じるのです。
視点を持って見る。旅行でも自動販売機をさがそう、として見るとたくさん見つかります。写真撮影も、あれこんなところに、と思わぬラッキーがあります(反対に、見逃すことも)。
一週間後の巡検会、天気にもめぐまれ、無事に帰ってくることができました。バスを降りたとき、「よくがんばったねえ。これからもプロの教師として、見えなさそうなところに見えるもの、違うように見えて似たところがあるものを探してください。視点を変えると、ものは違って見えるんだよ」と言って、握手してくださいました。
自然マップは作り上げてはいませんが、その教えと手のぬくもりは忘れてはいません。「あなたの学校は市内の中心部にあるけど、プロの理科教師が街中に見つけた自然マップをつくってくれるとうれしいなあ」という副館長さんの、その教えと手のぬくもりは忘れてはいません。
リフレッシュする中でも、少しだけ、教材を見つめる目は養っておきたいものですね。
仕事の中にも遊び心を
仕事がいっぱいで、余裕はありません。そんな声が聞こえてきそうですが、仕事の中にもちょっと遊び心を見つけましょう。
例えば、暑中見舞い。出す先生もおられるでしょう。また、学級通信を校区の様子や子どもの様子を把握する意味で配っておられる先生もおられるでしょう。せっかくなら、通り一遍の言葉ではなくて、クイズとか、夏バテチェック表とか、始業式に全員集まって持ってくると、言葉の意味がわかるなど、ちょっと遊び心を入れましょう。
「〇ねん〇くみ2がっきもたのしくなかよくげんきよくきょうりょくしていきましょう。」のような言葉の一文字ずつをそれぞれのはがきに書いておいて学校に持ってくると意味が通じるのような、工夫があると喜ばれますよ。
誰にも同じ日数だけある夏休み、どうせ休むなら、楽しまなきゃ損ですよ!!

笹原 信二(ささはら しんじ)
熊本市立龍田小学校 教諭
37年の教師人生を終えたが、もう少し学びたく再任用の道を選択。過去の経験を生かしつつ、新しいことにもチャレンジしていきたい。
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