2019.06.06
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冷やした甘いスイカに塩をかけるとより美味しいのです ~魔の6月を乗り越えよう~

多くの学校では「春の運動会」が行われたことでしょう。
北海道を始め、北日本や東日本では過去最高の5月の気温を記録したところが多くありました。
熊本市内もかなりの暑さの中でしたが、大半の学校で5月後半に「春の運動会」が無事開催されました。
運動会があった学校、「秋の運動会」の学校も6月に入りました。6月は「魔の6月」と言われています。
どうして6月は「魔の6月」なのでしょうか?
そこで気をつけておくべきことは何でしょうか?
「魔の6月」を乗り越えるためのポイントについて書かせていただきます。

熊本市立龍田小学校 教諭 笹原 信二

どうして「魔の6月」になるのでしょう

以前から6月は「魔の6月」と言われます。2学期になって学級が荒れるのは、6月に伏線がある場合が多いです。
どうして「魔の6月」になるのでしょうか?
「チコちゃんに叱られる」かもしれませんが、私なりの答えは3つです。

【1】運動会の練習で気合いが入っていて、システムがうまくいっているかのごとく感じます。ところが、運動会が終わると、実際にはシステムは機能していなかったことがはっきりするから。
【2】6月は梅雨に入り雨が多くなります。運動場で遊ぶことができずに、フラストレーションがたまって「廊下を走る」「けがが増える」などのトラブルが目立つから。
【3】6月は祝日が唯一ない月です。4月、5月、夢のような10連休がありました。6月には10連休どころか、3連休も存在しません。そこで、疲れを感じる、夢をなくす、こんな子どもが増えるから。

運動会で団体行動がしっかりとれ、大活躍した子どもたち。あの姿を思い出させよう!
「室内で静かに過ごす」方法を仕入れて、子どもたちにたくさん選ばせよう!
祝日がないのは、反対に生活のリズムが規則正しくなるチャンスととらえよう!
こんなふうにうまくいけばいいのですけどね。

「水無月」の2つの説

6月は「水無月」と言われます。これには諸説ありますが、まったく正反対の2つの説があります。
まず、ひとつは「水無月」の「無」が「の」にあたる説。「水の月」ということです。
梅雨が明け、田んぼに水を引く時期だった旧暦6月は「水の月」だったので「水無月」とする説です。
もうひとつは、文字通り「水がない」説。田んぼに水をひくため他の水がなくなってしまう、暑さで水が干上がってしまう、だから水が無い→「水無月」とする説です。
水が潤沢にある説と、水が干上がってしまう説。これを学級におきかえてみませんか?
子どもたちが意欲に満ちあふれ、たくさんのアイディアを出して、楽しく毎日を送る学級は「水の月」。
すでに子どもたちは疲れていて、ルールも乱れ、教師のアイディアも枯渇している学級は「水無月」。
水分がないと、人間は生きていけません。人間だけでなく、生き物は活動できません。

糖分、そして塩分 先人の知恵に学ぼう

同様に糖分も必要です。エネルギーですね。
夜寝ている間に相当な汗をかくので、朝からしっかりご飯を食べ、味噌汁を飲む。
不足した水分と、1日をすごすエネルギーとなる糖分を得ているわけですね。
パン食ではスープになったり、コーヒーやジュースになったりすることも同じです。
先人は、経験からこのような食生活を考え出していったのですね。
さらに必要だと言われているのが塩分の補給です。
夏、熊本といえば……たくさんありますが、その中の一つがスイカです。
スイカは約90%が水分です。糖分もしっかりとることができる食べ物です。
先人はスイカに塩をかけて食べることを教えています。
そうです、水分、糖分に加えて塩分を補給するわけです。
ご飯に梅干しや漬け物を添えるのも塩分補給のためです(腐敗を防ぐこともあるでしょう)
先人の知恵に学びたいものですね。
さらには、スイカは冷たく冷やして食べますね。ぬるいスイカは美味しくないです。
といって、冷やしすぎもよくありません。8~10℃がいいそうです。そうです、水温で冷やすのです。
昔、スイカは川で冷やして食べていた、これも先人の知恵なのです。

雨の降り方は年によって、地域によって違います

さて、学校の問題に戻しましょう。
「学級づくり」が先か「授業づくり」が先か、これはニワトリと卵のようなもので、
車で言えば両輪。並行して行う事が必要です。
水分と糖分がこれに当たります。4月の始めに戻るかも知れませんが、きちんとシステムが機能しているか、授業はうまくいっているかをチェックしましょう。
ある意味、ラストチャンス。夏休み明けに修正しようと思うと、相当なパワーが必要です。
6月ならギリギリ取り戻せるかと思います。
スイカでいう、しっかり冷やして塩をかけて美味しく食べるは
授業や子どもの心をつかむ工夫であったり、笑顔・認める・言葉がけなどの心であったりします。
ここを頑張れば夏休みまでを乗り切ることができます。
ただ、天候や気温、雨量などは年によって違いますし、地域によっても違います。
うまくいっているからといって「水の月」が「水無月」に一気に変わってしまうかもしれません。
油断せず、しかしある程度のゆとりは保って、魔の6月を乗り切りましょう。

笹原 信二(ささはら しんじ)

熊本市立龍田小学校 教諭
37年の教師人生を終えたが、もう少し学びたく再任用の道を選択。過去の経験を生かしつつ、新しいことにもチャレンジしていきたい。

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